コンサルティング会社のアビームコンサルティングは23日、企業における個人情報保護法への対応状況についての調査結果を発表した。同法の完全施行3カ月前となる1月時点で対応済みだった企業は約3分の1に止まった。
調査は1月11日から31日まで、個人情報取扱事業者となる企業に対してアンケート形式で行なわれ、121社から有効回答を得た。これによると、政府が定めた個人情報保護に関する基本方針において重要項目として挙げられている「社内規定の作成」「組織での責任体制」「従業員教育」の3点について、すべて対応している企業は34%だった。
個別に見ると、社内規定については「作成済み」が48%、「作成中」が38%、「なし」が13%だった。組織での責任部署の設置状況については「担当役員を任命」が37%、「専門部署を設置」が17%、「システム部門が兼任」が18%、「既存部署に追加」が34%だったが、「体制を検討中」も32%あった。従業員教育については「実施済み」が42%、「今後実施」が49%、「予定なし」が8%だった。
今回の調査では、過去に漏洩経験のある企業と、漏洩経験はないが対策が進んでいる企業では、個人情報保護対策の取り組みの重点ポイントが異なることもわかった。経験済み企業では、物理的対策に特に注力しているという。具体的には、経験済み企業ではキャビネット施錠の実施率が100%だったほか、ペーパーレス化も62%、印刷制限も46%に達した。一方、漏洩未経験企業ではキャビネット施錠が93%と同様に高い割合を示したものの、ペーパーレス化は14%、印刷制限は21%に止まっている。
なお、業種別の進捗状況では、情報サービス業が最も対策が進んでいる一方で、小売業と不動産業では全般的に対応が遅れていた。金融業は全体では情報サービス業に次いで進んでいる業種だが、対策が進んでいる企業と遅れている企業でばらつきがあるという。
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■URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.abeam.com/jp/archives/press_release/20050223_research.pdf
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( 永沢 茂 )
2005/02/23 19:11
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