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【連載】

電子メールマガジンの作り方




第9回:「メールマガジン」のプロモーション(その2)

 今回は、プロモーション3回シリーズの2回目です。前回はメールマガジンの読者獲得のための基礎的な考え方、そしてサーチエンジンやURL宣伝メールマガジンへの投稿による宣伝方法についてお話しました。

 今回は更に一歩進み、メールマガジンの相互広告、プレスリリース発行やリンクによる自己増殖的な宣伝方法についてお話したいと思います。


●メールマガジンの相互広告


 メールマガジンの5行広告は、インターネットウォッチのような企業が発行するものだけでなく、個人発行のメールマガジンでもほぼ似た形態で踏襲されています。
 広告効果を求める広告主が出稿したいと考えるメールマガジンの対象は、「読者が多い」か「読者層がフィットしている」ものに限られてしまいますが、この「広告が入らない」という状況を逆手にとったのが、メールマガジン同士の相互広告です。
 自分のメールマガジンの広告を他人のメールマガジンに掲載してもらう代わりに、相手のメールマガジンの広告を自分のメールマガジンに掲載するというだけの単純な交換で、読者が少ない時点では効果的な方法です。

 ただし、実際に2つのメールマガジンの発行数がまったく同じということは少ないと思いますので、どちらかに譲り合いの姿勢が必要だと思います。私の経験では、幸いにもこれまでにトラブルは起きませんでした。特にこちらから相互広告出稿のお願いする場合は、なるべく相手が乗りやすいよう、相手の不利にならない条件でお願いするとよいと思います。相手の発行部数の方が格段に多い場合には、こちらへの掲載回数を増やすといった提案も有効です。

 また、相互広告をしたいと思っているメールマガジンを紹介するメールマガジンも発行されています。もちろん、ここに掲載されていないメールマガジンであっても、個人発行のものであれば、相互リンクは交渉次第です。礼節を守った上で、是非積極的に依頼してみてはいかがでしょうか。

■メールマガジン相互広告ネットワーク
http://www.sh.rim.or.jp/~syntax/mgnet/index.htm
相互広告を出したいと思っているメールマガジンの作者を紹介するメールマガジン。

 さて、実際に相手のメールマガジンに掲載してもらうための5行広告は、少しでも読者に認知してもらえるように、また認知した人に読者登録してもらえるように作りましょう。この連載の、第6回、第7回の「インターフェイス」の「絵文字」の部分をぜひ参考にしてください。ちなみに私のメールマガジンでは、今は以下のような書き方です。広告宣伝の表現は、テキスト広告とはいえ奥が深いので、色々試してみて反応を見ながら変えていくのがよさそうです。

●「読んでもらえる」リリースの作り方・送り方

 次はプレスリリースについてです。プレスリリースというと大企業の広報室が出す非常に正式な文書のように思われる方もいらっしゃるかと思いますが、決して個人やSOHOが出していけないものではありません。

 またプレスリリースへの反響ですが、インターネットのない時代にはなかなか取り上げてもらえることもなかった個人やSOHO発のリリースも、現在では「プレスネットワーク」などを使って注目を集めることができます。「プレスネットワーク」は、1998年5月に「まぐまぐ」によって作られた、プレスリリース配信サービスです。4大紙を含む、993の媒体(合計発行部数は約5,300万部)に向けて発信できます。

 プレスリリースをこのネットワークに流したい場合は、特に事前登録することなく、ある電子メールアドレスに一通流すだけで一斉に993媒体に対してそのまま配信されます。

■プレスネットワーク
http://pchan.tegami.com/pressnet/

 「プレスネットワーク」には実際どのようなプレスリリースが流れているのでしょうか。量では、毎日20~30通は流れています。発信元は企業・官公庁・個人と色々です。

 実際に流れいているリリースを見ていると、分かりにくい内容のものも含まれています。プレスネットワークでは原則として、流れたメールを何ら手を加えずにそのまま流しており、こういった大量の玉石混交の中で、あなたが出したプレスリリースが注目されるためにはそれなりの工夫が必要です。

 例えば、たいていの電子メールソフトでは、新しく届いた電子メールは、一覧画面に「タイトル」と「発信者名」が表示されます。そこで、まずは「タイトル」と「発信者名」注意をひきつけるものにしたほうがよいでしょう。
 特に「タイトル」欄は多少の説明も可能です。読む側がニュースに取り上げたいと、ぴくりと動いてくれるような内容を書けるか否かが、読んでもらえるかそのままDeleteされるかの境目になります。

 工夫も必要ですが、流すプレスリリースにはニュース性が重要であるのは、言うまでもありません。紙メディアでもサイバーメディアでも、ニュースとして取り上げてもらうためには、それなりに納得してもらえる内容であることが必要なのです。

 さて今回は、プレスリリースの流し方について、プレスネットワークの発起人である深水英一郎さんにお話をうかがいました。




キッテコム:プレスネットは、2つの点ですごく革命的なインフラだと思うんです。ま
ず、第一に企業のリリースを個人が受け取れる。次に、個人が企業に対してリリースを打てる。まずは、どうしてこのサービスを始められたのか教えて下さい。
深水:僕がメールマガジンを始めた頃は、個人で企業のプレスリリースを送ってもらうのは、すごくむずかしかったんです。何度かトライしてみました
が、相手にしてもらえないんですよ。

企業側の立場に立てば、送れない理由もわかるんですが、その状況をなんとかできんかなー、と思ってはじめました。プレスネットワークをスタートした頃は、まだリリースをデジタルで流すなんてのは主流じゃなかったんですが、海外企業の日本法人などを皮切りにだんだん使ってもらえるようになり、現在では、一定量のリリースが常に流れるようになってきています。よかったよかったといった感じです。

キッテコム:とすると、1点目の企業のリリースの情報収集が最初の目的だったんです
ね。なるほど。ところで、プレスネットに限らずネット上を流れているリリースは必ずしも的確に記述されているものばかりではないようです。ずばり読んでもらえるリリースを作るためにどういった点に気をつけるべきでしょうか?

深水:ポイントは、そのリリースしようとする内容が持つ「ニュース性」ですね。これが欠けているものだと、出す事自体に意味がありません。あまりこんなことを僕の立場で言うのもなんですが(といいながら言っちゃいますが)要するに、記者やライターの立場に立って考えよう、ということです。あなたが記者だったら、このリリースをみて、取り上げてみようと思うか、興味をひかれるか、記事にしやすいか、ということを考えながら書けば、いいリリースになります。ひとりよがりはダメですね。ひとりよがりなリリースは、広告と変わりません。詳しくは、このページを読んでいただければわかります。

キッテコム:「ひとりよがりなリリースは広告と変わらない」…うーん、重みがある言葉ですね。とすると、まぐまぐがリリースを出す時は、かなりのニュース性がある時に限られるわけですね。まぐまぐ自体もプレスリリースを出す時にはプレスネットを活用するんですか?

深水:気がひけて、これまではあまりまぐまぐ自体では活用してませんね。で
も、ゼロってことはないですよ。今まで2回出してます。株式会社まぐまぐができたときと、「クサイせりふジェネレータ」というサイトを作ったときです。おのおの、僕たちができる範囲で、リリースとしての工夫や挑戦をやっているつもりです。株式会社まぐまぐのリリースでは、本文はポイントのみ、URLをたくさんならべて、リリース文を作成しました。ハイパーテキストなリリース、って感じです。また、クサイせりふジェネレータのリリースでは、「君だけのためにリリースするよ(報道関係者各位)」というリリース文を作成して洒落っ気を出し、記者さんの目をひくように工夫をしました。

リリースに決まった形式は存在しないので、作成側はいろいろと工夫の余地が残っているはずです。あくまでも、読んでもらうものですので、やりすぎてわかりにくくなるとマズいですが。

キッテコム:ニュース性のあるテーマはもちろんですが、国語力、作文能力も大事みたいですね。僕も磨かなければ。最後になりますが、プレスネットのホームページには色々と計画がありますが、今後の拡充の予定などはいかがですか?

深水:『基本情報の共有』、『共同取材の開催』ですよね。余力があれば、やりたいと考えていますが、どれも人的パワーが必要なものばかりなので、手を出せずにいます。今はリリース配布で精一杯といったところでしょうか。これに関しては、ごめんなさいです。


キッテコム:現状の円滑なインフラ提供だけでも大変ですし、また使っている人にとってはメリットも大きいですよね。これらは今後気長に待ちたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

●リンクについて

 自分のメールマガジンの申込ページやバックナンバーページのURLは、多くの人に知ってもらったほうが、より購読者を増やすことにつながります。
 著作権を確保することは大事ですが、なるべく存在を知られたくないホームページ以外は、原則として「リンクフリー」(=ご自由にリンクしてください)と明記しておくのがよいでしょう。というのも、リンクを張りたい側からすれば、確認を取る手間がありますし、逆に人気の高いページでは、返事の手間もあるでしょう。また、せっかくリンクを張る気になってくれたのに、メールを出さなかったり、返事を待っている間に冷めてしまって、リンクを張ってもらう機会を失うことになりかねません。
 また、更に一歩進んで、専用のロゴボタンを作っている人もいます。私も作ってみました。みなさんも、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

 次回はプロモーションの元資料の集め方と、自分のメルマガの方向性を決めるためのマーケティング調査について書きたいと思います。


【追伸】この連載をご覧いただいて、メールマガジンの発行をはじめた方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をください。また、どのあたりが参考になったのか、またどのような事を知りたいかなどの御意見をいただければ幸いです。今後の連載の参考にさせていただきます。また、これに限らず、メールマガジンの作り方に関してご質問などございましたら、下記のメールアドレス宛に投稿ください。

(99年7月22日)

[Reported by webmaster@kitte.com ]


バックナンバー

第1回:あなたも、電子メールマガジンのオーナーになろう!('99/0527)

第2回:どれが人気!? 電子メールマガジンの発行サービス比較('99/0603)

第3回:人気のある「メールマガジン」を作る秘訣('99/0610)

第4回:長く発行を続けるための作業テクニック(その1)('99/0617)

第5回:長く発行を続けるための作業テクニック(その2)('99/0624)

第6回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その1)('99/0701)

第7回:「メールマガジン」のインターフェイスを考えよう(その2)('99/0708)

第8回:「メールマガジン」のプロモーション(その1)('99/0715)

第10回:「メールマガジン」のプロモーション(その3)('99/0729)

第11回:「メールマガジン」に広告をとるには('99/0805)

第12回(最終回):自分のメディアを持つということ('99/0812)


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