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「QNAP World Tour 2025」で、障害や災害にも耐えるNASの「高可用性」を実現する独自ソリューションを紹介

 QNAP株式会社は10月28日、同社のバックアップやストレージに関する最新のソリューションを紹介する「QNAP World Tour 2025」を開催した。会場では、セミナーのほか、同社とパートナー企業の製品の展示およびデモが実施された。

 ここでは、セミナーの一部を紹介する。

増加するランサムウェア被害の対策

QNAP株式会社 営業部 シニアセールスエンジニア ジョニー・シェー氏

 「高可用性:常時稼働を実現するデータインフラの構築」と題したセミナーでは、QNAP株式会社のジョニー・シェー氏(営業部 シニアセールスエンジニア)が登壇し、同社の新たなNAS向けOS「QuTS hero 6.0」の新機能や、障害発生時でも影響を最小限にする「高可用性」(HA:High Availability)を実現するソリューションについて講演を行った。

 セキュリティ面では、増加するランサムウェアへの対策として、「イミュータブル・スナップショット」への対応や、暗号化の強化が行われているという。

 イミュータブル・スナップショットは、設定している時間帯に、スナップショットの変更や削除を実行できないようにする機能。誤って削除されるリスクや、ランサムウェアなど、悪意を持った他者による攻撃を対策できる。

イミュータブル・スナップショット

 OS起動時に信頼するソフトウェアのみを起動させるセキュアブートにも対応し、マルウェアの実行を遮断できる。セキュアブートは、11月に発売予定の「TVS-AIh1688ATX」以降の機種で使用できる。

 QuTS hero内で使用できる「QuFirewall」の新機能として、インターネット経由でNASに接続する際、許可されたIPのみを一時的に接続可能にする機能が追加された。外部のIPアドレスに対して、接続可能な時間などの権限も指定できる。

QuFirewallにおけるIP管理のイメージ

 このほか、複数の装置間で暗号鍵を管理する規格「Key Management Interoperability Protocol」(KMIP)や、生体認証の規格「FIDO 2」に対応する。

「Qtier」「FileTiers」でデータ管理の最適化

 「Qtier」は、保存されているデータを、よく使う「ホットデータ」、たまに使う「ワームデータ」、ほとんど使わない「コールドデータ」の3つに分類し、ホットデータは読み込みの速いSSD、コールドデータはHDDに保存するといった形で、利用頻度ごとにデータの保存先を指定できる機能。データへのアクセス頻度に基づいて移動が実行される。

Qtierにおける階層化のイメージ

 「FileTiers」では、Qtierと同じく利用頻度ごとに分類したファイルの保存先を、NASやクラウドなど複数のストレージに設定できる。同機能で適切に保存先を設定することで、保存コストを最大40%削減できるという。

FileTiersでは複数のストレージに保存できる

 また、アクセスの遅いHDDやクラウドストレージなどの「キャパシティ層」に保存されたコールドデータにアクセスがあった場合、アクセスの速い「パフォーマンス層」にデータを移動させ、アクセスを高速化する機能も提供される。

単一障害点を排除し「高可用性」を実現

 今回のシステム更新において、最も重要な内容が「高可用性」(HA)を実現するソリューションだという。

 「高可用性」とは、障害や災害、サイバー攻撃などの影響を防ぎ、システムがほぼ無停止で常時利用できる状態のこと。同社のシステムでは、機器が故障した場合に、自動的に機器を切り替えたり、分散して処理を行ったりすることで、システムが使用できなくなる単一障害点を排除している。

 接続方法やシステム規模別に「アクティブ-スタンバイHA」「アクティブ-アクティブHA」「スケールアウト」の3種類のHAアーキテクチャが提供される。

HAアーキテクチャの構成図
HAアーキテクチャの比較

 ジョニー氏は、QuTS hero 6.0について「高可用性、安全性の強化を実現し、よりスマートに進化したOS」だとまとめた。