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米Amazonが独自仮想通貨「Amazon Coins」、Kindle Fireでのアプリ購入に使用

 米Amazon.comは5日、同社初の独自仮想通貨となる「Amazon Coins」を発表した。米国限定で5月に開始される予定で、Kindle Fireにおいてアプリやゲームの購入、ゲームアイテムのアプリ内購入などに使用できる。サービス開始時点で「数千万ドル相当」のAmazon Coinsを利用者にプレゼントする計画で、普及を後押ししたい考えだ。

 Amazon CoinsでKindle Fireアプリを購入すると、開発者への配分率は標準の70%となる。アプリ開発者がAmazon Coinsを利用するために必要な作業はなく、通常の決済手続きにAmazon Coinsが加わるだけだ。

 現時点でAmazon Coinsの価値は1セント相当だ。例えば2.99ドルのアプリは299 Amazon Coinsとなる。

 発表時点で米国外からAmazon Coinsは利用できず、米国以外でAmazon Coinsが発表される予定もない。また、サブスクリプションをAmazon Coinsで購入することはできない。

 仮想通貨を発行している企業はAmazonだけではない。有名どころではFacebook CreditsやMicrosoft Pointsなどが挙げられるが、いずれも「成功」しているとは言いにくい。仮想通貨はユーザーに余分な手間をかけさせる上に、ロックインされてしまうことをユーザーが心配するからだ。

 それでもAmazon Coinsを発表した理由は、Amazonのプレスリリースにうかがわれる。Kindle FireはAndroidプラットフォームをカスタマイズしているが、一般的にiOSアプリよりAndroidアプリの方が収益を上げるのは難しいとされている。

 そこで、Amazonのアプリ/ゲーム担当バイスプレジデントであるPaul Ryder氏は、「開発者たちは、他のプラットフォームと比較して、Amazonで高いコンバージョン率を報告し続けている」と述べることにより、Kindle Fireが他のAndroidと異なることを強調しているようだ。

 Amazon CoinsによってKindle Fireでの収益化が容易になり開発者が増えるのか、また利用者に受け入れられるのか、さらにはこれまでのAmazonギフト券やギフトカードとの関連性も注目されるところだ。

(青木 大我 taiga@scientist.com)