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ウェザーニューズが独自天気番組、AIRアプリに24時間ライブ配信

ユーザーによる各地のリポートや地域別チャット機能も用意

SOLiVE24のキャスター
 ウェザーニューズは、24時間ライブ配信する気象情報番組「SOLiVE24」を27日から開始する。視聴は無料。「SOLiVE24」のサイトで配布するAdobe AIRベースのデスクトップアプリケーション「ソラマド」をインストールすることで視聴できる。

 「SOLiVE24」では、気象情報サイト「ウェザーニュース」の動画コンテンツに登場する女性キャスター11人と、ウェザーニューズの予報センターや交通情報、防災情報などの専門家で構成されたチームが交代で24時間にわたってライブ番組を配信する。ユーザーは、「ソラマド」のチャット機能で番組に参加することも可能だ。

 番組は、天気予報や解説を行う「SOLiVEゾーン」と、天気に関連した情報を伝える視聴者参加型の「ソラマドゾーン」を用意。各ゾーンは2~3時間枠で、例えば午前6時から8時は「SOLiVE Morning」、午前8時~11時は「ソラマドサンシャイン」といった編成になる。また、台風や大雨、ゲリラ雷雨の発生時は特別編成の「減災プログラム」を配信する。

 「ソラマドゾーン」では、チャットのコメントも番組で紹介する。コメントの中から、スタッフが選んだものを番組上で表示するという。さらに、深夜に配信する「ソラマドオールナイト(1部、2部)」では、チャットをほぼそのまま番組上に表示。“荒らし”対策として、キーワードやIPアドレスによるフィルタリングを行う。なお、「SOLiVE24」は最大1万ユーザーまで同時視聴が可能だ。


天気予報の解説 ソラマドゾーンの番組イメージ SOLiVEゾーンの番組イメージ

ソラマドには携帯電話会員の天気リポートを表示

 AIRアプリ「ソラマド」は、23日から「SOLiVE24」のサイトで公開している。インストール時に、ソラマドメンバー登録(無料)かウェザーニュース会員(月額315円)登録が必要となる。

 「ソラマド」を起動すると、「SOLiVE24」のほか、地域別に7つの窓を表示する。各窓には任意の地域を設定可能。地域の窓にはウェザーニュースの携帯電話会員(ウェザーリポーター)から送られてきた画像を表示する。クリックすると専用のウィンドウが開き、画像の拡大や天気リポートを閲覧できる。

 また、チャット機能「ソラチャット」では、「SOLiVE24」のチャットルームをはじめ、北海道、東北、関東などの地域別にチャットルームを用意する。

 このほか、グリッドコンピューティング技術を用いたシステム「Climatic Simulator」を搭載。気候変動をシミュレーションする際の計算に利用するという。PCへの負荷は3段階から設定できる。


ソラマドを表示したPC 各地の写真は自動で切り替わる

ソラチャットのイメージ 今後のソラマドの展開

ソラマドに集まった情報を天気予報にフィードバック

ウェザーニューズの石橋知博取締役

フジテレビジョン情報制作局企画部の福原伸治プロデューサー
 ウェザーニューズは23日、「SOLiVE24」および「ソラマド」に関する記者発表会を開催した。同社取締役の石橋知博氏は「ソラマド」について、「デスクトップアプリケーションを提供するのは初めて。コンテンツは『SOLiVE24』のほか、会員が携帯電話で送った天気リポートがメイン。PCの前に居ながらにして、日本の空模様がわかる」と話す。

 会員のリポートは、これまで「ウェザーニュース」で紹介されていたが、「ソラマド」を通じて、デスクトップ上でも確認できるようになる。なお、会員からは1日約3000件のリポートが届き、「ソラマド」にほぼリアルタイムで表示するという。また、チャット機能については、「携帯電話で写真を撮って、リポートを書くのは敷居が高いが、チャットであれば気軽に天気情報を書き込め、コミュニケーションできる」と説明した。

 石橋氏は、「ソラマド」によって集まった情報を、天気予報にフィードバックしたい考え。「チャットの天気に関する書き込みから、ゲリラ雷雨などを予測できるようにしたい」と話す。それだけでなく、ユーザーは気象を身近に感じることで、「環境への意識を喚起する切っ掛けになれば」と語った。

 さらに、「Climatic Simulator」については、「グリッドコンピューティングによる計算パワーを今後の気候変動を予測する際に活用したい。例えば、10年後の桜の開花時期を予測したり、長期のスパンでのシミュレーションを行いたい」とした。

 「SOLiVE24」の制作は、フジテレビが協力している。フジテレビジョン情報制作局企画部プロデューサーの福原伸治氏は、「SOLiVE24」の特徴について説明。チャットで番組に参加し、出演者とやりとりできる「参加型メディア」、視聴者も一緒になって番組を作り上げていく「共感型メディア」、マルチに展開できる「トランスメディア」、緊急時に特番で対応できる「24時間ライブメディア」を挙げた。

 制作にあたっての留意点として、「テレビ的な作りにはしないが、テレビで培ったコンテンツ制作能力を生かす」と説明。また、今回は制作プロダクションとしてのテレビ局という位置付けで、「『SOLiVE24』の取り組みは、テレビ番組の制作能力をさまざまなコンテンツに生かす布石にしたい」と語った。


2つのゾーン構成 SOLiVE24の今後の展開

ソラマドとニコニコ動画の共通点は集合知の活用

左から、京都造形芸術大学の竹村真一教授、ニワンゴの杉本誠司代表取締役社長
 記者発表会ではこのほか、「参加型で変わる、これからの新しいメディアのカタチ」と題したパネルディスカッションを行った。石橋氏、福原氏に加え、ニワンゴ代表取締役社長の杉本誠司氏、京都造形芸術大学教授の竹村真一氏が登壇した。

 福原氏は、「ニコニコ動画のユーザー数1000万人は、テレビの視聴率で言えば10%程度だが、ユーザーの入れ込みが強いため、テレビよりも濃くメディアに接触している」と話す。また、「SOLiVE24」のジングルには、ニコニコ動画で知った「初音ミク」を使用していることも明らかにした。

 杉本氏は、「『ソラマド』は、ユーザーの集合知を生かすというロジックがニコニコ動画に似ている」と話す。また、「情報を受けるだけでなく、発信者になることで、リテラシーが上がる。『ソラマド』を利用すれば、日々の天気の移り変わりも意識するようになり、環境問題へも関心を持つことになるのでは」と語った。

 ユーザー参加型メディアについて竹村氏は、「参加型により、小さなピースが集まって大きなパラダイムを生む時代になる。経験資源をインターネットによって表に出していくことが可能」とコメント。福原氏も、「視聴者の情報が合わさることでリアルなものになる。暗黙知を顕在化できる点はインターネットならでは」と話した。

 テレビとインターネットの関わり方については、福原氏が「一度に多く情報発信できるのはテレビだけ。一度にリーチできるのもと、参加型メディアがどこかで折り合いを付けることが必要」と述べた。竹村氏は「テレビが発信するトップダウンの予測に、ネットで地域別の情報も付加することで充実できる」とした。また、杉本氏は、「ニコニコ動画は、既存のメディアを駆逐するものではない。今までのメディアとかぶる部分は棲み分けできるよう、あらためて考え直す次期にきているのではないか」と話した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://weathernews.com/jp/c/press/2009/090423.html

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( 野津 誠 )
2009/04/23 19:57

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