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【連載】

電子メールマガジンの作り方




第10回:「メールマガジン」のプロモーション(その3)


 いよいよプロモーション3回シリーズの最終回です。前2回はメールマガジンをどう宣伝していくか、その手法についてお話してきました。
 今回は、こういったプロモーションを展開していく上で、限られたパワーをどこに注力していけば効率的かという戦略を立てるための調査・分析の方法について、お話したいと思います。

●メールマガジン発行者のためのマーケティングリサーチ

 たいていのメールマガジン発行支援システムでは、あなたのメールマガジンの読者について、読者数以上のデータは提供してくれません。しかし、自分のメールマガジンの購読者について、その特徴や属性、要望を知ることは大変重要です。

 なぜならこれらを分析することにより、効果の出るプロモーション文句・メールマガジンの向かうべき方向性といったものが具体的に見えてくるからです。

 つまり、これらの要素を分析することは「マーケティングリサーチ」をすることであり、個人でもこの手法は活用して、よりよいメールマガジンに改善していくことが可能なのです。とはいえ、企業でマーケティングリサーチをやれば何百万円もかかる昨今、ほとんどお金をかけられない個人のメールマガジン発行者はどうしたらよいのでしょうか?

 インターネットならではの方法ですが、アンケートと電子メールによる意見を大事にすべきだと私は思います。これらの中には多くの改善要素がつまっています。では、この二つについて分けて見ていきましょう。

●どんな人が購読者なのか調べよう

 私が発行している「日本切手の発売速報」は毎年一度冬に定期的にアンケートをとっています。まずは今年の初めに行なったアンケートから見る購読者層をお見せします。

【キッテコム アンケート集計結果/1999年1月31日まとめ】
 メルマガ読者数
 15,000人
 アンケート回答者数 5,405人
  (男女比)    男:女=2,299:2,761
  (年齢比抜粋)  19-25 1454人 26-30 1307人 31-35 969人 36-40 539人
  (都道府県上位) 東京 794人 神奈川 567人 大阪 476人 埼玉 334人
  (切手集め意向) 集めている 1,608人 昔集めてた 2,204人 集めてない 684人




この集計結果から私は次のように考えて行動しました。

・「男性より女性のほうが多く、中でもボリュームゾーンが20代である」

  女性の方が郵便を出すときに切手に関心を持つことが分かる。プロモーションするときには、この点に意識して文章を書くようにした。

・「ヘビーな切手収集家よりライトな切手利用者の方が多い」

  誌面がマニアックにならないよう、コンテンツに一般性を持たせるようにした。また、ディレクトリサービスに登録するとき、趣味のコレクションの項目でなく、ショッピング情報の方に出すようにした。

・「15,000人とまでは行かずとも結構な数の人が読んでくれていた」

  気軽に購読が開始できる無料メールマガジンでは、実際には読んでいない人も多いのではないかという不安がありましたが、実際にはまずまず読まれていることが分かり安心しました!

 メールマガジンの発行を開始する時点では、読者もほとんどいないため、内容についてはある程度思いきって決めてしまっていいと思います。でも、しばらく発行したらぜひ、どのような方が購読しているのか調べて、その上でプロモーション手法やメールマガジンの内容を考えてみてはいかがでしょうか。なお、この時に定型的な質問項目だけでなく、フリーアンサーや日常購読者から来る要望、意見の電子メールもあわせて検討するとより幅広い材料をもとに考えることができるようになると思います。

 ところで、ネット上でのアンケート調査はCGIが組めない人には、たいへん難しいものでしたが、最近はアンケートを支援するサービスも登場しています。

■ポケット倶楽部 Jr.
http://village.infoweb.ne.jp/~kaze/pocket/service/
Web上で申し込むだけで「デフォルト・2問」+「利用者のオリジナル・8問」の合計10問のアンケートCGIが用意され、結果を集計してくれる。

●ポケット倶楽部にインタビュー

 では、先ほどご紹介しました、アンケートCGIの提供サービス「ポケット倶楽部 Jr.」の運営者である真田陽一さんにインタビューをお願いしました。

キッテコム:「ポケット倶楽部 Jr.」が行なっている、アンケートをとれるCGIを提供して結果を集計するというサービスは、それ自体で世の中ではビジネスとして成立していると思います。それを無料で提供してくださるのはどうしてでしょうか。

真田:何も分らぬままネットの世界へ足を踏み入れた時、さまざまな無料サービスのお世話になり、多くのウェブマスター・マガジン運営者の方に優しく接して頂きました。そのような恩恵を頂くうちに、受身のみではなく、自分からも何か提供できるようになりたい、そう思うようになったからです。

キッテコム:なるほど。これまでにこのサービスのご利用者はどれくらいいらっしゃいましたか? また、それらの中で一番アンケート戻りの多かった方の通数を教えてください。

真田:利用者数は約150名です。この150名の中で最も反応の多かった際の回答者数は16,000名です。

キッテコム:16,000というのは結構な数字ですね。ところで、このシステムは非常に汎用的に組まれた便利なCGIだと思うのですが、この開発は真田さんご自身が行なったのですか? バグなどのトラブルで苦労されたりしませんでしたか?

真田:作成したのは私です。トラブルの類は、今のところ起きてません。

キッテコム:少々話題が変わりますが、真田さん自身もメールマガジンを発行していらっしゃいます。真田さんが、自分のメルマガでこのアンケートを利用することで何か参考になったこと、改善に生かしたことなどありましたら教えてください。

真田:先ず、アンケートの回答率で如実にどの程度支持されているかが分ります。そして皆さん潜在的に様々なアイデア、アドバイスを持っておられ、新しい企画の提案、どの部分が読み手として不満があるのか、またどの点が優れているのかもご指摘して下さいます。マガジンを添削されているようでもありますが、それらを踏まえて改良に臨めば確実なレベルアップが可能と実感しています。

キッテコム:真田さんが発行しているいくつかのメールマガジンのうち「女と男の営み」は、アンケートシステムを前提としたコンテンツになっていると思います。このメールマガジンの発行を思い立ったきっかけやエピソードがありましたらお聞かせください。

真田:自らの恋愛の疑問・悩みに関して、数多くの方からの統計データや、あらゆる角度からの率直な意見を集めることができたら、きっと役立つと考えました。またネット上のアンケートという双方向性、匿名性を秘めたツールを用いれば、それは十分に実現可能と考えました。それは事実であり、現在数多くの女性・男性が真摯な態度で参加され、普段は聞けない目から鱗のご意見を多々寄せて下さっています。

キッテコム:なるほど。メルマガの双方向性をより一層出すためには不可欠なシステムだったんですね。今日はどうもありがとうございました。

<<上でご紹介したメールマガジン>>

誌名  :女と男の営み
刊行形態:週刊(毎週水曜日)
発行部数:7,966部
配送方法:まぐまぐ

 次回はメルマガに広告をとる方法について書きたいと思います。

【追伸】この連載をご覧いただいて、メールマガジンの発行をはじめた方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をください。また、どのあたりが参考になったのか、またどのような事を知りたいかなどの御意見をいただければ幸いです。今後の連載の参考にさせていただきます。また、これに限らず、メールマガジンの作り方に関してご質問などございましたら、下記のメールアドレス宛に投稿ください。

(99年7月29日)

[Reported by webmaster@kitte.com ]


バックナンバー

第1回:あなたも、電子メールマガジンのオーナーになろう!('99/0527)

第2回:どれが人気!? 電子メールマガジンの発行サービス比較('99/0603)

第3回:人気のある「メールマガジン」を作る秘訣('99/0610)

第4回:長く発行を続けるための作業テクニック(その1)('99/0617)

第5回:長く発行を続けるための作業テクニック(その2)('99/0624)

第6回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その1)('99/0701)

第7回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その2)('99/0708)

第8回:「メールマガジン」のプロモーション(その1)('99/0715)

第9回:「メールマガジン」のプロモーション(その2)('99/0722)

第11回:「メールマガジン」に広告をとるには('99/0805)

第12回(最終回):自分のメディアを持つということ('99/0812)


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