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バックアップだけでなく検証付きの「確信復旧」へ、「QNAP World Tour 2026」で最新のソリューションを紹介

 QNAP株式会社は10月28日、同社のバックアップやストレージに関する最新の製品・技術・ソリューションを紹介する「QNAP World Tour 2026」を開催した。会場では、セッションに加え、同社製品とパートナー各社のソリューションを組み合わせた展示が行われていた。

 本記事では、セッションの一部を紹介する。

バックアップの完了だけでなく復元と起動も確認する

QNAP株式会社 営業部部長 谷勝雅氏

 「データバックアップから『確信復旧』へ」と題したセッションでは、QNAP株式会社の谷勝雅氏(営業部部長)が登壇し、ベータ版を提供しているソフトウェア「HDP for Business」を紹介した。

 谷氏は、バックアップの基本方針として、データのコピーを3つ、保存メディアを2種類、オフサイトのコピーを1つ、変更不可のコピーを1つ確保し、バックアップエラーを0にする「3-2-1-1-0」を紹介した。しかし、バックアップの完了を示す表示は、データがコピーされたことを示しているにすぎず、実際にシステムを起動できるかまでは分からないという。

 同セッションでは、バックアップ検証、ランサムウェア対策、迅速な復旧、一元管理の4つを軸に、HDP for Businessの機能を説明した。

バックアップ検証、ランサムウェア対策、迅速な復旧、一元管理の4つが機能の軸

 同ソフトウェアは、対応するQNAP製のNASにインストールして利用するもの。Windows PCやサーバー、VMware・Hyper-V・Proxmox上の仮想マシン、ファイルサーバー、SQL ServerやOracleのデータベースなど、多様な環境のバックアップを一元管理できるという。

 バックアップ検証では、バックアップの完了後、バックアップサーバー上で復元と起動のテストを自動的に行う。同社の仮想化ソフトウェア「Virtualization Station」を使用して、バックアップをNAS上の仮想マシンとして復元・起動する仕組みで、本番環境の稼働を継続したまま検証できる。

 起動時の画面は動画として記録され、BIOSの起動からOSの読み込み、ログイン画面までを確認できる。バックアップから起動できた記録を、監査などで復旧テストの証拠として提示できるとしている。

バックアップ自体の保護とサービスの早期再開

 ランサムウェア対策では、オンサイトでバックアップデータを保護する「イミュータブルバックアップ」、オフサイトのコピーをロックする「オブジェクトロック」、バックアップ時間外にバックアップサーバーの電源を切る「Airgap+」の3つが紹介された。

イミュータブルバックアップ、オブジェクトロック、Airgap+の3層でランサムウェアから防御する

 イミュータブルバックアップは、同社のNAS向けOS「QuTS hero」を搭載した機器で使用できる機能で、書き込まれたバックアップにロックをかける。設定した保持期間中は、管理者であってもデータを変更・削除できないため、仮に管理者の認証情報が盗まれた場合でも、バックアップを保護できるとしている。

 災害やハードウェア障害などに備え、拠点外のオフサイトにデータを保管することもある。こうしたバックアップについても、保存先でデータを変更できないようにするオブジェクトロックをかけられる。

 Airgap+では、スケジュールされた時間にバックアップを受け取り、それ以外はバックアップサーバーの電源を切ることで、攻撃者からアクセスされる時間を抑える。

 そして、復旧時間の短縮に向けては、バックアップをNAS上の仮想マシンとして直接起動するインスタント復元が紹介された。たとえば、ERPサーバーが停止した場合、バックアップサーバー上でERPを起動し、利用者がそちらに接続することで業務を再開する。元のシステムを修復する間、NASを一時的な復旧基盤として利用できるという。

 このほか、複数拠点のバックアップ状況の一元管理や、あらかじめ設定したルールに従って、新しく追加された仮想マシンを自動的にバックアップ対象に組み込む機能にも対応する。

 復元操作の権限は利用者ごとに設定できる。担当するPCやファイルサーバーの復元権限だけを割り当て、利用者自身で復元できるようにすることで、IT担当者の負担を減らせるとしている。

社内ネットワークの見えにくい脅威を検知・分析する

QNAP株式会社 プロダクトマーケティング部部長 原幸人氏

 「Security-by-Designという新しいセキュリティ思考」と題した講演では、QNAP株式会社の原幸人氏(プロダクトマーケティング部部長)が登壇し、社内ネットワークの脅威を検知・分析し、対処する「ADRA NDR X」を紹介した。

 原氏は、外部からの攻撃を防ぐ境界防御や、スナップショットやバックアップによるデータ保護に加え、社内に侵入した攻撃者の活動を監視する必要があると説明した。ADRA NDR Xでは、「ラテラルムーブメント」と呼ばれる、攻撃者がネットワーク内を横方向に移動する活動を検知するという。

ADRA NDR Xでは、ラテラルムーブメントを検知する

 導入時は、対応するスイッチのミラーポートから通信のコピーをNAS上のADRA NDR Xへ送り、分析する。各PCに監視用のエージェントをインストールする必要はなく、ソフトウェアを追加できない工場の機器なども監視対象にできるとしている。

 ADRA NDR Xは、スキャニング、異常操作、システム脆弱性の悪用、マルウェアとランサムウェアの4つのカテゴリーについて、4万3000以上のシグネチャーに基づく検知を行う。講演では、こうした既知の攻撃の特徴に基づく検知に加え、AIによる振る舞い学習を活用する仕組みも紹介された。

 振る舞い学習では、機器ごとの通信量、接続先、活動時間、使用するプロトコルなどから通常の状態を学習し、そこから逸脱したものを異常として検知する。普段と異なる相手への接続や、業務時間外の活動、大規模なスキャン、SMBトラフィックの急増などを手掛かりに、シグネチャーだけでは捉えにくい未知の攻撃や不正な活動の発見につなげる。

通常の状態から逸脱した活動を異常として検知する

 高リスクと判断される振る舞い(高リスクイベント)を検知した場合は、スイッチ側で対象機器のMACアドレスをブロックし、ネットワークから隔離する。同時にNASのスナップショットを取得し、その時点のデータを保存して復元に備える仕組みが紹介された。

 さらに、LLMを用いて不審なパケットを解析し、脅威の概要や対応策をまとめたレポートも作成する。個別の振る舞いだけでなく、大規模スキャンから未知の機器への接続、暗号化に至るまでの流れを関連付け、IT担当者が攻撃の全体像を把握しやすくするという。

 ADRA NDR Xは無料で利用できる。対応するNASとスイッチが必要で、講演ではQNAP製のほか、Cisco・HPE・Arubaの一部スイッチへの対応も紹介された。なお、AI機能はNASの計算資源を多く使用するため、上位モデルの利用や事前の動作検証を推奨している。