中東・北アフリカ地域のネット利用者、7割に社交的関係の変化
中東・北アフリカ地域(MENA)に住むインターネットユーザーの約7割が、手紙や電話に比べてインターネットによる社交的活動が増加し、人間関係がよりバーチャルになったと感じていることがわかった。中東の職業紹介サイト「Bayt.com」と、調査会社のYouGov Sirajの共同調査によるものだ。
調査は2009年10月30日から11月22日まで、UAE、サウジアラビア、カタール、オマーン、クウェート、バーレーン、シリア、ヨルダン、レバノン、エジプト、モロッコ、チュニジア、アルジェリア、パキスタンで16歳以上の1万3847人を対象にオンラインで行われた。
インターネットが社交的活動の主流になったと感じているインターネットユーザーが最も多かったのは、オマーンの76%。次いでエジプトの74%、バーレーンの73%だった。また、80%のユーザーが、インスタントメッセージや電子メール、他のインターネットツールが手紙や電話を置き換えていると感じていた。
さらに、74%は、インターネットは実世界では不可能な人脈ネットワークづくりを可能にしたと考えている。特にバーレーンで顕著で、80%に上った。次いでオマーンの78%、チュニジアの77%、モロッコの76%、UAEの73%と続く。
人脈ネットワーク構築に関して中東・北アフリカ地域全体で傾向は一致していたが、インターネットによる情報の発見のしやすさに関して結果は分かれている。
例えば、アルジェリアでは68%、モロッコでは63%が、インターネットで情報を発見することの難しさを感じている。これに対して中東ではこの割合は比較的低く、カタールは43%、クウェートは48%、UAEは49%、サウジアラビアは53%、バーレーンは59%だった。最もこの数字が低かったのは、レバノンの40%。
レバノンではこの傾向が特に強く、逆に自分をインターネットのエキスパートであると考える割合が40%でトップだった。中東・北アフリカ地域全体の平均値は24%で、自分を中程度のレベルだと考えるユーザーが23%、知識はあるが助けが必要と考える人が49%となっている。
インターネットの利用時間に関しては、仕事のための利用が1日平均2時間までのユーザーが49%、3~4時間が25%、5時間以上が25%だった。これに対して、娯楽目的となると、2時間までのユーザーが67%に上る一方で、5時間以上が14%にとどまっている。インターネットを娯楽よりも仕事の方に多く使用している傾向がみられる。
インターネットの利用目的は、メールが83%に上ったが、ニュースを最低でも1カ月に1回は閲覧しているユーザーも78%いる。そのほか多かったのは職探しが77%、SNSと音楽がそれぞれ57%だった。
87%のユーザーはインターネットが新聞などの印刷物を置き換えていると回答。この傾向はオマーンで93%、エジプトで90%と非常に高い数字を示した。
ネット決済に不安を感じるユーザーは、45%に上った。この数字は、シリアで69%、エジプトで68%、ヨルダンで67%、クウェートで66%と高く、UAEでは55%だった。
インターネットによる教育には多くが関心を示しており、65%がインターネットによる学位取得に関心を示している。特にエジプトでは76%、オマーンでは75%に上った。
関連情報
(青木 大我 taiga@scientist.com)
2009/12/24 15:32
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