米国時間8月28日、米国ワシントン西部地区検察官およびFBI、米国シークレットサービスは、ミネソタ州ミネアポリス在住のJeffrey Lee Parson氏18歳をコンピュータウイルス「Blaster.B」(別名W32/Lovsan.worm.bなど)を作成、流布した罪状で逮捕し告訴したことを明らかにした。
Blasterウイルスには、最も影響が大きく感染が広がるきっかけとなった“元祖”「Blaster」と、それを原型に作成されたBlaster.BからBlaster.Eまで複数の亜種が存在する。今回告訴状に記されているのはこのうち、「Blaster.B」を作成した容疑である。
告訴状によると、米Microsoftは8月11日にBlasterの存在を知り、その3日後の8月14日にBlasterの複数の亜種を確認したとされる。そのうち1つの亜種である「Blaster.B」(W32/Lovsan.worm.b)はBlasterに含まれていた「MSBLAST.EXE」を「teekids.exe」に改名していながら、行動はBlasterと全く同じくMicrosoftが保有するドメイン「www.windowsupdate.com」へのDoS攻撃を仕掛けるよう意図するものだった。
Blaster.Bは調査の結果「www.t33kid.com」にアクセスし、そのWebサイトから指示を受けることが米Microsoftと米シークレットサービス特別捜査官によって確認された。さらにこのWebサイトを調べてみると、ファイル交換ネットワークKazaaやiMeshに感染する複数のコンピュータウイルスのソースコードが置いてあるほか、バックドアとなり得る3つのWebサイトへのリンクが張ってあることも確認された。
この「www.t33kid.com」の所有者をIPアドレスを使って辿っていった結果、最終的にそのIPアドレスを持つコンピュータを借りていた人物が、IRCで知り合った「teekid」と名乗る人物に自由に利用させていたことが判明。この人物は「teekid」が利用しているIPアドレスが「24.94.194.76」であることを知っていただけでなく、teekidがこれまでにDoS攻撃や複数のコンピュータウイルスの作成を行なっていたと証言した。
また、IPアドレス「24.94.194.76」は「www.t33kid.com」が運用されている実際のWebサイト「dl.t33kid.com」のIPアドレスと一致したため、「teekid」が自宅のコンピュータでこのWebサーバーを運用しているものと疑われた。
特別捜査官は「www.t33kid.com」のドメイン名がミネソタ州の「JEFF PARSON」によって登録されていることを突き止め、同時に「24.94.194.76」がTime Warner Cable社のもので、ミネソタ州のRobert Parson氏によって契約されていることが判明。捜索令状によってこの住所を調べたところ、Jeffrey Parson氏が元祖Blasterウイルスを元にBlaster.Bを作成し、自分のオンラインネームから「MSBLAST.EXE」を「teekids.exe」に改名したことを認めた。
今後裁判ではこれら検察側の証拠が法的に立証されなければならず、その上Webサイトに残されていた複数のコンピュータウイルスのソースコードの意味、過去にDoS攻撃を行なったことや複数のウイルス作成をしたとの証言が真実なのかどうか、また容疑者の自宅で発見されたコンピュータの解析などが法廷で解明されなければならない。
関連情報
■URL
ニュースリリース(英文)
http://www.usdoj.gov/usao/waw/press_room/2003/aug/parson.htm
米Microsoftのコメント(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2003/aug03/0829BlasterStatement.asp
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2003/08/30 20:39
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