Internet Watch logo
記事検索
最新ニュース

Facebookにロシア系投資事業会社が2億ドルを出資

不況下でも企業評価額は100億ドル

Digital Sky TechnologiesのWebサイト
 米Facebookは26日、ロシア系投資事業会社のDigital Sky Technologiesが同社に2億ドルの出資を行ったことを発表した。Digital Sky TechnologiesはFacebookの優先株を取得し、Facebook株式の1.96%を保有することになる。今回の出資では、Facebookの企業価値を100億ドルと評価したことになる。

 Digital Sky Technologiesは、インターネット事業に投資を行う会社で、ロンドンとモスクワに本拠地を持つ。同社の3人のパートナーは、それぞれインターネット事業、投資、ファイナンス分野で経験を積んでいる。Yuri Milner氏は、ロシア語圏シェア首位のWebサイト「Mail.ru」の前CEO、Gregory Finger氏は数十億ドル規模のヘッジファンドであるNCHのモスクワオフィス元代表、Alexander Tamas氏はゴールドマンサックスでEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域のインターネットソフトウェア部門を担当していた経歴を持つ。こうした人脈は、70%が米国外ユーザーだというFacebookのさらなる国際化に向けて大きな役割を果たすことになる。

 Digital Sky Technologiesは、「Mail.ru」「Forticom」「vKontakte」など有名サイトに出資し、ロシアと東欧地域のインターネット企業に多数の投資を行っている。それらをすべて合わせると、ロシア語圏内の70%のページビューを占めるとされる。また、13カ国にまたがる5つのSNSに投資しており、ユーザー数の合計は3億5000万人に達するという。

 こうした多数のSNSへの投資経験から、Digital Sky Technologiesは、この分野のビジネスを非常によく理解しており、今回のFacebookへの投資にも満足していることを表明している。同社が投資してきた5つのSNSはいずれもビジネスモデルが異なっており、収益化に異なる道のりをたどっている。Facebookにもこうした経験が生かされる可能性がある。Milner氏は、Facebookの収益化にマイクロペイメントと広告ビジネスが大きく寄与するとの期待感を表している。

 これに関して、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏は、広告ビジネスが極めて重要な主力ビジネスであることを強調した上で、マイクロペイメントを含め、さまざまなビジネスのテストを行っていると説明。現時点でマイクロペイメントは同社のビジネスの大きな割合を占めるには至っていないが、ユーザーにとって価値を作り出す方法であることを認めるとともに、収益化に貢献する方法も模索しながら、Digital Sky Technologiesとともに検討していきたい考えだ。


IPOは「急いでいるわけではない」とFacebookのZuckerberg CEO

FacebookのMark Zuckerberg CEO
 今回、Facebookの企業価値が100億ドルと評価されたわけが、これは、2007年11月に米Microsoftが同社に出資した際の評価額150億ドルを大幅に下回っている。これについてZuckerberg氏は特に問題視はしておらず、「良い取り引きだった」とコメント。その理由として、Microsoftとの契約は市場のピーク時に行われたことや、検索分野での提携を含め、出資は広範な提携関係の一部にすぎなかったことを指摘した。

 今回のDigital Sky Technologiesの出資でも、今後さまざまな提携関係を模索していることから、金額そのものは提携の一部にすぎないと指摘。企業の価値評価を一概に比較することはできないとの考え方を示した。また、Digital Sky Technologies側では、優先株を取得するものの、取締役を送り込む予定はなく、「純粋な投資だ」との考えを表明している。

 今回はロシア資本による大きな資本参加だが、「米国外資本による過去最大の出資か」との質問には明確な回答はなかった。これまでに中国資本による出資も受け入れており、資本関係も国際化している様子がうかがえる。

 また、噂されるFacebookのIPOに関する計画だが、Zuckerberg氏は「それは単なるマイルストーンの1つであり、ゴールではなく、急いでいるわけでもない」とコメントしている。

 Facebookは公開企業ではないため、財務状況を公表していない。しかし記者会見では、同社が5期連続でEBITDAベースで黒字であり、現在6期目を迎えていること、売り上げ成長率は70%で、2010年にキャッシュフローの黒字化を目指していることを明言した。

 さらに、Facebookがビデオチャット製品の開発を進めているとの噂に関して、初めて公式に認めた。社内では、それ以外にもさまざまな製品やサービスの開発を行っているとしている。

 Facebookでは、将来的には世界のすべての国でFacebookが利用できるようになり、全人類が互いにコミュニケーションを行えるプラットフォームになることを目指すとしている。そのためにサイト内容を単に翻訳するだけでなく、ボランティアによる翻訳計画を含め、国ごとにローカライズし、優良な製品とサービスを提供していきたい考えを示している。


関連情報

URL
  ニュースリリース(英文)
  http://www.facebook.com/press/releases.php?p=103711&_fb_noscript=1
  Digital Sky Technologies(英文)
  http://www.dst-global.com/

関連記事
MicrosoftがFacebook株を取得、Facebookの企業価値は150億ドルに(2007/10/25)
Facebookが欧州を席巻、11カ国でSNSシェア1位に(2009/04/16)


( 青木大我 taiga@scientist.com )
2009/05/27 14:17

- ページの先頭へ-

INTERNET Watch ホームページ
Copyright (c) 2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.