衆議院第一議員会館で4日、Yahoo!オークション訴訟の原告団(団長:水野昇氏)が集まり、詐欺の原因となるYahoo!オークションのシステムにおける不備や、被害の現状を訴えた。同原告団は、名古屋地方裁判所でヤフーを相手取って損害賠償請求訴訟を3月末までに提訴する予定だ。
本日の集会は原告団のうち関東地区の有志が開いたもの。配布された資料によると、2月3日現在で、原告団に加わる“ヤフオク詐欺”の被害者は184名。被害総額約1,840万円に達した。また、全国のヤフオク詐欺被害者の会10団体を合計すると被害者は2,771名、被害総額は2億4,119万2,303円に達するという。
● Yahoo!オークション補償が適用されたケースは少ない?
Yahoo!オークションでは、商品未着などの詐欺被害に対して、被害額の8割、最大50万円まで補償する制度「Yahoo!オークション補償」を設けている。しかし、原告団によるとこうした補償金が適用されたケースは少ないという。
Yahoo!オークション補償では、1IDあたり10個以上の多数出品や、納期が長いことを出品ページに明記した出品に関しては補償の適用外としているが、原告団では「適用外にするのであれば、そもそも出品時のプルダウンメニューを10個までにすればいい。納期も補償の期間内のみ出品可能にするように変更するべきだ」とシステムの不備を指摘。被害者の1人は「画像を掲載している出品で詐欺にあっても補償が適用されなかった。あるメーカーの画像が利用されていたためだとされたが、素人の被害者はどうやって画像の出所を確かめたらよいのか」と指摘した。
● 詐欺犯人のYahoo! ID削除で犯人情報の共有が妨げられる
さらに「詐欺が発覚した後、ヤフーが出品者のYahoo! IDを削除してしまった場合、出品ページにアクセスできなくなってしまうことも問題だ」という。ある被害者は「ヤフオクの利用者が全員、PCを毎日利用するわけではない。例えば納期が1カ月だったら、落札から数週間確認しない人もいる。そんな人が久々にPCを開いてみたら、出品ページにアクセスできなければ、何が起こったのかわからない」と語る。
また、「出品ページのコメント欄には被害情報が書き込まれており、被害者同士で情報を共有できる。しかし、そのページにアクセスできないようしてしまっては、被害者はどうやって情報を収集すればよいのか」と問題点を語った。
原告団では、詐欺被害を抑止するためにヤフーにこうしたシステムの不備の修正や強化を求める。中には「本人確認で課金しているのだから、対面による本人確認などを行なうべきではないか」「個人の年間取引総額を規制して、5,000万円以上はYahoo!オークションストアでの出品に限るなどの対策を」といった具体的な改善策を要求する被害者もいた。
● ヤフオクを楽しむには自衛策が必須。システム改善で詐欺被害の防止を
集会に参加した被害者の多くは、現在もYahoo!オークションを楽しんでいる。ただし、利用時に「落札しても電話確認したり、免許などの写しを送ってもらうことで自己防衛する」「高額商品であれば、現金での直接取引を出品者にお願いしてみて、返答を待つ」などの自衛策を講じるようになった被害者もいる。
「しかし、画像の出所や出品者の同時出品数制限など、常識的にみて落札者の注意義務違反を超えるようなことが原因で、詐欺被害者が補償が受けられないなどの問題は依然として残る」という。ある被害者は「これ以上ヤフオク詐欺の被害者を増やしてはならない。裁判を通じて安心して利用できるようにシステムを改善してもらうのが活動の目的だ」と語った。
関連情報
■URL
集団訴訟原告団のサイト
http://web-sos.info/
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・ 「ヤフオクのシステムに問題」詐欺被害者らがヤフーに損害賠償訴訟(2005/01/26)
( 鷹木 創 )
2005/02/04 20:57
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