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ユニバーサル基金の補填対象回線が4.9%では少ない~NTT東西が意見提出


 総務省は2日、「ユニバーサルサービス基金制度の在り方」の答申案について情報通信審議会が募集していたパブリックコメントの結果を発表した。通信事業者などから26件の意見が寄せられた。

 ユニバーサルサービス基金制度は、加入電話、公衆電話、緊急通報などの基礎的な通信サービスについて、全国均一のサービスを維持していくために2002年6月に導入された。こうしたユニバーサルサービスの提供がNTT東西に義務付けられている一方で、各通信事業者が基金に費用を出し合い、ユニバーサルサービスの維持コストに充当する仕組みだ。

 総務省では2004年11月、ユニバーサルサービスの範囲やコスト算定方式の見直しを含めた基金制度の在り方について情報通信審議会に諮問。これを受けて審議会では2005年7月、1)基金による補填の対象は従来と同様に固定電話のみとする、2)サービスの提供コストが高額な地域を「高コスト地域」に設定し、高コスト地域における全国平均費用を超える額を補填の対象とする、3)見直し後の基金制度の適用期間は2005年度から2007年度までの3年間とする──などの内容を答申案をとりまた。

 なお、答申案では「高コスト地域」を特定するにあたり、「上位4.9%の高コスト加入者回線については、そのコストゆえに他の事業者が参入しない地域にあると考えられ、当該地域のサービス提供を維持するためには、基金による補填が必要」としている。


 提出したパブリックコメントでNTT東日本は、実効性が期待できなかった従来の制度が、答申案にあるように見直されることにより、高コスト地域の赤字分について基金の発動が見込まれるとして評価している。従来の制度では、不採算地域の赤字と採算地域の黒字を相殺した上でまかない切れない分を補填する「相殺型」だったため、2003年までに基金が発動することはなかった。

 その一方で、補填対象として示された4.9%という数値について、米国やフランスの対象地域(約10%)や、過疎地域自律促進特別措置法の対象地域(7.3%)と比べて狭いと指摘。また、少なくとも全国平均コストを上回る高コスト地域(約25%)をすべて補填対象とする必要があり、4.9%だけでは、それ以外の高コスト地域でユニバーサルサービスの維持は困難だとしている。NTT西日本でも、同様に「補填対象地域をもっと広く捉えるべき」としている。

 このほか、ソフトバンクBBと日本テレコムは連名で、補填対象となるサービスについて「国民生活に最低限必要なものに限定すべき」「移動体通信やブロードバンドの普及、デジタルデバイドの解消については、ユニバーサルサービス基金とは別個の振興政策として行なうべき」と述べる一方で、「技術中立性の観点からは、サービスの要件のみを規定すべきであり、サービスを提供するための技術は特定すべきではない」と指摘。現時点では固定電話が対象になっているものの、今後は無線技術やIP技術の進展によって固定電話よりも効率的なサービスが可能な場合も想定されるとして、ユニバーサルサービスを「場所固定、現状のアナログ加入者電話相当の品質・料金水準」などの要件を満たすものとして捉え、「要件の範囲内で他の技術を用いる余地を残すべき」と主張している。

 情報通信審議会では今後、寄せられた意見を踏まえて審議を行ない、ユニバーサルサービス基金制度の在り方について総務大臣に答申する。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050902_4.html

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( 永沢 茂 )
2005/09/02 19:10

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