奥川浩彦の「岐阜の山奥に移住しました」

第14回

「涼しいはず」と岐阜の山奥へ移住したのに……いやいや岐阜は酷暑日最多県! 遮光ネットを張りまくりました

 毎年、記録的な暑さ(と豪雨)が普通になりつつある日本。前にも書いたが、移住前(2024年)、「岐阜の山奥に移住する」と知人に話すと、何人もから「寒くないですか?」と言われた。それに対し筆者は冗談半分、本気半分で「地球温暖化で5年、10年後には夏に40℃を超えるのは熊谷や多治見だけじゃなく、『全国10カ所で今日の最高気温が40℃を超えました』ってニュースになるから、少し寒いところに住むとちょうどよい」と答えていた。2025年8月5日、最高気温が40℃を超えた地点は群馬県、埼玉県、東京都など14地点。筆者が移住前に予想した、全国10カ所で40℃超えを記録するのはわずか1年後だった。

2026年、酷暑日が最も多いのは岐阜県でした

 今年から40℃超えの日の名称が酷暑日となった。気象庁が発表した2026年夏の酷暑日を観測した地点は、全国914地点中22地点。岐阜県多治見市、岐阜県美濃市、三重県桑名市は全国最多の4日酷暑日を記録。愛知県豊田市が3日、浜松市天竜区佐久間、浜松市中央区、福岡県太宰府市が2日など、複数回の酷暑日を記録する地点があり、のべ36地点で酷暑日となった。

 酷暑日を記録した地点が多かった日は7月23日と8月3日で7地点。7月23日は静岡県、愛知県、岐阜県、三重県と東海地方に集中、8月3日は香川県、福岡県、佐賀県、熊本県と四国・九州地方に集中して酷暑日を記録した。

 都道府県で酷暑日が最も多かったのは、筆者が移住した岐阜県。多治見市、美濃市に加え、下呂市金山、郡上市八幡でも酷暑日を記録、のべ10地点はブッチギリの1位だ……「えっ岐阜って暑いの?」。想定外の結果となった。しかも岐阜県内で酷暑日を記録した4地点は、筆者が移住した白川町からそこそこ近い。

赤色は酷暑日を記録した自治体。青色は筆者が移住した白川町

 過去に40℃超えを記録した回数は、岐阜県多治見市が12回、群馬県伊勢崎市が7回、埼玉県熊谷市と群馬県館林市が5回となっている。多治見市が暑い理由は盆地という地形に加え、観測地点の環境の影響もある。1976年に設置された観測地点(アメダス)は片側2車線の国道248号沿いの消防署敷地内。同じ通り沿いにユニクロ、マクドナルド、丸亀製麺などがある交通量の多い通りに面していてアスファルトに囲われている。消防署の裏は中央道多治見インターチェンジもあり、地面からの照り返し、車の排気熱など気温が高めになりそうな環境だ。観測地点を市内の別の場所に移転すると最高気温が下がるかもしれない。

 群馬県館林市の観測地点は、2018年に消防署から2km離れた高校に移転し、最高気温が0.4℃低くなった。仮に観測地点の変更で0.4℃下がるとすると、2026年の多治見の酷暑日は4日→1日に減少する。

観測地点は地域全体の温度を表しているわけではありません

 以前にもお伝えしたが、気温の観測地点と皆さんのご自宅や職場周辺の気温は異なる。例えば東京の観測地点は千代田区北の丸公園、日本武道館から南東220mくらいの場所。Google マップで見てみると、公園の林に囲まれていて、最も近い建物は科学技術館で、直線距離は100mチョット。周りにコンクリートの建物も、エアコンの排熱もない環境だ。

 コンクリートのビルとアスファルトに囲まれたオフィス街や、エアコンの排熱が滞留する住宅密集地と比べると、涼しい環境で計測しているので、天気予報などの東京の気温は低めとなる。現在の観測地点は2014年12月に大手町から移転。事前調査で大手町と北の丸公園の気温を比較すると、熱帯夜は49日→26日(2012年)と大幅に減少した。

 観測地点(アメダス)は各都道府県内に複数箇所あるので、ご自宅の近くの観測点がどこにあるか確認すると、気温を見るときの参考になるかもしれない。

気象庁「アメダス」のウェブページ

熱帯夜は0日。昼間は暑いけど、夕方から涼しいんです

 移住して2回目の夏が終わろうとしている。移住前12年間は川崎市。その前は自宅マンションのある名古屋市に住んでいて「白川町は昼間暑いけど夕方から涼しい」と感じている。暑かった7月のデータで検証してみよう。

 グラフは実線が最高気温、点線が最低気温。赤線が名古屋、青線が多治見、緑が白川町(アメダス黒川観測所)の気象庁のデータ。黄線は筆者がガレージに設置したBluetooth温度計の実測値。

気象庁の名古屋、多治見、白川町(黒川)と筆者宅の最高気温・最低気温の推移
ガレージに設置したBluetooth温度計。2台購入後に2台、3台を追加。今年さらに2台追加し、計9台となった

 最高気温の推移は名古屋、多治見、筆者宅は似たような傾向で、多治見で酷暑日を記録した7月21~25日の気温を見ると、多治見>名古屋>筆者宅となっている。

名古屋多治見筆者宅
7月21日39.740.338.8
7月22日39.140.037.3
7月23日39.940.239.5
7月24日39.739.938.8
7月25日39.840.739.3

 多治見が酷暑日となったのは7月24日を除く4日。名古屋は7月23日が39.9℃で酷暑日に0.1℃届かず酷暑日はゼロだが、連日39℃超えでかなり暑い。白川町の筆者宅も39℃超えの日が2日あり、そこそこ暑い。白川町の観測地点(アメダス)が設置された黒川中学校は筆者宅から10kmほど離れていて気温は2~4℃低くなっている。

 最低気温は名古屋>多治見>筆者宅>白川町(黒川)の順で、夜間の最低気温が25℃以上となる熱帯夜の日数は、名古屋 18日、多治見 5日、筆者宅と白川町(黒川) 0日となった。筆者が感じている「昼間は暑いけど夕方から涼しい」はデータでも証明された。40℃超えを記録した回数で日本一の多治見も、夜間は名古屋よりもかなり涼しく、寝苦しい夜は数えるほどとなっている。名古屋などコンクリートとアスファルトとエアコンの排熱で温度の下がらない都会の夜は暑いことが分かる。多治見の人が名古屋に引っ越したら「名古屋は暑い」となりそうだ。

 多治見が最高気温40.7℃を記録した7月25日の朝5時前から翌26日の朝5時過ぎの1時間ごとの気温の推移を見てみよう。

7月25日の朝5時前から翌26日の朝5時過ぎまでの1時間ごとの気温の推移

 朝5時。名古屋は29℃、多治見は25℃。白川町の観測地点は21℃、筆者宅は23℃。白川町の観測地点は終日気温が低い。

 朝9時ごろ、名古屋、多治見、筆者宅はほぼ同じ34℃。午前中は差が少なく昼過ぎに多治見の温度が40℃を超える。筆者宅の気温も昼過ぎに名古屋より高くなるが16時以降は名古屋より低くなる。酷暑日を記録した多治見の気温も20時以降は名古屋より低くなる。24時には名古屋30℃、多治見27℃、筆者宅23℃。翌朝5時は名古屋28℃、多治見24℃、筆者宅23℃となった。

 この日、筆者は昼過ぎに白川町から名古屋へ移動。夜は飲み会、名古屋の自宅マンションに1泊した。白川町にいるときは夕方からサッシを開け、網戸にして換気。夜は窓を閉めて寝ていたので、久しぶりの熱帯夜。二日酔いなのか寝不足なのか、翌日は体調が悪かった。

名古屋へ移動中。車の外気温計は41℃となった

岐阜の山奥でも必須アイテム? 遮光ネットで暑さ対策しました

 夏の日中の暑さ対策で容易なのは、直射日光をさえぎる日よけ。古くからあるのは「簾(すだれ)」、お洒落なのは「シェード」、コスパが高いのは「遮光ネット」だ。

 カーテンは窓の内側で直射日光をさえぎるため、カーテンが熱を持って室内の温度が上昇する。これに対し、窓の外で直射日光を受けるすだれ、シェード、遮光ネットは窓の外に設置して日光をさえぎるため、夏の暑さ対策として効果が高い。

 筆者が移住前に住んでいた川崎市のオフィス兼住居は、東側と西側に窓があり、朝日と夕日が強烈に差し込んだ。見た目は気にしなかったのでコスト優先で遮光ネットを大小複数枚購入し、1階・2階の東西の窓に設置していた。

2階、東側のバルコニーで撮影。雨どいの金具を利用して洗濯バサミで吊っていた。強い風が吹くと外れる仕組み。下端にロープを付け飛ばないように構造物に結び付けていた
2階、西側。ベランダから撮影
1階、西側。ウッドデッキから撮影

 移住1年目の夏、第1弾は南側の1階・2階の窓に遮光ネットを設置した。どうやって取り付けるか考えながらホームセンターを歩き回って物色。1階は軒下に“ロープ止め”、2階は塩ビのパイプを検討するが、塩ビのパイプより安い物干し竿となった。

間取り図。1年目の第1弾は1階・2階の南側の窓(青線)。第2弾は水色の窓
1階手前の8畳間はサッシ4枚、奥はサッシ8枚
2階、寝室の南側の窓
2階、オーディオ部屋の隣の物置部屋の窓
1階のサッシ8枚は2m×6mの遮光ネット
1階のサッシ4枚は2m×4mの遮光ネット
軒下にドリルで下穴を開け、ロープ止めを打ち込み、遮光ネットのハトメを紐で結んだ
2階、南側の窓は物干し竿を利用
2階寝室側、物干し竿を利用して洗濯バサミで遮光ネットを固定
2階、反対側も同じ方法で取り付け

 第2弾は2カ所。南側のトイレ・喫煙所の窓と、唯一、朝日がまともに差し込む運動部屋の窓。いずれも何か造作をしないと遮光ネットの設置ができない。どちらも角材を増築?して遮光ネットを設置することにした。

1階の南東は喫煙所とトイレ。リフォーム前は洋式と和式、2つトイレがあったっぽい
元々トイレだったと思われる空間。換気扇が付いていて迷わず喫煙所とした
右が喫煙所、左がトイレの窓。遮光ネットを取り付けるための角材を設置した。遮光ネット取り付け前は強烈に暑かった
角材に洗濯バサミで遮光ネットを設置。触れないほど熱かった喫煙所のサッシは劇的に温度が下がった
運動部屋の窓は軒下から角材を伸ばした
片持ち構造なので、小さめの角材を貼り付け、強度を上げた
こちらも洗濯バサミで遮光ネットを取り付け、朝日を遮ることができた(朝8時半に撮影)

 2年目の今年、2026年はプチ改善と追加を実施した。プチ改善は激安のカラビナをAliExpressで購入。紐で縛る作業の効率化を行った。

AliExpressで激安のカラビナを購入
ロープ止めにカラビナで遮光ネットを取り付け。何年も使用している遮光ネットの劣化が激しい

 追加は建物の北側の窓。移住した物件ではやや東を向いていて、朝9時くらいまで窓から日差しが入る。そこで北側の窓、2階の仕事部屋の窓とベランダ、2階のオーディオ部屋のベランダ、1階のキッチンの出窓にも遮光ネットを設置した。仕事部屋の窓は1階のトイレ、喫煙所と同じ手法。その他は金属の枠に取り付けた。

移住した物件の方角。オレンジの4カ所に遮光ネットを追加設置した
建物北側も朝は直射日光が当たる。2階仕事部屋は角材を取り付けた
曇りで涼しい時間に遮光ネットの取り付け作業を実施。この3枚の遮光ネットは新規購入した
1階のキッチンは、ひさしに洗濯バサミで遮光ネットを取り付けた

 仕事部屋とその南側の寝室に温度ロガーを設置していたので、午前中の温度の推移を確認してみた。気象庁のデータから7~10時の日照時間が毎時1時間(=曇りなし)の日を選んで、遮光ネット設置前と設置後の温度を見ると、設置前は7時くらいから仕事部屋の温度がグッと上がるが、設置後はわずかに上がる程度となった。体感でも、起床して仕事部屋を通るときに涼しく感じた。

遮光ネット設置前の仕事部屋と寝室の午前中の温度推移。設置前は仕事部屋の温度が上がっている
遮光ネット設置後の仕事部屋と寝室の午前中の温度推移。設置後は仕事部屋の温度上昇が少ない

 夏の暑さが厳しくなり、日傘を持つ人が増え、すだれ、シェード、遮光ネットを取り付けた家を見る機会も増えた。来年以降も遮光ネットは筆者の暑さ対策の必須アイテムとなりそうだ。

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奥川浩彦@ アイピーアール

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て、2001年にイーレッツの設立に参加し、USB扇風機などを発売。2006年、iPRを設立し、広報業とライター業で独立。INTERNET Watchでは主に税金関連の記事を執筆。Car Watchではモータースポーツ関連のフォトグラファーとして活動中。