マイクロソフトは29日、JIS X 0213:2004(以下、JIS2004)に対応した新日本語フォント「メイリオ」を、2006年リリース予定の次期OS「Windows Vista」に搭載すると発表した。あわせて、これまで搭載されていた日本語フォントの一部でもJIS2004に対応する。
メイリオは、本文用レギュラーと見出し用ボールドの2つのウエイトで構成されるサンセリフ系(角ゴシック)フォントファミリーで、「ClearType技術を最大限に駆使した最初の日本語フォント」(マイクロソフト)だという。デザインは河野英一氏、マシュー・カーター氏、株式会社シーアンドジイが担当した。マイクロソフトでは「特徴は和文と欧文とを違和感なく調和させて組むことができること。特に横組み文章を読みやすくするため、和欧文字間の比較サイズ、黒み、並び具合、字間スペースなどを調整した」としている。
マイクロソフトではこれまで、JIS X 0208で規定されていた第1・第2水準漢字6,355文字に加えて、JIS X 0212に規定されている補助漢字5,801文字を加えた12,156文字の漢字を標準フォントとして組み込んでいた。
今回、JIS2004に対応することで、2004年9月に公示された「新人名用漢字」が使えるようになった。また、「常用漢字表」にない文字を扱う場合の指針となる「表外漢字字体表」に示された「印刷標準字体」に対応した。これまで搭載されてきた日本語フォントの字体は、基本的に1990年改正のJIS規格による例示字体と同じもので、一般の書籍類で用いられている字体との間に不整合が生じていた。こうした問題を解消するために、JIS2004では「葛」などの例示字体を変更している。
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JIS2004で例示字体が変更された漢字の一部(出典:経済産業省)
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従来から搭載されていたMSフォントについても、MSゴシック3書体「MS ゴシック」「MS Pゴシック」「MS UI Gothic」と、MS明朝2書体「MS 明朝」「MS P明朝」においてJIS2004に対応。メイリオを含めたJIS2004対応フォントは、米Microsoftが27日に公開した開発者向け「Windows Vista Beta 1」に搭載されている。JIS2004に対応したMSゴシック3書体とMS明朝2書体については、Windows XP向けにも提供する予定だ。
なお、Windows Vista環境では、JIS2004対応以前のMSゴシック3書体とMS明朝2書体は利用できない。また、JIS2004対応フォントをインストールしたWindows XP環境でも新フォントをアンインストールしない限りは旧フォントを利用できない仕組みだ。「葛」など例示字体が変更された範囲に関しては、JIS2004対応フォントを利用した場合、JIS2004非対応フォントの印刷などで意図しない字体が表示される可能性もある。マイクロソフトでは、こうした不具合を解消するため、字体切り替え機能を提供する予定だという。
【お詫びと訂正】
記事初出時、「今回、JIS2004に対応することで、結合文字やアイヌ文字、発音記号などの非漢字が追加された」と記載しておりましたが、これらは、初版であるJIS X 0213:2000ですでに収録されていました。
同じく記事初出時、「JIS2004では『鴎』や『葛』などの例示字体を変更している」と記載しておりましたが、「鴎」は変更されていません。お詫びして訂正いたします。
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2353
Windows Vista
http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/
関連記事:小形克宏の「文字の海、ビットの舟」特別編23
http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/ogata/sp23.htm
■関連記事
・ Microsoft、Windows VistaとIE 7の開発者向けベータ版公開(2005/07/28)
( 鷹木 創 )
2005/07/29 20:10
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