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2006年度のICT政策大綱、ボットネットなどセキュリティ問題解決に意欲


 総務省は30日、「平成18年度ICT政策大綱」を公開した。ICT(Information and Communication Technology)技術で2010年までに世界最先端のフロントランナーを目指す中期ビジョン「u-Japan政策」の目標達成のために、2006年度に取り組む政策をまとめている。

 u-Japan政策とは、2005年で終了する「e-Japan戦略」を受けてとりまとめられた政策パッケージ。e-Japan戦略で整備されたブロードバンドインフラや「e-Japan戦略II」で示されたIT分野の先進的利活用などをそれぞれ「ブロードバンドからユビキタスへ」「情報化促進から課題解決へ」という方向性で発展させるとともに、セキュリティにも配慮する「利用環境整備の抜本強化」を目指す。

 公開されたICT政策大綱では、ユビキタスネットワーク整備としてブロードバンド完全未提供の自治体が全国で203市町村存在することから、ブロードバンド基盤整備に係わる支援措置の拡充を明記。地域ICT基盤整備と利活用を支援する資金も交付するという。

 また、電話サービスを含む多用なサービスをIPネットワーク上で実現するために、相互接続の実証実験を実施。IP化進展に伴う接続ルールの改正なども推進する。ワイヤレスブロードバンド環境実現のための研究開発にも言及したほか、携帯電話の番号ポータビリティについても一般向けのポスターやパンフレットを利用して円滑な導入を進める。

 ICT利活用の高度化に関しては、電子行政のオンライン申請は整備されつつあるが、実際の利用状況は向上の余地があると指摘し、今後も電子政府・電子自治体を推進する。また、新潟県中越地震などで災害情報の収集や伝達に不備があったとし、ヘリコプター衛星通信システムなどの実用化や防災行政無線・消防救急無線のデジタル化を進める。コンテンツについては、二次利用のマルチユース市場が2兆円規模に拡大していると分析。インターネット上で高い自由度や利便性を保ちながら適切な権利保護も実現するマルチユースコンテンツ利用連携技術を、官民協力のもと研究開発する方針を示した。

 u-Japan政策では「サイバーテロ等の被害をゼロにする高信頼の実現」を謳っているが、2004年におけるセキュリティ被害額は上場企業で8億6,000万円規模だったと推計。ウイルスや不正アクセスへの対処や暗号技術、eコマースの安全性確保に資する技術の研究開発を実施するという。

 また、トロイの木馬型ウイルスなどに感染したPCが一斉に迷惑メールの送信などを行なう「ボットネット」問題も明記。DDoS攻撃や不正侵入、個人情報漏洩などの脅威に対応すべく電気通信事業者や通信機器メーカー、情報家電メーカーなどの参画を得て、サイバー攻撃対応演習を実施するほか、電気通信事業者を対象としたセキュリティリスクマネジメント基準を策定する。さらに、国民に対しても総務省のサイトに「総務省 国民のための情報セキュリティサイト」を開設し、一般向けの知識や対策方法を周知・啓発する。

 ICT政策大綱ではこのほか、アジア全体におけるブロードバンド環境整備の推進などを示した国際戦略や、ユビキタスネット社会(UNS)戦略プログラムに基づくICT研究開発プロジェクトなどの技術戦略を掲載した。


関連情報

URL
  2006年度ICT政策大綱骨子(PDF)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050830_1_1.pdf
  2006年度ICT政策大綱本文(PDF)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050830_1_2.pdf

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( 鷹木 創 )
2005/08/30 17:23

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