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毎号発行が続くメールマガジンで掲載内容を最初から手広くしてしまうと、日々の作業はもちろんのこと、維持していくのも大変です。創刊時はシンプルすぎるほどでも構いません。まず、その内容でしっかりと発行できるように慣れてから、次のメニューを加えていけばいいのです。
多くのことを考え、決めていかなければならない創刊当初は、なるべく負担を軽くし、まずは体制を整えることに全力を尽くしたいものです。
一例としてここでは、私のメールマガジン「日本切手の発売速報」で、どのようにしてメニューを増やしていったかをご紹介したいと思います。
■1997.1.28 創刊号 切手の説明・図柄の解説のみ
1月20日からまぐまぐを通じて募集し、集まった最初の会員31名に向けた号です。翌日発売の切手の説明・図柄の解説のみで、行数もたったの65行でしたが、フォーマットなどを一から考えなければならなかったので、かなり試行錯誤して時間がかかってしまいました。
■1997.4.16 第3号 読者投稿コーナーの開始
創刊号、2号を読んだ読者の方から何通かのメールのお返事を頂きました。それを誌上で紹介してコメントをつけ、作者と読者のコミュニケーションコーナーを開設しました。現在まで続く人気コーナーですが、コメントを書くにも調べて書かなければならない場合もあり、毎回それなりに作業時間のかかっているコーナーです。繁忙期にはコーナー掲載のお休みを頂くこともあります。
■1997.5.11 第5号 切手画像を用意したHPとの連動
切手情報を文字だけで提供してきたところ、やはり読者の方からの意見で、切手の実物も見たいと言う声が出始めました。そこで、新切手の画像を別途HPに用意し、メールマガジンからワンクリックで表示ができるように用意しました。切手のスキャニング、画像化やサーバーへの登録作業などが毎回発生することになりました。
■1997.7.10 第15号 後書きを開始
読者投稿や画像用意と違い、まったく気ままに書くだけの後書きコーナーをはじめました。ところがこれが人気コーナーになり、いまだに続いています。
■1997.7.31 第17号 新切手の図柄に関連するURLの紹介
切手の図柄の解説から更に一歩踏み込んで、関連するURLを紹介するようになりました。切手に描かれる図柄はたいていがその時々のイベント・会議であったり、歴史的・自然的に有名なものであるため、関連するホームページはそれなりにありました。検索エンジンを駆使して関連するURLを探し、取捨選択して紹介しました。このコーナーは予想通り大変人気を博しましたが、作業時間は一時的にほぼ2倍に膨れました。創刊当初に65行しかなかったメールマガジンですが、この頃にはいつのまにか178行にもなっていました。
以上ざっと、私の発行する「日本切手の発売速報」のメニュー増加のあゆみを見ていただきました。
創刊号と最新号ではボリュームも違いますが、一号あたりの編集にかける時間は今も昔も大体3~4時間です。号を重ねるにつれて単純作業をなるべく効率化し、あまった編集時間をサービス拡充にあててきました。
慣れていくに従ってメニューを追加することによって、いまだに欠刊・遅刊がありません。皆さんも発行されるときには、十分な運用期間を見て発行することをおすすめします。
<<紹介したメールマガジン>>
誌名 :日本切手の発売速報
刊行形態:不定期刊(新切手発売日の前日)
発行部数:15,277部
配送方法:まぐまぐ、マッキー
さて、メールマガジンを作るとき、一人で作業する場合と複数人で作業する場合が考えられます。
気ままに自分だけでメールマガジンを作っていくのも楽しいものですが、気の合う友達と共同執筆していく方法もあります。考える人や作業する人が増えれば、一人で作業する場合と比べて、メールマガジンの質・量を一気に拡大することも夢ではありません。
一方で、複数人で作業をするとなれば、やはりそこには人間関係が発生するもの。また、やりとりする上で、一人の時よりも時間や手間がかかることもあるでしょう。うまくいかない人間関係がそのまま紙面に表れてしまったり、誰もが責任をとらない形態で結局メールマガジンの発行すらされない形になってしまうと最悪です。
では、共同執筆をうまく続けていくにはどうしたらいいのでしょうか? そこで、今回は共同執筆を続けている日刊のインターネット情報誌「WebCatch」の発行人である山本洋さんにその成功の秘訣をインタビューしてみました。
キッテコム:編集者同士の連絡はどう取り合っているのですか?
多人数だと、編集時間の作り方、校正(各原稿の校正、最終校正など)や原稿のやりとりは難しくないですか?。
キッテコム:Yahoo! ページャーを使ってたんですか!
ところで、長くやっていると、誰かが締め切りに間に合わないなんてことも起きてしまうと思うのですが、そういう時はどのように対処するのですか?
キッテコム:そうですか。ところで、最終的にスタッフが書いた記事を載せる載せないの判断は、山本さんがするのですか?
それともみんなに編集権があるのでしょうか。
キッテコム:私はキッテコムではほとんど共同執筆をしていません。一番の理由は人間関係を含め毎回の運用をまわしていくのが大変そうだからです。その点、WebCatchではどのように工夫していますか?
キッテコム:どうもありがとうございました。今後も頑張ってください。
WebCatchは、インターネット関連のニュースを扱っているため、チェックする内容も幅広く、発行も毎日なのでかなりスケジュールは厳しそうです。その点をWebCatchでは、それぞれがライターと編集を兼ねて作業すること、時間を決めて打ち合わせをチャットで行なうことでうまくクリアしているようです。
このスタイルだと、作業的な負担も比較的少なく済むので、私も採用できるかもしれないと感じています。打ち合わせはチャットのほかにもメーリングリストを使う、必要に応じてICQを使うなど、さまざまな方法が考えられますね。
もうひとつのポイントとして、あとあと仲違いしないためにも、最初に内容の編集権や修正権、媒体の発行権など役割の切り分けをしっかりしておくことも重要だと感じています。
うまくすれば、一人でやるより確実にメールマガジンを発展させられる「共同執筆」。今一人で発行している人も、これから発行を考えている人も、一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
<<インタビューにご協力いただいたメールマガジン>>
誌名 :日刊!インターネット情報誌「WebCatch」
刊行形態:日刊
発行部数:39,300部
配送方法:パブジーン、まぐまぐ、アウトバーン、マッキー
次回は、長く発行を続けるための作業テクニック(その2)、校正方法や発行間隔などについてお送りします!
【追伸】この連載をご覧いただいたメールマガジン業界の方から、最近ポツポツとメールを頂戴しています。反響が嬉しいとともに、今後の連載の参考にさせていただいております。何か面白いお話などございましたら是非教えてください。
(99年6月17日)
[Reported by webmaster@kitte.com ]
バックナンバー
第1回:あなたも、電子メールマガジンのオーナーになろう!('99/0527)
第2回:どれが人気!? 電子メールマガジンの発行サービス比較('99/0603)
第3回:人気のある「メールマガジン」を作る秘訣('99/0610)
第5回:長く発行を続けるための作業テクニック(その2)('99/0624)
第6回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その1)('99/0701)
第7回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その2)('99/0708)
第8回:「メールマガジン」のプロモーション(その1)('99/0715)
第9回:「メールマガジン」のプロモーション(その2)('99/0722)
第10回:「メールマガジン」のプロモーション(その3)('99/0729)
第11回:「メールマガジン」に広告をとるには('99/0805)
第12回(最終回):自分のメディアを持つということ('99/0812)