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JASRAC理事長、審判請求は「対公取委の構図で見ないで」


JASRACの加藤衛理事長
 日本音楽著作権協会(JASRAC)の加藤衛理事長は20日、公正取引委員会(公取委)から受けた排除措置命令に対して、命令の全部の取り消しを求める審判請求を申し立てた件について、「公取委対JASRACという構図で見ないでほしい。審判請求の勝ち負けではなく、利用者側と権利者側の両方の視点でちょうど良い解決方法を公取委と模索していきたい」とコメントした。

 排除措置命令は、JASRACがテレビ局などの放送事業者との間で締結している包括契約の算定方法などが、私的独占に該当するとして出されたもの。公取委では、放送事業者が番組内で利用した楽曲に占めるJASRAC管理楽曲の割合が使用料に反映されておらず、放送事業者がJASRAC以外の管理楽曲を使用すると使用料の総額が増加してしまうため、私的独占に該当するとして、JASRACに徴収方法の変更を求めている。

 これに対してJASRACは審判請求で、「代替可能な商品・役務とは異なり、音楽の著作物は基本的に代替性を欠く」「放送事業者が放送使用料の追加的な発生を回避するために、他の管理事業者の管理楽曲を利用しないということはなく、利用しないと考えることに合理性がない」などと指摘。さらに、公取委との協議を通じて、実行可能で効果のある徴収方法を検討することが妥当であるとの考えを示している。

 20日に行われた定例会見で加藤氏は、諸外国では数十年前から放送事業者と著作権管理団体の包括契約が定着していることを指摘。にもかかわらず、「日本では放送分野のみに排除措置命令が出されたことは由々しきこと」と不満を漏らした。「外国の各団体からも『なぜ問題になったのか』と心配する問い合わせが来ているが、わたしどもも理由がわからないため、答えようがない」。

 審判請求とは別に、排除措置命令をクリアする条件を聞くために公取委と協議を続けていることも明らかにした。しかし、現段階では公取委から明確な回答は得られていないという。「仮に(放送事業者から利用楽曲をすべて報告してもらう)『全曲報告』を求められれば、放送事業者の負荷は大きい。なるべくそうならないように公取委と良い方法を考えたいというのが本当の気持ち。審判請求の意気込みもない」と話した。


関連情報

URL
  日本音楽著作権協会(JASRAC)
  http://www.jasrac.or.jp/

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( 増田 覚 )
2009/05/20 20:09

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