米大手ISPのVerizon Internet Servicesは12日、ファイル交換ソフトユーザーの身元情報の開示をめぐって全米レコード協会(RIAA)と争っていた件で勝利を収めたと発表した。
この問題は、RIAAがVerizonに対して、ファイル交換ソフトを利用して音楽の著作権侵害を行なっている会員の名前や住所、電話番号などを開示するよう求めていたもの。RIAAは、米国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)を根拠に、召喚令状に基づいてユーザーの身元を開示すべきであると主張していた。一方、Verizonは、DMCAはISPのネットワーク上にホスティングされたファイルのみに適用され、会員のコンピュータの中に保存されているファイルに適用することはできないとして、会員のプライバシー保護のために開示を拒否していた。
これに対してコロンビア特別区の連邦地裁は2003年1月、RIAAの主張を認める判決を下した。これにより、音楽業界が「著作権侵害を助長している」と主張するファイル交換ソフトユーザーについては、個別に提訴する前でも召喚令状という手続きにより裁判官の承認を経ることなくISPに身元開示請求ができるようになった。
しかし、12月には控訴裁でその判決が覆され、RIAAはその後、非合法ファイル交換ソフトユーザーに対して、身元不明のまま訴える、いわゆる“John Doe訴訟”のかたちで裁判を起こさざるを得なくなっていた。
今回のVerizonの勝利宣言は、召喚令状だけで身元開示を行なうことを違法だとした控訴裁の決定を、最高裁が再審理することを拒否したことを受けてもの。VerizonのSarah Deutsch副社長は、「最高裁の判断は、消費者とインターネットの継続的な発展にとっての勝利であり、米国人の憲法上の権利を脅かす危険で違法な召還令状キャンペーンの終わりでもある。今回の決定は、権利者やその代理人、あるいはそれらになりすました人物やストーカーが裁判所の事務員に1枚の書類を提出するだけで、インターネットユーザーについての個人情報を入手することは許されないということを示している」とコメントしている。
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■URL
ニュースリリース(英文)
http://newscenter.verizon.com/proactive/newsroom/release.vtml?id=87454
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( 永沢 茂 )
2004/10/14 21:23
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