奥川浩彦の「岐阜の山奥に移住しました」

第12回

Wi-Fiより10倍速い!? 筆者の好きな「有線LAN」を移住先の10LDK住宅に構築しました

 前々回は筆者が移住した岐阜県加茂郡白川町のインターネット回線事情、前回はやたら広い10LDKのWi-Fi環境についてお伝えした。連載の第12回となる今回は、有線LAN環境について30枚近くの画像を用いてお話ししよう。

できるだけ有線LANで接続したいんです

 筆者は有線LANが好きで、NASはもちろん、デスクトップPC、レコーダー、TVなど、できるだけ有線LANで接続したいと思っている。理由は速さと安定性。有線LANと無線LAN(Wi-Fi)のメリット・デメリットはINTERNET Watchの読者には釈迦に説法だと思われるのでここでは言及しないが、興味のある人は筆者がプラネックスコミュニケーションズ株式会社のマーケティング担当をしていたときに監修・掲載した同社公式サイトの記事「Wi-Fiは便利ですが、有線LANは速さと安定性の高さが魅力」を一読いただきたい。

 まずはオーディオ部屋の有線LAN接続。前々回の記事で紹介したように、引っ越した翌日にケーブルテレビ回線の工事が行われ、インターネットとケーブルテレビがつながった。関東地区と東海地区ではチャンネルが異なるので、直後に筆者が行ったのはレコーダーの録画設定のやり直し。その際、レコーダー、TVのネットワーク接続はとりあえずWi-Fiを選択した。

 数週間後にオーディオ機器のセットアップをした際も、オーディオ用PCのLAN接続はWi-Fi。そのまま半年ほど放置していた。Wi-Fi接続でも特に支障はなかったが、2回ほど、NASに保存したMP3ファイルの転送が寸断され、曲が途切れることがあった。そのうち1回はLINEの通知音が鳴った瞬間で「マジ? そんなことある??」と驚いた。理屈では同じWi-Fiルーターからオーディオ用PCとスマホに小刻みにパケットを送っているので、あり得ることだが、どちらもデータ量は多くないので、たまたまタイミングが悪かったのだろう。

 1階のWi-Fiルーターを仮設置から本設置に切り替える作業と同時に、2階のオーディオ部屋の有線LAN接続も行った。間取り図で概要を説明しよう。

2階の間取り図とLAN配線

 2階の仕事部屋の①がONUとWi-Fiルーターの位置。オーディオ部屋方向(図の右)へ5mのLANケーブルでドア付近に設置した3ポートのスイッチングハブ②に接続。そこから1本は15mのLANケーブルで1階に設置したWi-Fiルーターへ。もう1本は10mのLANケーブルでオーディオ部屋まで配線し、4ポートのスイッチングハブ③に接続した。さらに半年後、仕事部屋のTVの裏に3ポートのスイッチングハブ④を設置し、仕事部屋のレコーダーとTVも有線LANで接続した。

 1階に配線した15mのLANケーブルは2mほどのゆとりがあったが、2階のオーディオ部屋への10mのLANケーブルはギリギリ。何度もメジャーで確認し「ギリ行けそう」となり、配線を開始した。

左側の仕事部屋から階段を越えて右側のオーディオ部屋へ
右側が仕事部屋、左側がオーディオ部屋。水色の15mのLANケーブルは1階へ、白の10mのLANケーブルはオーディオ部屋へ
オーディオ部屋側はケーブルの長さがギリギリなので下側は固定せず
壁を上がって天井へ
部屋の中心付近まで天井にケーブルを固定。途中からサラウンドスピーカーの配線と一緒にケーブルカバーの中を通した
オーディオラックの最上段までギリギリで届いた。白いプラスチックは、スイッチングハブを固定するために百均で調達したもの

 今回、有線LANの配線に利用したのは、小型のスイッチングハブ。USB(Type-C)給電で使用でき、電源も含めて場所を取らずに設置できる。仕事部屋のドア付近に3ポート、オーディオラックの裏に4ポートのスイッチングハブを設置した。仕事部屋の壁、オーディオラックの背面への固定は、百均で見つけた食器洗い用のスポンジを吸盤で取り付けるホルダー。吸盤を外してネジで固定。硬めの戸当りテープで隙間を調整して設置した。

3ポートと4ポートのスイッチングハブ。小型で価格も安い。似た製品でハブではなく分配器(スプリッター)があるので要注意
仕事部屋のドア付近に3ポートのスイッチングハブを設置。左側の青いLANケーブルはWi-Fiルーターへ。右側の水色のLANケーブルは1階へ。白のLANケーブルはオーディオ部屋へ。電源はUSBアダプター(Type-A出力)から、手元にあった一番短いケーブルでスイッチングハブに給電。ACアダプターよりスマートに設置できる
斜め天井のケーブルカバーから出た白のLANケーブルを、オーディオラックの最上段に固定したスイッチングハブに接続
右側の白が10mのLANケーブル。赤はオーディオ用PCへ。左側、白はTVへ、青はレコーダーへ。黒いケーブルはUSB給電ケーブル

Wi-Fiから有線LANに変更。速さを測りました

 Wi-Fiから有線LANに変更してどう変わったか。オーディオ用PCとNAS間の速度を計測してみた。オーディオ用に使用しているPCは手のひらサイズのミニPC。CPUはN100、OSにWindows 11 Proを搭載。ネットワークインターフェースは、Wi-Fi 6と、2.5Gbpsの有線LAN。Amazonのブラックフライデーセールで2万円以下で購入した。届いたPCのセットアップをしているときに、清水理史さんの連載「イニシャルB」に同じPCのレビューが掲載されビックリ。清水さんに「自分も買いました」とメールでやり取りした。

現在のオーディオ用PCは2023年に購入したミニPC
Amazonのブラックフライデーセールで1万8592円。激安だった

 オーディオ用PCの用途は、NASに保存した音楽ファイルの再生なので、NASからPCへのデータ転送がほとんど。PC側からファイルを送り出すことはめったにない。TVも同様で、Android TVのアプリでAmazon Prime Video、FOD、Leminoなどの動画再生や、NASに保存した動画の再生で、Wi-Fiルーター側からTV側へのデータ転送が主となる。一方、レコーダー(DIGA)は録画した映像をアプリ「どこでもDIGA」でタブレットやスマホで視聴するので、レコーダー側からWi-Fiルーター側へデータ転送を行っている。

 有線LAN接続(1Gbps)とWi-Fi接続(Wi-Fi 6)でそれぞれ、NASからオーディオ用PCへファイル転送を行ってみた。音楽ファイルは一瞬で転送が終わってしまうので、計測用に約2.3GBの動画ファイルを使用した。有線LAN接続は約20秒でファイルが転送できた。表示された速度は約115MB/s=920Mbpsとなった。

有線LANのファイル転送。転送速度がほぼ一定で安定性が高く、転送時間は約20秒、速度は約115MB/s=920Mbps

 次はWi-Fi接続で同じ動画ファイルの転送。転送開始直後は15MB/sで転送を開始したが、途中で1~3MB/sに速度低下、その後は速度が回復して5分半ほどでファイルが転送された。Wi-Fiらしく?タイミングが悪かったようで、再測定を実施することにした。

Wi-Fi接続の1回目のファイル転送。途中で速度低下があり5分半ほどかかった

 Wi-Fi接続の2回目。有線LANほどの安定性はないが、極端な速度低下はなく、約3分半でファイルが移動できた。表示された速度は7~14MB/s、平均は約12MB/s=96Mbpsとなった。速度は有線LANと比較してザックリ10分の1といったところだ。

Wi-Fi接続の2回目のファイル転送。約3分半、速度は12MB/s=96Mbpsくらい

 INTERNET Watch読者には「何を今さら」という結果だが、速さと安定性は有線LAN接続に優位性があり、筆者としては音楽鑑賞時の安心感が増し、満足している。

仕事部屋のレコーダーとTVも有線LAN接続しました

 1階とオーディオ部屋の有線LAN接続からさらに半年後。連載の第8回の気泡緩衝材で窓の寒さ対策を行った際、仕事部屋のPCを移動して部屋が空っぽになったときにLANケーブルを配線し、仕事部屋のTVとレコーダーも有線LAN接続が完了した。こちらの仕事部屋のレコーダーもDIGAで、タブレットとスマホで録画の視聴に使用している。加えて2台のDIGAが有線LANでつながったので、それら2台の間のWi-Fi~Wi-Fi接続による速度半減も回避でき、仕事部屋のDIGAに録画した番組をオーディオ部屋のDIGAで視聴する際も(過去に実害はなかったが)安心感が増した。

右側に設置されたWi-Fiルーターから左側のTV、レコーダーまでLANケーブルを設置した

 やたら広い家の各部屋への有線LANの配線は以上。小型スイッチングハブは1つ1000円台。15mのLANケーブルは2264円(10mの白いLANケーブルと5mの青いLANケーブルは以前からの手持ちで追加出費なし)。メッシュ対応のWi-Fi機器を追加するのと比べると大幅な低コストで済んだ。今どき有線LANはあり得ないという人も多いが、速度とコストを考慮するとコストパフォーマンスは高い。

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奥川浩彦@ アイピーアール

パソコン周辺機器メーカーのメルコ(現:バッファロー)で広報を経て、2001年にイーレッツの設立に参加し、USB扇風機などを発売。2006年、iPRを設立し、広報業とライター業で独立。INTERNET Watchでは主に税金関連の記事を執筆。Car Watchではモータースポーツ関連のフォトグラファーとして活動中。