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総務省の2004年度競争状況評価、ADSLの構成比が低下でFTTHが上昇


 総務省は22日、「平成16年度電気通信事業分野における競争状況の評価」を公表した。同評価ではADSLやFTTH、CATVインターネットや、IP電話サービス、公衆無線LANサービスなどの市場状況が分析されている。

 ADSLとFTTH、CATVインターネットの数値を合計したブロードバンド契約回線数は2004年12月末で1,863万回線で、2003年9月末の1,242万回線から621万回線増加し、総務省では安定した拡大が続いているとした。一方、各サービスの構成比はADSLの構成比が2004年6月から低下に転じるとともに、FTTHの比率が一貫して上昇しているとしている。なお、CATVインターネットに関しては、下げ止まりの兆しを見せているという。


ブロードバンドサービス契約回線数の推移 ブロードバンドサービス契約回線数構成比の推移

ADSLの世帯普及率は25.7%。4世帯に1世帯以上が利用

ADSLの都道府県別世帯普及率

ADSL市場における事業別シェア
 サービス別で見ると、2004年9月末時点のADSL契約回線数は東日本市場が698万、西日本市場は582万で、合計は1,280万回線。全国平均の世帯普及率は25.7%で、前年同月比で7ポイント増加し、4世帯に1世帯以上がADSLを利用していることがわかる。

 都道府県別の世帯普及率では、東京都の34.5%が最も高く、1番低い地域は鹿児島県の12.9%。ただし、前年同月比からの上昇ポイントは東京が6.2ポイント、鹿児島が6.1ポイントと2都県に大きな差はなく、総務省では他府県でも同様の傾向であるとしいう。また、世帯普及率が10%以下の都道府県は9カ所から0へ減少し、20%以上が8カ所から29カ所に増加した。

 事業者別のシェアは、東日本市場はNTT東日本が37.5%で第1位、以降はソフトバンクBBの31.2%、イー・アクセスの15.9%が続く。また、西日本市場はソフトバンクBBが39.7%が1位で、NTT西日本は36.4%で2位、3位はイー・アクセスの15.9%となっている。

 ADSL市場の競争力に関しては、引き続き市場は拡大しつつ、事業者間の競争は活発であると指摘。ADSLからFTTHへの移行は未だ緩やかだとしている。しかし、「050」番号のIP電話しか提供していないADSLは、「0AB~J」番号のIP電話サービスを提供するFTTHに次第に押される可能性もあるとする一方で、直収型電話サービスの台頭はADSLの利用を下支えする要因にあるともしている。


FTTHの世帯普及率は4.1%。NTT東西が6割のシェア

FTTHの都道府県別世帯普及率

FTTH市場の事業別シェア推移
 FTTHの契約回線数は2004年12月末時点で243万回線。主要事業者の回線数は、NTT東日本が75万、NTT西日本が68万、電力系事業者が35万、USENが23万。世帯普及率は4.1%で、ADSLの25.7%と比較した6分の1になるが、全都道府県で普及率は上昇している。都道府県別で見ると東京都が8.1%と1位だが、滋賀県や大阪府、京都府など近畿地方の府県が上位を占めており、世帯普及率における西高東低の傾向は続いているという。なお、10万契約以上の契約数があるのは東京都、大阪府、神奈川県、兵庫県、埼玉県、千葉県の7都府県、一方、1万契約以下は山梨県や徳島県など18県に上っている。

 契約回線数の事業者別シェアは、1位のNTT東日本が30.9%、2位のNTT西日本が27.9%で合計は58.8%。また、NTT-MEやNTTネオメイトなどを加えたNTTグループ全体のシャアは6割を超えている。それ以外の事業者シェアは電力系事業者が14.5%、USENが9.5%。

 集合住宅市場の事業者別シェアはNTT東日本が21.4%、USENの19.7%、NTT西日本の12.4%と続いている。同評価では同市場に関して、NTT東西など大手事業者が顧客獲得を本格化していることもあり、これまで比較的大きなシェアを持っていたマンション内ISPに影響を与えると予想している。

 一方、集合住宅以外の事業別シェアは、NTT東日本が38.2%、NTT西日本が39.7%と合計で77.9%。電力系事業者の19.2%とUSENの1.8%と比較すると、両社にシェアが集中しているのがわかる。

 FTT市場の競争力に関しては、光ファイバ引込線部分における設備ベースの競争が進展する可能性や、IP電話サービスや放送サービスといったアプリケーションは市場の競争状況に影響を与えるとも分析している。

 集合住宅市場ではADSLの存在が競争圧力にあり、同サービスに意識した料金設定が行なわれている。また、光ファイバを利用した映像サービスの活発化により、CATVや衛星放送と競合が発生するとしている。一方、戸建て市場に関しては、設備競争を促進しながら新規参入を促すことが政策上の関心事だとしている。なお、市場競争状況に関しては、NTT東西と電力系事業者が多数を占めている状況で、大都市部では両者が重畳的にサービス提供を行なっているとした。


FTTH集合住宅市場の事業別シェア FTTH集合住宅以外の事業別シェアの推移

CATV契約回線数が287.3万件。CATV先進県3県の普及率は15%超

CATVインターネットの都道府県別世帯普及率
 CATVインターネットの契約回線数は2004年12月末で287.3万回線で、純増傾向は続いているがその幅は微増。10万契約以上の契約回線数を持つ都道府県は、東京都や神奈川県、愛知県のほか、CATV先進県の1つである三重県が入っている。また、世帯普及率で15%を超えているのはCATV先進県(三重県、福井県、富山県)のみとなっている。

 CATVインターネットに関しては、FTTHにおける放送サービスとの競合があるほか、電気通信事業者との連携や共存を模索する動きも顕在化してきているという。また、CATVインターネット単独では地域独占的な地位を持っているが、ADSLやFTTHの台頭が著しく、市場支配力が行使される可能性は低いという。


ブロードバンドサービス契約者の約4割がIP電話サービスを利用

IP電話番号の利用者推移
 IP電話サービスの利用者数は、2004年9月末現在で「050」番号と「0AB~J」番号の合計値が702.4万件。独自調査による内訳は、「050」番号が694.3万、「0AB~J」番号が8.1万件で、比率は99:1となっている。なお、内訳は不明だが2005年3月末現在の利用者数は830.5万件に上っており、総務省では省令での報告義務化などの手法でモニタリングの具体化を急ぐとしている。

 IP電話の利用数830.5万件に対して、ブロードバンドサービスの契約回線数は1,863万件で、単純計算で全体の約4割がIP電話を利用している計算になる。参入事業者のシェアに関しては非公表だが、競争評価の分析の一環として実施さたアンケート調査では利用しているIP電話事業者の1位がソフトバンクの64.9%で、以降はNTTコミュニケーションズ(NTT Com)の8.3%、KDDIの5.6%という回答が得られたという。

 IP電話サービスの利用に関して同評価は、利用者の大半はブロードバンドサービスの付加的なサービスとして意識して利用しているとしている。また、現在はADSL上の「050」番号のIIP電話が大半を占めるが、今後は「0AB~J」番号のIP電話サービスの拡大による影響も注目されるとした。

 なお、直収型電話サービスの登場に伴う、NTT東西およびNTT Comの料金改定に関しては、直収型サービスへの対抗とともに、一律料金のIP電話サービスの本格普及を意識したものと分析している。

 このほか、公衆無線LANサービスの事業者数や契約者数推移も公表されている。それによれば事業者数は7社で、2004年12月末時点の契約数は9.7万件。試験サービスの利用者は把握できる範囲で72万件あり、本サービス利用者として顕在化していない利用者が相当数あるとしている。基地局数は2004年9月末で7,146カ所。都道府県別で見ると、東京都が24%、大阪府が10%、愛知県が6%と3都府県で全体の40%を占めている。


利用しているIP電話事業者 公衆無線LAN基地局の都道府県別設置数の推移

関連情報

URL
  総務省 報道資料
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050722_1.html

関連記事
総務省、2003年度におけるFTTHやADSLなどの競争状況の評価案(2004/04/28)


( 村松健至 )
2005/07/22 20:27

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