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【連載】

電子メールマガジンの作り方




第8回:「メールマガジン」のプロモーション(その1)

 過去7回の連載をお読みになって、いかがでしょうか。私のところに届いている感想のメールで、「これを機会にメルマガの創刊をはじめました」という方もいらっしゃり、嬉しい限りです。

 ところで、メールマガジンを創刊したとして、購読者の方はどうしてあなたのメールマガジンを知ったのでしょうか? メールマガジン発行支援サービスによる一斉メールや自分のホームページなどいくつかあると思いますが、いずれにせよ、読者を集める手段はじっくりと考えていく必要があるテーマです。

 そこで今回から3回にわたり、いかにしてあなたのメールマガジンの購読者を増やすか。つまりプロモーションについて考えてみたいと思います。

●登録しただけでは十分な読者は集まらない

 メルマガ発行支援システムでは、新規登録されたメールマガジンを紹介する一斉メールを発行しているところもあります。例えば、最大手の「まぐまぐ」では「ウイークリーまぐまぐ」(週3回発行のメールマガジン、100万部発行)において、毎号50件程度の新規登録されたメルマガが紹介されています。同時に「まぐまぐ」のホームページ上でも「新作メールマガジン情報」は上部に掲載されており、目立ちます。

 しかし、新着情報に掲載される期間はほんの一時的なものです。その後、末長く読者獲得をしていくためには、きちんとプロモーションを考えなければなりません。

 ところで、プロモーションというと、テレビコマーシャルとか新聞一面を使った出稿をイメージする人が多いかと思いますが、インターネット上では、もっときめ細かなプロモーションをお金をかけずに行なえます。そういった意味で私は、プロモーションを「売り込み=宣伝」という日本語で表わしたいと思います。

 この「売り込み=宣伝」活動は、メールマガジンに限らず、ホームページなどでも大事なテーマです。このテーマ自体をコンテンツとして扱っているホームページ、メールマガジン、書籍、雑誌の特集も多数存在します。

 ただし、現在あるホームページや書籍の大半は「ホームページ」のアクセスを向上させよう! というテーマで作られています。ですから、記載されている内容はWeb画面上のことであったり、いかにオンライン販売を成功させるかということであったりするかについて紙面が割かれています。
 とはいえ、一見メルマガに直接の関連のなさそうなこれらのノウハウも、メールマガジンの存在を認知させたり、購読者を増やすことのヒントがたくさんあります。ぜひ、一度アクセスしてみてください。

<<アクセス向上の参考になるホームページ>>


・アクセス向上委員会
http://www.access.or.jp/
アクセス向上をテーマとするホームページの草分け的存在です。

・ホームページマスター養成講座
http://www.nagae.com/
小学館のビッグコミックスピリッツなどでも連載を持っていた、永江一石氏による講座です。ズバズバと書いてあるので分かりやすいです。

・AccessPlus
http://www.edit.ne.jp/~agency/access/
AccessPlusのホームページに実際に来たアクセスをもとに、どこのサイトが効果があったかが記載されています。

●インターネット上で自分のメールマガジンを宣伝できる場所


 投稿を前提に考えた場合、インターネット上で自分のメールマガジンを宣伝できる場所は大きく4つに分かれます。

1)ホームページ一般用のサーチエンジン・ディレクトリサービス
2)メールマガジン専門のサーチエンジン・ディレクトリサービス
3)ホームページ一般用のURL宣伝メールマガジン
4)メールマガジン専門のURL宣伝メールマガジン


1)ホームページ一般用のサーチエンジン・ディレクトリサービス

 電子メールマガジンの紹介やバックナンバー閲覧のURLがあれば、それを検索エンジンに登録させる依頼を行なえます。検索エンジン、リンク集への登録を一斉に行なうサービスも存在します。

・さぶみっと!
http://www.submit.ne.jp/start/index.asp
「サーチエンジン代理登録(無料版)」では国内15、海外5の合計20サイトにホームページの一括登録が可能。

・一発太郎
http://ippatsu.net/TARO/
17のサーチエンジンの他、特定ジャンル用サーチエンジンまで、ホームページの一括登録が可能。


2)メールマガジン専門のサーチエンジン・専門ディレクトリサービス


・よみものさーち

http://www.yomimono.com/
検索機能及び詳細なディレクトリサービスがあります。

・メルまが通信
http://www.zip.co.jp/mailmag/index.shtml
検索機能とディレクトリサービスがあります。

・メールマガジンの小さな本屋さん

http://www.mag2.com/s_store.htm
デザイン関係、GAME関係、食べ物関係などテーマ別にメールマガジンを集めたサイトが26ほど存在しています。それら26サイトへのリンク集です。

※各メールマガジン発行支援サービスでも自社のサービスを使って配信されているメールマガジンを紹介する検索機能やディレクトリサービスを用意しています。


3)ホームページ一般用のURL宣伝メールマガジン


・FIRST NEWS
http://surfers.firstnews.com/
URLを宣伝することができるメールマガジン。6万人を超える読者がいるため、効果が非常に高いと言われています。


4)メールマガジン専門のURL宣伝メールマガジン


・ウイークリーまぐまぐ

http://www.mag2.com/misc/wmag2reg.htm

・Pubzine Times
http://www.pubzine.com/times.asp

※これらはメールマガジン発行支援サービス運営会社による発行で、同サービスを利用した新着メールマガジンのみを紹介しています。投稿はできません。

●アクセス向上委員会・橋本氏にインタビュー


 どのようなプロモーションが効果的なのかは、それだけで一冊本が書けてしまうテーマです。今回はプロモーションのさわりとして、メールマガジンの存在を投稿できるインターネットサービスの紹介をするとともに、アクセス向上に役立つホームページを紹介しました。

 プロモーションの重要性を認識いただくよい機会ですので、ホームページ「アクセス向上委員会」を'96年に開始し、ネットにおけるアクセス向上ノウハウの基礎を作り上げた橋本大也さんにプロモーションの極意をうかがってみました。橋本さんは、「アクセスを増やすホームページ革命術」(毎日コミュニケーションズ刊)の著書もお持ちです。


キッテコム:ホームページのアクセスについては向上が意識されてきましたが、メー
ルマガジンについては、僕はまだまだ彼我の差があるかなぁ、と思います。例えば、アクセス向上系のホームページ一つとってもまだまだ内容はホームページの宣伝に偏りがちです。このあたりについての原因はなんでしょう。


橋本:昔は、Webサイトの付加サービスとしてメールマガジンがあったなあと思うんです。Webサイトの更新状況やお知らせをコアな読者に伝えたいので、メールアドレス登録フォームをWebサイトに取りつけるというイメージです。それが今は、メールマガジンが主でWebサイトが従という関係のサービスが増えてきています。

Webサイト→Web上の登録フォーム→メールマガジンという流れですから、
一回はWebにアクセスしてもらわないといけない。Webのアクセスのうち数
パーセントがメールマガジンを登録していってくれるということになるわ
けですから、メールマガジンにしても読者の増加にはWebサイトのアクセス
向上が重要ということになるのではないでしょうか。まぐまぐとか
PubzineとかClickincomeとか、無料でメールマガジンの配信を請け負って
くれる代行配信サービス上にしか登録フォームがないマガジンの場合に
は、プロモーションが難しいでしょうね。


キッテコム:では、自前で宣伝用にホームページを作ることにしたとして、今すぐ効果があるコーナーを一つ選ぶとしたら、どれでしょうか。

橋本:一般的なアクセス向上のアイデアを書いてますが、プロモーションを行なう際にクリックされやすいコピーの作り方を書いているという点で、下記のページは参考になるのではないでしょうか。


・アクセスを向上のためのキャッチコピー(紹介文)の作り方

http://surfers.firstnews.com/jcatch.htm

キッテコム:なるほど、これはすぐにでも真似したいノウハウですね。ところで、現
在の日本の状況(パソコンの普及度とか回線とか)を考えると、自分の考えを人に伝えるのに適しているのはひょっとしたら、メールマガジンなのではないか、と思っています。というのもホームページだと絵を作ったりのクリエイティブが要求されますし、またCGIだ、FTPだと、結構色々と勉強しないとならないことが多いですからね。その点メールマガジンはやろうと思えばブラウザー上だけでほとんど完結しちゃう。これは大きいと思うのですが。


橋本:それはその通りだと思います。一人でライティング、グラフィック処理、プログラミングをこなせるマルチタレントのライターは少ないでしょうから、テキストだけで勝負できるというのは表現する人間にとっては魅力だと思います。

Webページと違って、こんなメールマガジンがあったよ、と丸ごと転送できる。口コミを作りやすいメディアだという点もありそうですね。私のメールマガジンも、最初は社内や友人・知人からの転送紹介で知ったという方が結構いらっしゃいます。

ただ、テキストだけで勝負するのはシビアな世界でもあると思います。テキストの道は険しいですから。MSNジャーナルでご活躍の田中 宇(たなか・さかい)さん、田口ランディさんといったメールマガジンのスタープレイヤーのテキストはとても勉強になるなあと感じます。お二人ともオフラインでもプロのライターですから、文章力は当然ですが、改行位置とか語尾の変化ですとか、サブタイトルの挿入など読ませるテンポをよく考えられていらっしゃるなあと思います。


・田中 宇(たなか・さかい)のコーナー
http://journal.jp.msn.com/worldreport.asp?id=sakait&vf=1

・田口ランディのいろいろ
http://journal.jp.msn.com/worldreport.asp?id=randy&vf=1

キッテコム:メールマガジンとホームページは、両者の特性を噛み合わせて、自分の
主張や想い、成果を発信していくのが一番効果が高いのですね。このとき、両者をうまくかみ合わせていくにはどういった点に注意していったらよいのか、アドバイスをお願いします。


橋本:私はメールマガジンとWebサイトはプッシュとプルの一セットと考えています。Webサイトで多くの人に読んでもらい、メールマガジンでリピータや
サービスの会員になってもらうというイメージです。この手法で見事にビジネス化されたJnewsさんのサイトはジャストな参考事例だと思います。


・Jnews(ジャパン・ビジネス・ニュース)
http://www.jnews.com/


橋本:また、個人運営で9月から有料発行を決定された「BaseBand」さんも、有
料化の試案、読者アンケートの反響など、無料から有料化プロセスを仔細にレポートされており、とても参考になります。PCについてとても分かりやすく解説される講座型メールマガジンです。有料化では大変悩まれたようですが成功をお祈りしています。


・「読む」Windows PCマガジン[BaseBand]
http://victor-e.com/baseband/

橋本:私の運営しているアクセス向上委員会は、メールマガジンの読者になっ
てもらい、その後、メーリングリストのメンバーになって一緒に議論してもらうことが狙いです。Webサイトへまずアクセスしてもらい、メールマガジンに登録してもらい、そしてその後どういったアクションを読者に求めるかということを考える時期のような気がしています。

有料購読者になってもらってもいいでしょうし、コミュニティのメンバーになってもらったり、Webショップの販売に結びつけても良いでしょう。ただ発行しているだけでは、疲れてしまいます。何らかのアクションへ結びつけることで、より意義のある活動を展開できるのではないでしょうか。メールマガジン発行を目的にしてしまってはいけないなと思うのです。

特に企業がビジネスサイトの付帯サービスとしてメールマガジンを発行している場合、確実に費用が発生しているわけですから、費用対効果を漠然とではなく、数字で表す必要があります。読者一人獲得当たりの単価や、読者プロファイルデータの資産価値などを詳細に検討して運営していかないと長期的に良いサービスを提供するのは難しいと思います。

また気をつけて欲しいのが「オプトイン」できているかということ。企業サイトでアンケートを取った後、勝手にメールマガジンを配信してクレームが殺到するという事例が多くあります。事前の配信承諾をきちんととらないと読者にとってスパムメールを配送することになってしまいます。


キッテコム:最後はビジネスプランまで突っ込んだ話でしたね。大変参考になります。今日はどうもありがとうございました。

 次回はメルマガ相互広告、雑誌社など企業へのリリース送付方法、自己増殖的に
リンクが増えていく方法について書きたいと思います。


【追伸】この連載をご覧いただいて、メールマガジンの発行をはじめた方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をください。また、どのあたりが参考になったのか、またどのような事を知りたいかなどの御意見をいただければ幸いです。今後の連載の参考にさせていただきます。また、これに限らず、メールマガジンの作り方に関してご質問などございましたら、下記のメールアドレス宛に投稿ください。


('99年7月15日)

[Reported by webmaster@kitte.com ]


バックナンバー

第1回:あなたも、電子メールマガジンのオーナーになろう!('99/0527)

第2回:どれが人気!? 電子メールマガジンの発行サービス比較('99/0603)

第3回:人気のある「メールマガジン」を作る秘訣('99/0610)

第4回:長く発行を続けるための作業テクニック(その1)('99/0617)

第5回:長く発行を続けるための作業テクニック(その2)('99/0624)

第6回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その1)('99/0701)

第7回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その2)('99/0708)

第9回:「メールマガジン」のプロモーション(その2)('99/0722)

第10回:「メールマガジン」のプロモーション(その3)('99/0729)

第11回:「メールマガジン」に広告をとるには('99/0805)

第12回(最終回):自分のメディアを持つということ('99/0812)


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