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スマホを遠ざける・使いすぎを防ぐ4つの工夫、「ドパガキ」卒業のために20代ライターが試したこと(後編)
2026年9月18日 07:30
前編では、私のこれまでのSNSの使い方を振り返ってみました。今回は「ドパガキ」状態を自認せざるを得ないスマホ・SNS依存から脱却するための実践編です。
実践のコンセプトとして、スマホ、SNSを遠ざける(簡単にアクセスできないようにする)ことと、長時間使わなくなる(すぐに離脱できるようにする)という、2つの方向性から、4つのアクションを考えました。
1. SNSをアプリではなくブラウザーから使う
前編でも紹介した「スマホ依存がわかる本」(樋口進)で、使用時間を減らすために、アプリを削除してブラウザーからアクセスしてわざと使いにくくする、という方法が紹介されていました。たしかに、ついついSNSを使ってしまう原因の1つに、ホーム画面でアイコンをタップするだけで立ち上がる、という簡単さがあるのでは? と思いました。
そこで、思い切ってアプリを消してみることにしました。アプリを消したあとに、ブラウザーでログインの操作が面倒だな、と一瞬頭によぎったものの、これこそ、まさにSNSに依存気味だったことを自覚しました。
実際、これを試してみると、SNSを使うためのハードルが高くなっただけでなく、思わぬところで効果がありました。それは、投稿を見ようとするたびに時間がかかることです。アプリのように次々と新しい投稿が流れて来るのでなく、例えば、Instagramの「発見」タブから投稿を開いたとき、スクロールしても新しい投稿が表示されなかったのです。
ほかのSNSでも、読み込みに時間がかかったり、アプリに比べて使える機能に制限があるなど、あらゆる操作が少しずつ不便に感じられました。ただ、ほどよくSNSを使うために、この程度の不便さがちょうどいいのかもしれません。
ただしTikTokについては、ブラウザーから使うのは無理かも、と思いました。ブラウザーからのログインは成功したものの、いざコンテンツを視聴しようとすると、アプリをインストールするように誘導してくるのです(ブラウザーからも視聴は可能ですが)。また、視聴したいコンテンツを検索したときも同様に、アプリのインストールを強く勧められました。
2. 物理的にスマホを閉じ込めてロックする
SNSだけでなく、メールやLINEなどを使ってしまうこともあるので、「そもそもスマホに触れなくする方法」も検討しました。
最近では、勉強をする小中高生の間で、物理的にスマホをロックするアイテムが使われているようです。さまざまな種類があり、鍵のかかった箱のようなタイプでは、箱に入れて鍵をかけ、付属しているタイマーを設定すると、その時間だけ開けられなくなります。
ですが、私の場合、機能が多すぎると面倒になって使わなくなってしまう傾向があり、タイマー付きだと「何分に設定しようか」と迷って使わなくなってしまいそうだ、と思ってしまいました。
できるだけシンプルなものにしよう、ということで導入してみたのが「ソニック ブロックケース」です。画面に蓋ができるスマホケースのような形状で、鍵をかけることで開けられなくなりますが、タイマー機能などはありません。
ちなみに、子どもが勉強中に使う場合は、鍵をかけたうえで親が預かるなどするといいでしょう。私は、本体を作業スペースとは別の場所におき、鍵をパンツのポケットなどに入れるようにしています。
これは、使い始めてからすぐに効果を実感できました。スマートフォンが視界から見えなくなるだけで、「触ろう」という考えが起こらなくなるうえに、触ろうとすると、鍵を使って取り出す面倒な操作が必要ということで、物理的なハードルが課されている感じがあります。
作業や勉強の前にこのスマホロックを使うことで、次第にスマホの存在を忘れ、作業に没頭できるようになり、明らかに効果がありました。
3. スマホの画面をグレースケール化する
こちらは、長時間使わず離脱できるようにする工夫です。
2025年12月、九州大学がスマホゲームの遊びすぎ防止に関する論文を発表しました。子どもたちがゲームをするときに「画面のグレースケール化」「ロード遅延」という2つの設定を行ったところ、リテンション率(ゲームを再びプレイする割合)とプレイ時間の低下がみられ、というものです。
特筆すべきなのが、グレースケール化単体でも、1日の平均プレイ時間が20%以上減少したこと。色が与える影響は大きく、鮮やかな色彩は注意を惹きつける効果があり、ドーパミンもよく放出されます。色彩がなくなることによって、視覚的な刺激が減少し、ドーパミンの放出が抑えられ、ゲームをプレイしても「刺激がない」「楽しくない」という感覚になって、上記の結果が得られたといいます。
研究ではゲームが取り上げられていたのですが、ゲームに限らずショート動画などのSNSコンテンツの色彩を取り除くことによって、視聴時間が半減するのではないか? と思い、スマホでグレースケールを設定してみました。iPhoneおよびAndroidスマホでの設定方法を、簡単に説明します。
iPhoneでは、「設定」アプリを開いて「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストのサイズ」→「カラーフィルタ」と進み、「グレースケール」にチェックをつけて、「カラーフィルタ」をオンにします。これによって、色彩がなくなった状態の画面になります。また、コントロールセンターにカラーフィルタを配置することで、簡単にオン・オフの設定が可能です。
Androidでは、「設定」アプリを開いて「ユーザー補助」→「色と動き」→「色補正」と進み、「グレースケール」を選択した上で、「色補正を使用する」をオンにします。これにより、iPhoneと同様にグレースケールを使用でき、さらに画面の上端から下へスワイプする「クイック設定パネル」でも色補正のタイルを追加できます(機種により、メニュー構成などが異なる可能性があります)。
実際にグレースケールを使ってみると、SNSを開いたとしても延々とスクロールすることがなくなり、スクロールしている回数は体感3割くらいにまで抑えられているかも、といった感覚で、スマホを開く回数も減りました。色がなくなることで、ここまで引き込まれなくなるものか! と、驚きです。
4. 「興味・関心」フィードをリセットする
SNSにのめり込んでしまうのは「SNSのアルゴリズムのせいだ」とはよく言われており、実際、各プラットフォームはユーザーのアクティビティ(いいね、保存、閲覧時間など)に基づいて関心を学習し、関心に基づいてコンテンツを流す仕組みを構築しています。Instagramでいえば「興味・関心」フィードに、そのような関心のあるコンテンツが流れます。
有益な情報に偶然出会うことができるだけでなく、流行りのコンテンツを見つけることができ、リアルな場でも話のネタになる、という利点は確かに感じています。
しかし、自分のための情報を得るためには、ほかのいらない情報も見なければなりません。前編でも言及しましたが、自分が興味を持ってブックマークしたコンテンツは、1日あたりせいぜい4~5個程度。たったこれだけのために1日何時間も興味・関心フィードに費やすのはあまりにももったいないです。
このため、興味・関心フィードを整理するために、各アプリごとにリセットを試みました。
まずは、Instagramです。プロフィールのメニュー(右上にある3本線マーク)から「設定とアクティビティ」→「コンテンツ設定」→「おすすめコンテンツをリセット」へ移動します。「おすすめを新しくしますか?」と表示されるため、「次へ」を押してさらに進みます。これによって、フィード、発見タブ、リールに出てくるこれまでのおすすめコンテンツをリセットできました。
実際試したところ、自分が今まで見ていたコンテンツが表示されなくなり、アカウント作成初期のような、風景の写真などが表示されるようになりました。
次に、TikTokです。こちらは、プロフィール画面の右上にある3本線マークから、「設定とプライバシー」→「コンテンツ設定」→「「おすすめ」フィードを更新する」に移動します。「フィードを更新する」が出てくるので、更新するボタンを選びます。
ちなみに、画面を見る限り、現在はフィード更新を行うと、これまで興味を持っていた既存のコンテンツと、新しいコンテンツの割合が半々になるとのことで、完全なリセットは少々難しい模様です。実際にフィード更新を行うと、たしかに割合としては五分五分、といった具合でした。
そして、X……ですが、Xでは、関心に関する学習をリセットする機能が見当たりませんでした。
このため、流れてきたポストのうち見たくないものは「ポストに興味がない」を選んで、少しずつ学習を書き換える試しに20ポストほどを機械的に「興味がない」としてみました。この操作を行う前は、「おすすめ」フィードにはフォローしているアカウントのポストが5割、フォロー外のポストが5割ほど並んでいたのが、前者が8割、後者が2割ほどに変わった印象です。
実際に各アプリのフィードをリセットしてみると、いい意味で「自分のためにおすすめしてくれていないな」と、その効果を感じられました。いくらスクロールしても、あまり興味のないコンテンツが並び、ついにスクロールに飽きて画面を閉じました。フィードのリセットは、SNS利用時間を減らすには体感でも大きな効果を感じました。
なお、これはあくまでもリセットを行うだけで、また徐々に自分が興味を持つコンテンツが流れるようになります。定期的にリセットするのがよさそうです。
思えば、学生時代と比べると、ここ1、2年でSNSに脳がハッキングされているような感覚が強く感じられるようになりました。「このままだと本当に、24時間SNSに縛られるのではないのか」という危機感すら覚えるほどに……。これだけ、各SNSプラットフォームはユーザーに“長く"コンテンツを楽しんでもらえるようなアルゴリズムを設計し、進化している証、ともいえます。
本来、SNSというものは知りたい情報を効率的に集めたり、意図せずとも面白いネタに出会える、またよりたくさんの人とつながれる、といった利点があります。その一方で、一度使ってしまうと簡単に長時間見続けてしまい(脳がハッキングされる、といっても過言ではないはず)、時間がどんどん溶かされる、という負の側面も持ち合わせています。
「思わずタップしたくなる」コンテンツをおすすめするアルゴリズムの優秀さには感心しつつも、もしこれが学生時代にあったのなら……と考えると怖いな、と思ってしまいました。各SNSプラットフォームはユーザーに長時間使ってもらうための設計をしていることをあらかじめ頭にいれておくとよさそうです。
「SNSの時間を減らして何をする?」がやっぱり重要!
以上のように、「アプリを削除してブラウザーからアクセスする」「スマホを閉じ込める」「画面をグレースケールにする」「興味・関心の設定をリセットする」と4つの方法を1カ月ほどかけて試し、それぞれ、一定の効果を実感できました。特に「スマホを閉じ込める」「画面をグレースケールにする」は面倒も少なく、今後も続けられそうです。
今回はこれらに加え、意識的にやってみたいことをするようにしました。はじめは、電子書籍や紙の本での読書に時間を使うようにして、1日5時間半ほどだったSNSの時間を2時間ほどに抑え、そのうちのいくらかを読書や既存の趣味にあてられるようになりました(もちろん、一部は仕事などにもあてています)。
さらに、ここ最近は、休みの日は語学の勉強など、以前からやってみたことに長い時間を使うようになって、趣味の幅が広がり「充実した生活が送れている気がする!」と感じています。また、思わずSNSを使い続けてしまったときも、「この時間で趣味の1つや2つはできるのでは!」と思い出し、そっとスマホの画面を閉じる、という習慣になっています。
これまでに何度も依存脱却を失敗したことがありましたが、大きな原因はやはり「SNSを使う時間を減らそう」「スマホから距離を取ろう」と思ったことはあっても、その先の「SNSを使う時間を減らして、私は何をしたいのか?」を考えたことがなかったからだと感じます。言い換えれば、「SNSを使いすぎないためにどうするか?」と「作った時間で何をするか?」の両方を考えておけば、時間の使い方を自然に変えられる、ということを実感しました。
ちなみに、前編でも紹介した「デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する」(カル・ニューポート)には、今回試した4つのアクションよりも厳格な「連絡アプリなど必要最低限の機能を除き、1カ月間スマホを触らない」などのルールを定めたリセット術も紹介されています。ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
今回の結果についてINTERNET Watch編集部の担当編集者に話すと、「つまりコップの石理論みたいなこと?」と言われました。このコップの石理論というのは、コップの中に石を入れるとき、重要なこと(大きな石)から入れていかないと、重要でないこと(小さな石)で埋め尽くしてしまった後では大きな石を入れられない、という、時間管理に関する例え話です。
今回の記事でいえば、大きな石は「やってみたかったことをする時間」、小さな石は「SNSの時間」ということになるでしょう。先にやりたいことをする時間(大きな石)を確保することで、SNSの時間(小さな石)が自然と少なくなるはずです。
利用の見直しのタイミングに「これまでやってみたかったこと」について振り返り、さらにそのための時間もつくることをセットで行うことが、現状、SNSとのうまい付き合い方をするための有効な方法になるのかな、と感じています。













