奥川浩彦の「岐阜の山奥に移住しました」

第9回

地方移住で実現した夢のオーディオ部屋も……今年の冬はプチプチ寒さ対策で乗り切りました

 この記事を書き始めた3月下旬、東京では桜が開花したとのニュースを耳にするが、筆者が移住した岐阜の山奥(岐阜県加茂郡白川町)の近隣の桜はまだ咲いていなかった。3月26日~29日、F1日本グランプリの撮影仕事で鈴鹿サーキットへ。3月26日木曜日、メディアセンターに機材搬入を終え、撮影ポイントの下見でコースを回った。コースサイドの桜はまだ咲き始めだったが、金曜から日曜にかけ満開となった。

3月26日木曜日、桜は三分咲きくらい
あっという間に満開になった

 白川町に戻ると、近隣の桜は満開。数日で驚くほど風景が一変した。週間天気予報では4月に入って最低気温2℃の日があるようだが、グッと、いや、ググググっと暖かくなり、2シーズン目の冬が終わり筆者はホッとしている。

 筆者が田舎に移住した目的は、好きなジャズを近所に気兼ねなく音量を上げて聴くこと。音楽を聴く時間、映画を観る時間は、移住前と比べ数十倍に増えたと思う。寒い冬、滞在時間が長いオーディオ部屋の暖房は重要だ。連載の第9回は、オーディオ部屋のプチプチ寒さ対策と効果を、50枚超えの写真・グラフとともにお伝えしよう。
※「プチプチ」は川上産業株式会社の登録商標。一般名称は「気泡緩衝材」

 筆者の知人は「暖房を強くして、冬でも家中を半袖ですごしてる」と話していた。考え方はそれぞれだが、筆者は「老後は支出を抑える」を基本と考えている。10LDKに一人暮らし、1週間以上立ち入らない部屋もあるので、暖房コストを抑えるためにキッチン、オーディオ部屋、仕事部屋の3つだけ暖房している。1シーズン目は寝室も寝る直前に暖房したが、今シーズンは寝る10分くらい前に、暖房している隣の仕事部屋の扉を開け、寝る準備をする間に室温を少し上げている(さらに布団に入れば、電気敷毛布のおかげでポッカポカ)。

 オーディオ部屋は腰高の小さめの2枚窓(サッシ)が1カ所。ベランダに出られる大きめの4枚窓(サッシ)が北側と南側に2カ所。外気温が氷点下のときは、かなりの熱が8枚の窓ガラスから逃げていると思われる。

採寸して作図した2階のオーディオ部屋の間取り図。図の上が北側
移住前、内見のときに撮った写真。部屋の北側には小さめの2枚窓と大きめの4枚窓
上の間取り図の右側にオーディオ機材を設置

 オーディオ部屋のリクライニングソファーには電気敷毛布、オットマン(足乗せ)には電気マット、さらに毛布を用意しているので、コタツに潜り込んでいるようなイメージだ。なので仕事部屋やキッチンより、オーディオ部屋は暖房の設定温度を低めにすることができる。

ソファーに電気敷毛布を掛け、その上にバスタオルを被せている。右側は夏用のメッシュチェア
電気敷毛布は188cmのロングタイプをTEMUで購入
オットマンには電気マット
冬はこんな感じで毛布にくるまってジャズを聴いている

南側の窓は、外側に木枠を増設してプチプチを貼りました

 2階の4つの小窓は前回の記事で紹介したように、内側にプチプチ(梱包用として一般的な2層構造のもの)で空間を作って寒さ対策(結露対策)済み。仕事部屋はカーテンで部屋を2分割し、活動エリアのみ寒さ対策済み。今シーズンはオーディオ部屋の大きな窓の寒さ対策を行った。

黄線はカーテン、赤線は4つの小窓でプチプチによる寒さ対策済み。今シーズンはオーディオ部屋の青線部分にプチプチによる寒さ対策を行った

 オーディオ部屋と仕事部屋の前室は左右対称のレイアウト。南側のベランダがつながっているので、南側の窓はプチプチで塞いで通れなくなっても前室側から出入りできる。窓の外側、サッシの回りの壁は薄い金属板。叩くと空間がある部分と構造体がある部分があり、手持ちの石膏ボード用アンカーを木枠の固定に使用した。

オーディオ部屋南側のサッシ。回りの壁は薄い金属板
木枠の固定は石膏ボード用アンカーを使用した
アンカーを取り付けた様子
縦用1本、横用2本。角材を加工して屋外用塗料で塗装
縦の角材をネジ止め
サッシのすぐ上に横の角材をネジ止め。角材は30×40mm
縦・横の角材を取り付けて木枠が完成

 木枠を作って取り付けるまでが作業全体の95%くらい。幅1200mmのプチプチのロールから2枚を切り出してタッカーで取り付け。木枠のない、窓に向かって右端と下は養生テープで貼り付けた。プチプチの取り付けはあっという間に終わる。木枠は常設なので、来シーズン以降は簡単に作業を終わらせることができる。

木枠部分はタッカーでプチプチを取り付け
木枠のない右端は養生テープで固定
めでたく完成

南側の窓のプチプチ効果を検証してみました

 効果を検証してみた。4ch温度ロガーのセンサーで室温、ガラス面内側、窓の外側(窓ガラスとプチプチの間)、屋外(ベランダ)の温度変化を計測。ガラス面の内側はセンサーを窓ガラスに貼り付け、その上に断熱材(冷凍宅配便で使用されていた断熱材を利用)を被せて、室温の影響を少なくしている。

ガラス面内側のセンサーは断熱材を被せている。写真では分かりづらいが、窓外側のセンサーは窓ガラスの外側(プチプチとの間)に設置
屋外のセンサーはプチプチの外に設置

 プチプチを貼る前、木枠の取り付け作業の段階で計測を開始。翌々日、プチプチを貼り終えたあとも計測を継続した。まずは外気温と窓の外側の温度変化を見てみたい。プチプチを貼る前は外気温と窓の外側の温度はほぼ同じ。プチプチを貼ると、暖房中は窓の外側の温度(窓ガラスとプチプチの間)は外気温より高くなる。12月なので外気温はそれほど低くない。

プチプチ設置前後の外気温と窓外の温度推移

 この間、外気温は計測開始初日に最低気温が氷点下2℃ほどとなるが、翌日は2℃、その後は3℃、2℃、6℃、9℃となった。気温の変化が近い計測2日目(プチプチ設置前)と4日目(プチプチ設置後)の各センサーの温度の変化を確認してみよう。

 プチプチ設置前、暖房を止める直前の外気温(青線)と窓の外側の温度(オレンジ線)は4.4℃、室温(赤線)は14.5℃、窓ガラスの内側の温度(グレー線)は8.3℃となっている。

プチプチ設置前の温度変化

 果たしてプチプチの効果は? プチプチ設置後、暖房を止める直前の外気温(青線)は3.3℃、窓の外側の温度(オレンジ線)は6.8℃、室温(赤線)は14.4℃、窓ガラスの内側の温度(グレー線)は9.7℃となっている。

プチプチ設置後の温度変化。窓の外側の温度(オレンジ線)が上昇している

 プチプチの設置で、外気温と窓の外側の温度の温度差は3.5℃に広がった。窓ガラスを基準に見ると、外気温が3.5℃上昇したこととなり、逃げる熱が減っていると思われる。暖房中、ガラス内面の温度はプチプチ設置前は8℃くらい、プチプチ設置後は10℃くらいで推移している。

北側の窓は、ベランダの外側にプチプチで壁(幕)を作りました

 北側の窓は、ベランダ側に出てプチプチで窓を塞いでしまうと、完成後に部屋に戻ることができない。そこで考えたのは、ベランダの外側にプチプチで壁(幕?)を作るという作戦。従来の“窓にプチプチ”と比べ、少々難易度の高いDIYとなった。

 ベランダの外方向は金属板の枠がある。その内側に漢字の“日”の字の形で木枠を取り付けてプチプチで壁を作る構想だ。言葉では分かりにくいので最初に完成までを3枚の画像で見ていただこう。

ベランダの柵を撤去、外側に金属板の枠がある
金属板の枠の内側に、漢字の“日”の字の形の木枠を縦2本・横3本の角材で増設
木枠にプチプチを貼って壁(幕)を作る

 まず、ベランダの柵を撤去。角材を設置する部分の寸法を計ると、金属板の枠は真四角ではなく、縦方向2カ所、横方向3カ所にそれぞれ1~2cmの差がある。ホームセンターで角材をカットする際、少し長めに切ってもらい、電動ノコギリと電動サンダーで長さを調整した。

オーディオ部屋と同じレイアウトの仕事部屋側のベランダ。アルミ製の柵が取り付けられている
オーディオ部屋側のベランダ。アルミ製の柵を撤去した。金属板の枠の塗装がかなり劣化している

 アルミ製の柵は「コーチスクリュー」というやや特殊な木ネジ?で取り付けられていた。スパナで締め付けるため、プラスドライバーより強いトルクでガッチリ固定できる。左右の角材の下2カ所は柵の取り付け穴とコーチスクリューを利用、上部は新たな穴加工をして、買ってきたコーチスクリューで固定することにした。

左が柵で使用されていたステンレス製のコーチスクリュー。右は白川町内のホームセンターで買ったもの。ステンレス製は売っていなかった。比べてみるとネジ山のピッチも差がある
角材の加工はガレージで行ったため、2階ベランダとガレージを何度も往復
長さ調整、穴加工をして仮設置
ネジが長いので電動ドライバーが活躍。最後の締め付けはスパナを使用
金属板の枠は塗装が劣化していたので再塗装した
金属用の塗料の多くは油性。取り扱いが楽な水性を見つけて購入
加工を終えた角材を塗装。気温が低くて塗装が乾かないので、ガレージにサーキュレーターを持ち込み送風
思い付きでボルトの頭を隠そうとザグリ加工した……こうした計画性のない作業は後々の工程に影響する
ザグリ加工をしたため、締め付けにスパナが使えないことに気付き、急遽ホームセンターでボックスレンチを購入
無事に締め付け完了

 金属板の枠は 上下左右の幅の差に加え、角度も平行ではなかった。外に向かってハの字になっていて、ベランダ側が広く外側が狭いため、横方向の角材は端面を斜めに加工して取り付けた。この作業を行っていたのは昨年の年末で、天気予報では年始に寒波が訪れるとのこと。DIYの腕がないことに加え、寒さで塗装が乾かないことも重なり、加工が完了したのは元日の夕方だった。

定規が板に対し直角。赤線にあわせ斜めにカット
まだチョットきつい。もう少し端面を削ることになる
苦戦するも何とか加工が完了、すでに年が明けて元日の夕方だった。次はガレージに戻して塗装

 年明けの寒波が訪れる中、1月3日に木枠が完成。この後、プチプチを貼る作業はあっという間に終了した。

木枠の加工、取り付けが完了。景色を見ると雪
取り付けた木枠を1階のテラスから撮影
上部の角材と中間の角材は、プチプチロールの1200mmに合わせたのでタッカーで貼り付け。下側のプチプチは、中間の角材と下部の角材はタッカー、余った部分はカットせず重ねてテープ留めした
プチプチを貼り終えて、1階のテラスから撮影

北側の窓のプチプチ効果を検証してみました

 北側の窓も南側の窓と同じ手法で検証した。木枠の設置作業の途中で計測を開始。4ch温度ロガーのセンサーで室温、ガラス面内側、窓の外側(窓とプチプチの間=ベランダ)、屋外(プチプチの外)の温度変化を計測。

木枠の完成前に温度センサーを取り付けて計測開始。センサーのケーブル長が短いので、ロガーはベランダに設置
室内側は、室温とガラス面内側(断熱材あり)を計測

 プチプチ設置前、暖房を止める直前の外気温(青線)は氷点下2.7℃、窓の外側のベランダの温度(オレンジ線)は氷点下1.9℃。外壁の外に出したセンサーとベランダ内のセンサーは少し離れていて、環境も違うので1℃ほどベランダ内が高くなった。室温(赤線)は13.7℃、窓ガラスの内側の温度(グレー線)は5.3℃となっている。

プチプチ設置前の温度変化

 プチプチ設置後、暖房を止める直前の外気温(青線)は氷点下2.9℃、窓の外側のベランダの温度(オレンジ線)は2.4℃、室温(赤線)は12.4℃、窓ガラスの内側の温度(グレー線)は6.1℃となっている。

プチプチ設置後の温度変化

 プチプチの設置で、外気温とベランダの温度差は1℃から5.3℃に広がった。窓ガラスを基準に見ると、外気温が4.3℃上昇したこととなり、逃げる熱が減っていると思われる。オーディオ部屋の北側の窓は時々結露していたが、プチプチ設置で解消した。

強風でトラブルが発生しました

 プチプチ設置から20日ほど経って強風が訪れ、タッカーで留めた部分のプチプチが破れた。タッカーの針とプチプチでは強度不足だった。応急処置として、牛乳パックを短く短冊状に切って補強した。さらに3週間後、また強風でプチプチが破れてしまったので、プチプチの端を養生テープで挟んで補強。牛乳パックとダンボールを長めに切って破れた部分だけ補強した。1カ月半が経過した3月下旬、時々バタバタと強風に煽られる音はするが、破れることなくシーズンを終えることができた。

強風に耐えられず、タッカーで留めた部分のプチプチが破れた
牛乳パックを重ねてタッカーで貼り付けた
プチプチが引きちぎられた部分は位置をズラして取り付けた
補強後、3週間ほどは強風に耐えていた
2回目の破損。規模は小さめ
プチプチの端を養生テープで補強。牛乳パックとダンボールを長めに切って補強した

 2シーズン目の寒さ対策はこれで終了。4月になったら木枠はそのまま、プチプチは撤去。構想では、今シーズンは1期工事。来シーズンの2期工事は横方向の角材を1本追加、木枠を漢字の“日”から“目”にして、部分的に壁にしようと思っている。

費用を集計してみました

 オーディオ部屋のプチプチ(ケチケチ)寒さ対策にかかった費用を集計してみよう。

【南側】合計1104円

  • 角材(赤松 30×40×2985mm) 547円
  • 角材(赤松 30×40×1980mm) 437円
  • 石膏ボード用アンカー 120円

【北側】合計1万424円

  • 角材(桧 30×90×4000mm×3本) 4224円
  • 水性鉄部塗料 2728円
  • ボックスレンチ 698円
  • コーチスクリュー2本、ワッシャー 244円
  • L金具、ステンレストラスタッピング類 2530円

【南北窓共通】1980円

  • 木部保護塗料 1980円
  • プチプチ、タッカー針、養生テープは適量

 南側は想定よりも安かった。北側は水性鉄部塗料の2728円を差し引いても少し高め。来シーズン、北側のベランダは2期工事を行うとある程度費用が発生するが、それ以外はプチプチとタッカーの針だけなので、ほとんど費用は発生しないだろう。

奥川浩彦@ アイピーアール

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て、2001年にイーレッツの設立に参加し、USB扇風機などを発売。2006年、iPRを設立し、広報業とライター業で独立。INTERNET Watchでは主に税金関連の記事を執筆。Car Watchではモータースポーツ関連のフォトグラファーとして活動中。