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“ADSLのアッカ”は終了~決算説明会で坂田社長「新フェーズ移行宣言」


 アッカ・ネットワークスは9日、2005年6月中間期(2005年1月~6月)における決算説明会を開催。合わせて、同社の中期経営計画および中長期経営ビジョンも示した。


アッカ湯崎副社長「利益をコントロールできる体制に」

(左から)湯崎副社長と坂田社長

2005年中間期決算概況。なお、修正EBITDAの数値は誤りがあり、正しくは2005年12月上半期が7,270百万円、前年同期伸び率が-6.8%、伸び率は+17.1%
 2005年6月中間期の売上高は前年同期比8.9%増の203億8,800万円で、営業利益は46.0%減の12億9,800万円。経常利益は11億6,200万円と、当初予想の7億円より大きい利益を確保したが、前年同期比では50.0%減となった。また、純利益は24.1%減の15億4,500万円。

 中間期の概要について湯崎英彦代表取締役副社長は、「個人・企業ともに事業は順調に推移している」と説明。売り上げ対比では、通信設備使用料やモデム関連費用を低減するとともに、販売費の増加を吸収して利益増加を達成したことから、「利益をコントロールできる体制になった」と語った。

 2005年通期の業績予想に関しては8月2日の修正予想通り、売上高で前年比6.0%増の410億円を見込む。また、経常利益は2.6%増の25億8,500万円、純利益は19.2%増の33億円を予想。また、2005年度決算で累積損失を一掃するとともに、2006年度には株主への還元も実施するとした。

 中間期におけるアッカの加入者数は129.4万人で、内訳は個人が125.6万件、企業が3.8万件。個人向けADSLサービスの速度ごとの加入者割合は、下り最大50Mbpsの高速サービスが2割、10~26Mbpsなどの中速サービスが4割、3Mbpsや640kbpsの低速サービスが2割だという。

 一方で、最近の純増ベースでは「高速サービスと低速サービスの加入者数が半々程度で、ユーザーごとのニーズが明確になってきている」(湯崎副社長)とした上で、「低速サービスの方が解約率が低くなっている」と述べた。なお、2005年6月末現在のADSLサービス提供地域は47都道府県1,049局舎。


集合住宅向け光ファイバサービスに加え、50M超のADSLも年内提供予定

アッカの3つの事業基盤

個人向けサービスの事業展開
 湯崎副社長からは引き続き、2005年から2007年にかけての中期経営戦略も説明された。同社は展開する3事業について、個人向けサービスを基幹事業、企業向けサービスを成長事業、マシン対マシンのM2M向けサービスを戦略的新事業とそれぞれ位置付けている。

 このうち個人向けサービスでは、従来から提供しているADSLサービスに加えて、USENのグループ会社「ユーズコミュニケーションズ(UCOM)」との提携による集合住宅向け光ファイバサービスの開始によって、安定収入を確保したい考え。

 集合住宅向け光ファイバサービスに関しては、詳細なサービス開始時はプロバイダー各社と調整後に発表されるが、2007年度までに10万件の加入者獲得、売上高で40億円を目指したいという。その上で、UCOM以外の事業者との提携も検討していく。一方、ADSLサービスでは、2004年に発表していた下り最大50Mbps超、上り最大10Mbpsの新サービスについて、技術検証が終了したことから「2005年内に投入したい」(湯崎副社長)という。

 企業向けサービスでは、ADSLに加えて光ファイバをアクセス回線に組み入れてサービス拡充を図るとともに、中小企業や地方企業への展開、広域イーサネット市場への浸透も進めていく。また、純増ベースを現在の年1万回線から、2007年に1万5,000回線に増加させ、新型WAN市場での累計シェアを7%程度から10%程度に引き上げたいとした。

 このほか、M2M市場に関して湯崎副社長は「回線事業だけで5,300億円以上、ソリューション事業を含めた市場規模は1兆4,000億円以上あると見込んでいる」と指摘。「M2M市場は膨大な潜在市場であり、少ない投資で高い限界利益が得られることから、1st Moverとしてポジションを確立していきたい」とした。

 これらを踏まえ同社では、2007年度の売上高を535億円、税引き前利益を70億円と計画。事業別の売り上げでは個人向けが332億円、企業向けが125億円、M2Mが75億円、その他事業で3億円の売り上げを確保したい考えだという。


企業向けサービスでの中期経営計画 M2M事業について

坂田社長「ADSLのアッカから新たなフェーズへと進めていく」

説明会では坂田社長が「ADSLのアッカ」の終わりを宣言。同社の方針を示した
 2007年以降の中長期経営ビジョンに関しては、同社の坂田好男代表取締役社長が説明があった。坂田社長は冒頭、「逆説的な表現だが“ADSLのアッカ”は終わる」と宣言。「これまでADSLを中心に当社は成長してきたが、今後は今まで以上の変化が訪れるブロードバンド市場において真のコミュニケーションサービスカンパニーとして、新たなフェイズへと当社を進めていく」とその理由を語った。

 具体的な施策としては、個人・企業・M2Mの各事業に対して付加サービスの展開を図る。加えて、「ブロードバンドを有効活用してもらうため、VoIPやVODサービス、IP放送への提案も行なっていく」とした。なお、個人ユーザーに対してはIPv6アクセス回線などの提供を進めていくという。

 坂田社長はまた、「通信業界には多大なチャンスの“波”が存在している」と指摘。個人向けサービスでは、すでにきた波としてADSLを、今きている波としてFTTHを挙げ、「これから来る波はモバイルとの融合だと考えており、特にFMC(Fixed Mobile Convergence)に関しては必ずやらなければならない」と述べた。

 ただし、携帯電話事業自体に関しては、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)方式を含めてオペレータとして展開するのではなく、「モデムなどでの対応といったサービス面での提供になる」(坂田社長)とした。

 このほか、技術や新規機能に関しては「積極的な提携による補充、拡充も進めていきたい」とコメント。その上で坂田社長は「これまで培ってきた事業基盤と、ネットワーク技術やオペレーション能力、機動力、中立性といった当社の強みを活かして成長し続けていきたい」と述べた。


通信業界における“波”について 個人市場の“波”に対する同社の対応

関連情報

URL
  平成17年12月期 中間決算短信 非連結(PDF)
  http://www.acca.ne.jp/ir/finance/tansin/tansin_1712_2q.pdf
  中間経営計画 2005-2007 および中長期経営ビジョンに関するお知らせ(PDF)
  http://www.acca.ne.jp/ir/info/050809.pdf

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( 村松健至 )
2005/08/09 19:48

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