利用者の友人の嗜好を利用したパーソナライズドサーチエンジン登場

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利用者の友人の嗜好を利用したパーソナライズドサーチエンジン登場

「Eurekster」ベータ版のトップページ

　利用者とその友人、同僚、所属する組織などの情報をもとに検索結果をパーソナライズするサーチエンジン「Eurekster」のベータ版が21日に一般公開された。現在米国で大流行し、多くのベンチャーキャピタルの間でも注目されている“ソーシャルネットワーク”の考え方を応用したもので、Googleが関心を示しているアイディアでもある。

　利用者がEureksterに自分の友人や同僚、所属している組織のメンバーらに参加してもらうと、検索結果がその影響を受けるようになる。例えば、ソフトウェア開発を行なっている企業の同僚同士で参加すると、検索結果の上位にはIT企業やソフトウェア開発に関連したWebサイトがリストアップされる。製薬会社の同僚が参加しているグループの検索結果には、同じ検索語を入力したとしてもバイオ関係の検索結果が多く出てくる。その友人や同僚に参加してもらうかは利用者自身で決定でき、他のソーシャルネットワーキングサイトと同様、Eureksterのサイトからメールアドレスを入力したり自分のアドレスリストを丸ごと取り込むだけで友人を招待できる。逆に言えば、誰を招き入れるかで検索結果の精度が決まると言える。

　Eureksterの検索結果は、米Yahoo!の子会社で、AlltheWeb.comやAltaVistaを運営している米Overtureが提供しているが、Overtureのスポンサードサーチ以外の検索結果の並び順を決めるアルゴリズムはEureksterが提供している。Eureksterは、検索結果にリストアップされたサイトのうち1分以上閲覧されたサイトを有用であると判断し、そのサイトを登録すると同時に検索結果に反映できるように学習する。逆に1分未満のサイトは有用でなかったと判断。これを利用者自身と登録してる友人が繰り返すことによって、Eureksterの精度が向上していく。

　サーチエンジンの入力フォームの右側には友人が最近検索したキーワードや人気のあるサイト、友人が有用だと感じたサイトのリストなどが表示されており、同じような興味を持つ人から役に立つ情報をすぐに得られるようになっている。その一方で、友人に知られたくない内容の検索をしたい時には「Private Search」をクリックすれば、それらの情報は公開されなくなる。

　Eureksterは、Overtureとの提携関係により提供される有料リスティングから利益を上げるだけでない。EureksterのSteven E.Marder会長は、「Eureksterはインターネット検索サービスの単なる次世代技術ではない。すでに実証されている商業的インターネット検索サービスの売上を上げる方法と、ソーシャルネットワーキングビジネスによって提供される口コミを結び付けるという新しく革新的なビジネスモデルを実現しているのだ」と説明し、バブル期のインターネットビジネスの枠を超える有望な企業であることをアピールした。

　Eureksterを設立したのは、検索技術サービスの米SLI Systemsと、人材供給のためのソーシャルネットワーキング企業であるニュージーランドのRealContactsの2社。SLIはNBC、Veritas、The Excite Network、Comet Systems、Etronicsなどに検索のためのテクノロジーソリューションを供給しており、同社の15％はGeneral Electric傘下のNBCによって保有されている。

　ソーシャルネットワークの考え方をサーチエンジンに持ち込むというアイディア自体は新しいものではない。サーチエンジン最大手のGoogleは、ソーシャルネットワーキングサイトのFriendsterに買収交渉を行なったと噂されているほか、Googleの誕生地でもあるスタンフォード大学出身のベンチャー企業で、サーチエンジンのパーソナライズ技術を研究していたKatlixを2003年に買収したことでも話題となっている。

　Eureksterは、Overtureが提供しているサーチエンジンの検索結果を利用しているため部分的に日本語の検索もできるようだ。ただし、Eureksterに参加するための手続きや友人を招待する際のメールなどはすべて英語である。なお、Eureksterは検索結果や検索語のプライバシーを最大限尊重していると説明している。

関連情報

■URL
　ニュースリリース（英文）
　 http://home.eurekster.com/press/eureksterlaunch_210104.htm

・ Googleの買収提案を断った「Friendster」の人気が急上昇（2003/11/27）

（青木大我 taiga@scientist.com ）
2004/01/22 13:06

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