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会社で使うWi-Fi、小さなオフィスでも“法人向け”製品を選ぶべきですか?~情シスの疑問をバッファローに聞く

「仕事を止めない」を最優先すべき法人向けのネットワーク機器選び

写真左から、株式会社バッファロー 営業技術部 東日本営業技術課 平井敏幸氏、株式会社バッファロー 営業技術部 部長 深見昭生氏。同社の法人向けWi-Fiアクセスポイントと共に

 ネットワーク機器には家庭向け製品と法人向け製品があり、特にWi-Fiアクセスポイント(Wi-Fiルーター)では、スペックの主要項目を見比べると、法人向け製品はスペックのわりに高いと感じられるかもしれない。会社の経営層から「ウチぐらいの小さな会社なら、家庭向けでも十分なんじゃないか?」と言われ、悩んだ経験のある情シス担当者も少なくないだろう。

 どの家庭にもWi-Fiルーターはあり、毎日問題なく使えている。それほど規模の大きくないわが社なら、家庭用のハイスペックな製品を買っておけば十分ではないだろうか……という考えになっても不思議ではない。では、家庭向け製品と法人向け製品は、どこが違うのだろうか?

 今回は、家庭向け・法人向けの両方のWi-Fi製品を手がけるバッファローに、「会社で使うWi-Fi製品に、法人向けモデルを選ぶべき理由は何ですか?」という質問に答えていただく。

◆ポイント◆
「トップスピード」の家庭向け、「仕事を止めない安定性」の法人向け
今回のポイントは、家庭向けと法人向けでは、同じWi-Fiでも求められる要素が異なる、という点だ。バッファロー製品に限らず、一般に、家庭向けのWi-Fi製品は高速性が大きな売り要素となる。動画の視聴、ゲーム、Web会議など、家庭のどのような用途にも、通信速度が求められ、満足度にもつながりやすいためだ。

対して、法人向けでは、何よりも安定性が求められる。短時間でもWi-Fiが止まってしまったら業務に支障をきたすし、売上に直接影響する可能性も高い。もちろん、速度が必要ないわけではないが、家庭よりも多くの人数が同時に利用する環境において、必要十分な速度を実現したうえでの安定性が重要となる(当然ながら、家庭向け製品が安定性を軽視しているわけでもない)。

分かりやすく対比させて言えば、家庭向け製品はトップスピードを追求して作られる一方で、法人向けでは安定性を追求して、製品自体はもちろんサポート体制も整備される。両者にそのような違いがあることを念頭に置いて、以降をお読みいただきたい。

 今回は、株式会社バッファローの法人向けのネットワーク機器やサービスを取り上げる。同社の法人営業部は全国に12の拠点を持ち、SI(システムインテグレーション)事業者などのパートナーを通じてユーザー企業に製品を販売し、中小企業向けのサポートも提供している。

 さらに、10年弱ほど前からは、営業担当とペアになって現場に赴く技術者のチームとして「営業技術部」を正式に組織。機器購入前の商品紹介や機器選定相談といったプリセールスから、構成相談や設定サポートといった機器導入のサポート、そして機器導入後のトラブルや構成変更などをサポートするフィールドエンジニアの領域までをカバーしている。また、そこからユーザー企業の声を汲み上げ、製品へのフィードバックも行っている。

 ユーザー企業をサポートしている営業技術部が見た、中小企業の課題とバッファローの製品について、株式会社バッファローの深見昭生氏(営業技術部 部長)と平井敏幸氏(営業技術部 東日本営業技術課)に話を聞いた。

【Wi-FiルーターとWi-Fiアクセスポイントの違い】

本稿の後半でも説明するが、「Wi-Fiルーター」は、オフィス内と外のインターネット(などの異なるネットワーク間)をつないぐためのルーター機能と、デバイスをWi-Fi接続するWi-Fiアクセスポイントが一体化した製品。家庭ではWi-Fiルーターを導入するのが一般的だが、法人では、ルーターを別途導入したうえで、Wi-Fiアクセスポイントを導入することが多い。

法人向けのWi-Fi機器を選ぶ理由は

 バッファローでは法人向けのWi-Fi機器として、Wi-Fiアクセスポイントと、ルーターと一体になったWi-Fiルーターを販売している。Wi-Fiアクセスポイントは機種によって主に同時接続台数が異なり、導入先に合わせて選ぶ。

 変わったところでは、防塵・防水や耐環境性能を備えた屋外用のWi-Fiアクセスポイントもラインアップしている。例えば倉庫でハンディ端末をWi-Fi接続するのに使われたり、変わったところでは酪農の牛舎で使われたりしているという。

左から、Wi-Fiルーター「VR-U300W」、Wi-Fiアクセスポイントの「WAPS-AX4」(同時接続数最大128台)、「WAPM-AX4R」(同時接続数最大256台)、「WAPM-AXETR」(同時接続数最大768台)、屋外用Wi-Fiアクセスポイント「WAPM-1266WDPRA」

 Wi-FiアクセスポイントやWi-Fiルーターとしては、家庭向けの製品が普及しており、バッファローからも発売されている。企業でも、小規模なオフィスではそうした家庭向けの製品が使われているケースも多い。

 では、企業が、特に中小企業が、法人向けWi-Fi製品を選ぶ意味はどこにあるのだろうか。

 これについてバッファローでは、ウェブサイトでも「業務用Wi-Fiルーターをおススメする4つの理由」として掲載している。

  1. 【業務を止めない】保証期間が長くサポートも充実で安心
  2. 【ストレスフリーな通信】多台数同時接続でも安定通信
  3. 【情報漏洩リスク対策】セキュリティレベルが高い
  4. 【管理工数を削減】遠隔管理で機器管理者の負担を大きく軽減

多台数でも安定して通信ができる

 4つの中でも、企業がWi-Fiを家庭向け製品から法人向け製品に乗り換える理由として多いものとして、2つ目の「多台数同時接続でも安定通信」のポイントを深見氏は挙げた。

 「家庭向けWi-Fiルーターをとりあえず入れたが、接続が安定しないという声をいただくケースが多いですね。そのような場合に、法人向け製品に入れ替えていただくと、安定性が改善してご満足いただけます」と平井氏も言う。

 カタログスペックで推奨同時接続台数を見ても、家庭向け製品で14台ほどなのに対し、法人向けのWi-Fiルーター「VR-U300W」で40台(最大接続台数256台)となっており、多台数接続に対応していることがわかる。

【同時接続台数の意味】

Wi-Fi製品の同時接続台数は、メーカーにより「理論上同時接続できる最大台数」を記載している場合もあれば、自社の基準に照らして「快適に使える台数」を記載している場合もある。異なるメーカー間で比較する場合には、この点を注意したい。バッファローでは快適に使える台数「推奨同時接続台数」と、理論上の「最大接続台数」の両方を記載している。

 コンシューマー向けの製品では、最新の規格への対応や速度の高さを売りとして前面に出すことが多い。一方、法人向けでは、業務に十分使える速度を確保したうえで、業務インフラとして、どんな場合にも止まらないことが優先される。「オフィスでは多くの従業員がメールやビジネスチャット、Web会議などを利用しています。また、工場や倉庫などで機器間の通信が行われることも想定されます。想定外のネットワーク遮断は直接的に売上へのダメージや損害にもつながりかねません。そうした現場では、速さの追求よりも安定稼働が重視されます」と深見氏も言う。

「オフィスでの想定外のネットワーク遮断は、直接的に売上へのダメージや損害にもつながりかねません。速さの追求よりも安定稼働が重視されます」(深見氏)

 特にオフィスでは、社員の人数以上の数のデバイスが同時につながり、Web会議などで大容量の通信を行うことも想定する必要がある。そこで、法人向け製品では、多台数でも安定して通信ができることなどを優先して、パケットの間隔などの無線のパラメータをチューニングしているという。「開発拠点である名古屋本社では80台ぐらいのタブレットを用意して、それを同時につないでチューニングをしています」(平井氏)。

セキュリティにつながる高度な管理機能を搭載

 3つ目の「セキュリティレベルが高い」についても、家庭向け製品にはないセキュリティにつながる高度な管理機能が、法人向け製品には搭載されている。

 例えば、家庭向けWi-Fi製品ではアクセスポイントごとに共通のパスワードで接続するが、法人向け製品ではIEEE 802.1X認証に対応しているためRADIUSサーバーで認証を管理できるようになっている。これにより、個別のユーザーを区別して認証でき、複数台のアクセスポイントの認証も1箇所で集中管理できる。中小企業でもRADIUS認証を使うところも多く、最近ではクラウドRADIUSとの連携も見られるという。

 また、法人向け製品ではVLANに対応しているため、例えば来客はWi-Fiアクセスポイントからインターネットにだけ接続できるゲスト用ネットワークにつながり、業務用ネットワークに接続できないように分離する、といったこともできる。

【IEEE 802.1X認証とRADIUSサーバー】

無線LAN(Wi-Fi)および有線LANにおいて、ユーザーベースで電子証明書とID・パスワードを用いて接続するデバイスを認証する方式。IEEE 802.1X認証のために使われるサーバーをRADIUSサーバーという。
関連記事:
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 そのほかバッファローのWi-Fiルーターでは、中小企業に必要な機能に絞ることで専用製品より価格を抑えた「UTM」(Unified Threat Management:総合脅威管理)機能を、ルーターのオプション機能として用意している。

 「認証など、大手企業はかなりセキュリティの意識レベルが高いです。これが、SCS評価制度によって、中小企業にも広がっていくのではないかと思います。そこでバッファローでは、どなたでも直感的に理解しやすい設定画面などを意識して対応していく考えです」(深見氏)。

 前述した4つの理由のうちの1つ目「保証期間が長くサポートも充実で安心」も、家庭向け製品と違う部分だ。家庭向けWi-Fiルーターのメーカー保証が1年間のところ、さきほども挙げた法人向けのWi-Fiルーター「VR-U300W」では標準で3年間、購入から30日以内にウェブサイト上で登録することで、2年間延長して5年間の保証に、有償の保守パックを購入することで最大7年の保証になる。何かあったときにも心強い。

 そして、4つ目の「遠隔管理で機器管理者の負担を大きく軽減」としては、バッファローの法人向け製品をリモート管理し、遠隔拠点の機器の動作状況を監視したり、設定を変更したりできる「キキNavi」を無料で用意している。これによって、リモート拠点に直接行かなくてもトラブルに対応できるほか、小規模な企業では機器を導入した販売会社がトラブルに対応することもでき、機器の保守・管理の手間を削減する。

複数台のアクセスポイントで無線ネットワークを構成、そのためのサポートも

 家庭とは違う企業ならではのWi-Fiの利用形態として、複数台のWi-Fiアクセスポイントで無線ネットワークを構成する使い方もある。企業内の有線ネットワークに複数台のアクセスポイントを接続することで、オフィスの各部屋などからできるだけベストな状態で無線接続できるようにするわけだ。これは家庭用のメッシュネットワークとも違う。

 「家庭向け製品では基本的に、ルーター機能とWi-Fiアクセスポイント機能をWi-Fiルーターとして一体化して、1台で運用するようになっています。それに対して企業向けでは、ルーターとWi-Fiアクセスポイントを別製品として用意しているため、ルーター1台に対して複数のアクセスポイントを組み合わせるといった構成が組めます」(深見氏)。

 複数台構成において、アクセスポイントの台数が少ないなどの理由でまばらに配置されていると、電波が弱かったりカバーできなかったりするエリアが生まれてしまう。一方で近くに複数台が密集すると、コストが無駄になるだけでなく、アクセスポイントが互いに悪影響を与えて、かえって電波状況が悪化してしまったりする。

 こうしたアクセスポイント配置の基準は、主に、広さと、接続する人数をもとに考える。広さには、什器があったり部屋が分かれていたりすることによる電波の飛びにくさなども含まれる。

 また、接続人数に関連して、動画やWeb会議などで通信量が多い場合には、より接続が集中しないようにする。「そうした現地の様子を見て、複数台置いたほうがいいとか、チャンネルを分けるとか、場合によっては有線でご提案したりしています。例えば、最近ではハイブリッド会議として会議室に多人数が集まって全員でWeb会議を行うことも多いため、会議室にアクセスポイントを置くような提案をすることが多くあります」(平井氏)。

「現地の様子を見て、複数台置いたほうがいいとか、チャンネルを分けるとか、場合によっては有線でご提案したりしています」(平井氏)

 バッファローの営業技術部のメンバーが全国のエンドユーザー企業をくまなく訪問するのは難しいが、全国にめぐらされた販売店網でカバーし、調査機材を使って電波状況を調査してサポートしている。それでうまくいかない部分については営業技術部が入って一緒に調査するといった形をとることもある。

 こうしたアドバイスやサポートを受けてWi-Fiアクセスポイントを設置できるのも、家庭用製品とは違う法人向け製品ならではだろう。

 ちなみにアクセスポイントの配置については、家庭向けと法人向けとで電源方式が違うことで配置の自由度が違ってくる点も、平井氏は語ってくれた。家庭向けWi-Fi機器はACアダプターを使うため、配置場所がその配線によって制約される部分がある。それに対して法人向けWi-FiアクセスポイントではLANケーブルで給電もできるPoE(Power over Ethernet)に対応しているため、電源ケーブルが不要でLANケーブルだけを配線すればよく、天井や壁などにも設置しやすいとのことだった。

 企業におけるアクセスポイントの多台数構成においては、ローミング支援機能も有効だ。複数台のアクセスポイントがある場合に、ユーザーがフロア内を移動すると、近いアクセスポイントに接続を切り替える。ただし、端末としては元の接続を維持しようとするため、なかなか切り替わらず、弱い電波を掴んだままで通信が遅くなってしまうことがある。そこで、アクセスポイントが端末との間の電波強度を見て、閾値より小さくなると端末に切り替えを促す、というのがローミング支援機能だ。

 「企業ですと、執務エリアで接続していて会議室に行ったときに、執務エリアの電波を掴んだままで接続が遅いといった現象が、ローミング支援機能で改善されたという話を聞きます」と平井氏は語る。

 ローミング支援機能は、各社の法人向けWi-Fiアクセスポイントでもしばしば搭載されている。「ただし、多くは、Wi-Fiコントローラーで制御するようになっています。それに対してバッファロー製品の場合は、Wi-Fiコントローラーではなくアクセスポイント単体で独立して動くもので、2台などの小規模から利用できます」と深見氏は説明した。

トラブルが起きたときの対応にも違い

 以上見てきたように、法人向けのWi-Fi製品は、1台の端末をつないだ性能より、多くの端末をつないで安定して使い続ける性能、そしてそのためのサポートが重視された製品だといえる。

 例えばトラブルが起きたときも、詳細なログを記録できる機能があるので(本体内や、USBメモリ、syslog)、販売店のSEが原因を調査できるようになっている。

 また、家庭向けの機器は基本的には1台1台にアクセスして管理するが、複数台の法人向けバッファロー機器をまとめて管理できるネットワーク管理ソフトウェアもオプションとして販売されている。

 その延長線上で、近年は、バッファローの法人向け機器をリモート管理できる「キキNavi」が登場している。遠隔拠点の機器の動作状況をリモートで監視したり、設定をリモートで変更したり、トラブル時に販売店がリモートで対応したりできる、無料で利用できるサービスだ。