「kizna」ベータ版が3月末公開、ソーシャルメディアでCRMを実現


 株式会社きずなは、ソーシャルメディアクライアント「kizna(きずな)」ベータ版を3月31日に公開する。まずはTwitterクライアントの機能を提供し、Facebookなどのソーシャルメディアにも順次対応する。当初は招待状を受け取ったユーザーのみが利用できる。

 kiznaは、同社代表取締役社長の中村仁氏が運営する飲食店「豚組」で得たノウハウをもとに開発を進めているというソーシャルメディアクライアント。当初はウェブ版のみが提供され、近日中にiPhoneアプリ「kizna for iPhone」も公開される予定。

Twitterで特定の相手と交わした会話を時系列に一元管理

ウェブ版kiznaのイメージ
kiznaの料金体系

 Twitterクライアントとしては、特定の相手と交わした会話を、リプライやRT、ダイレクトメッセージ(DM)を含めて時系列に表示する「History」機能や、“後で対応しよう”と思ったツイートにToDoマークを付けて保存する機能などが特徴だ。

 ユーザーもしくはツイートごとに任意のタグを付けることも可能。タグはKizna上から検索できるため、企業ユーザーは顧客に特定のタグを付けて一括管理したり、個人ユーザーは覚えておきたい会話を分類しておくなどの使い方がある。

 過去に投稿したツイートに加えて、自分に寄せられたツイートやDMも自動的に保存しており、これらをkiznaから検索できる。Twitterの検索機能は「現時点のツイート」が検索対象となっているが、kiznaは「自らの過去」を検索することが可能だ。

 また、TwitterのリプライやDM、ユーザーが設定したキーワードによる検索結果、Facebookなど他のソーシャルメディアのメッセージなど、自分にとって重要度の高い情報を1カ所にまとめて表示する「Universal Inbox」も独自の機能だ。

 さらに、アドレス帳機能として、Twitterのアカウント名やプロフィールに加えて、その人の本名や住所、電話番号、メールアドレス、勤務先などを登録できる。その人の趣味や特徴などを記録する機能も備える。

 なお、当初はTwitterのみに対応したサービスとしてリリースされるが、2011年春以降はFacebookなど他のソーシャルメディアに対応していく。その際には、複数のソーシャルメディアを利用する同一人物を“名寄せ”する機能も提供する予定だ。

 kiznaの料金体系は4通りある。無料のFREEプランはTwitterアカウントが2件、ツイート保存数が1万5000件、タグ数が20件までといった制限がある。これらの制限がないUnlimitedプランを月額300円程度、さらに上位のProプランやfor Businessプランも用意する。

ソーシャルメディアでの対話を支援

きずな代表取締役社長の中村仁氏

 きずな代表取締役社長の中村氏は、豚組などの飲食店事業で積極的にTwitterを活用してきたことでも知られている。Twitterなどのソーシャルメディアを使った顧客サポートにはさまざまなメリットがあると、中村氏は自らの体験を振り返る。

 メリットの1つは、顧客の言動が“お行儀良い”ことだ。ソーシャルメディア上では、顧客とのコミュニケーションが公開されるため、いわゆる“荒らし”のような行為が少なく、実際に豚組では、Twitter経由で予約した顧客のキャンセル率はゼロだという。

 ソーシャルメディアでは、顧客とのやりとりが他のユーザーからも閲覧されているため、優れた対応をする企業の評価が高まったり、対応内容を共有しやすいというメリットもある。ときには、顧客同士でサポートをしてくれることもあるという。

 中村氏は、ソーシャルメディアで丁寧に顧客対応することを「ソーシャルCRM」と定義。特に顧客サポート分野においては、ソーシャルメディアへの対応が近い将来には必須になると見ている。

 その反面、現在のソーシャルメディアの多くは過去の投稿が参照しにくかったり、ユーザーの投稿がTwitterとFacebookなど複数のソーシャルメディアに断片化する問題もあると指摘。kiznaはこうした問題点に着目して開発を進めているという。

 「kiznaはソーシャルメディアでの対話を支援するサービス」とアピールする中村氏。個人ユーザーは友だちとのコミュニケーションを円滑にしたり、法人ユーザーは顧客との関係性を強化できるとして、利用を呼びかけた。


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(増田 覚)

2011/3/1 11:20