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ソニー、Windows搭載PCで映像を視聴できる「ロケーションフリー」新製品


PC右横にあるのが「LF-PK1」と専用ソフト「LFA-PC2」
 ソニーは、外出先や海外からテレビ放送などをネットワーク経由で視聴可能な「ロケーションフリー」の新製品として、PCと組み合わせて利用できる「ロケーションフリーベースステーションパック LF-PK1」と専用ソフトウェア「ロケーションフリープレイヤーPC用 LFA-PC2」を10月1日に発売する。オープンプライスで、店頭実売価格はLF-PK1が33,000円前後、LFA-PC2が2,000円前後。

 「ロケーションフリーベースステーションパック LF-PK1」は、IEEE 802.11a/b/g準拠の無線LANアクセスポイント機能を搭載した製品。LF-PK1とWindows XP/2000専用ソフトウェア「ロケーションフリープレイヤーPC用 LFA-PC2」をインストールしたPCとを組み合わせることで、LF-PK1が受信した地上アナログ放送や本体に接続するDVDレコーダなどのAV機器の映像をネットワーク経由で視聴できる「NetAV」機能を搭載する。なお、LF-PK1にはLFA-PC2の30日間試用版が同梱される。


LF-PK1前面 LF-PK1背面

発表会場では米国内で機器認証されたLF-PK1とLFA-PC2の接続デモも LFA-PC2ではテレビやビデオ、リモコンの設定が行なえる

ネットワーク設定を容易にする「かんたん設定」機能を搭載
 LF-PK1に登録可能なPC台数は最大4台までで、LF-PK1とLFA-PC2の接続は1台まで。また、LF-PK1をUPnP対応ルータに接続している場合には、PC画面上に表示される画面案内に従ってマウス操作により設定が完了する「かんたんセットアップ」機能が利用できる。

 かんたんセットアップでのLF-PK1とLFA-PC2の機器認証は、LF-PK1背面にある「SETUP MODE」を押し、前面の「SETUP MODE」LEDが点滅中に、LFA-PC2の設定ボタンを押すことで認証が完了。LFA-PC2からLF-PK1への接続は、ソフトウェアを立ち上げ後、ダイナミックDNSとNetAVの設定が3クリックで完了するという。なお、LFA-PC2は複数台のLF-PK1と機器認証が可能で、接続時に任意のLF-PK1を接続先として選択できるほか、機器認証は無線LAN、有線LAN問わず設定が可能だという。

 また、UPnP非対応ルータ接続時に利用する詳細設定モードでは、LFA-PC2と「ロケーションフリーテレビ LF-X5」の接続設定も行なえる。これにより、LFA-PC2上でLF-X5のベースステーションからの映像を視聴できる。

 映像フォーマットは、従来のロケーションフリーテレビと同様にMPEG-4形式を採用し、映像は独自の暗号化処理が施されて配信される。また、NetAV機能利用時の配信帯域は、ネットワーク回線に応じて最適なビットレートを検出、映像が途切れないよう自動調整する「ネットワーク適応型VBR機能」により、外出先や海外のブロードバンド回線や無線LANスポットの通信状況に合わせて最大2Mbpsの帯域から選択できる。

 このほか、AVマウスを利用した「画面リモコン」も用意し、ソニー製をはじめとしたビデオ機器や衛星チューナー、AVアンテナ、AVアンプも外出先から操作できる。加えて、早送りや巻き戻しといった再生操作、録画予約も一部機器を除き可能だとしている。なお、電源が投入されていないLF-PK1への外出先からの接続はできない。


ベースステーション設定ログイン画面 設定は「かんたん設定」と「詳細設定」の2モードを用意 かんたん設定画面

詳細設定画面 LFA-PC2は複数のLF-PK1と機器認証が行なえる LF-PK1側面にはWEPキーやログインパスワードなどを記載

飛行機でもテレビ視聴が可能な環境を実現するロケーションフリー

ロケーションフリーワールドの製品展開。今後は2005年度内に2製品、それ以降もさらに2製品を投入したい考え
 5日に開催された発表会では、コーポレート・エグゼクティブ SVPの西谷清氏、HENC ビデオ事業本部 LFX事業室長の前田悟氏から製品コンセプトとロケーションフリーの今後の展開について説明が行なわれた。

 LFX事業室長の前田氏は、LF-PK1とLFA-PC2について「TVチューナーを搭載しないPCで、これだけのことができる製品である」と説明するとともに、「ソフトウェアベースの製品なので、TVチューナー搭載PCと比較して消費電力面での長所もある」とした。同社は同様の製品を米国でも提供しているが、前田氏は「米国ではLF-X5やLF-X1のユーザー向けにテストマーケティング的に提供していたものであり、今回の製品を持って本格投入していく」と述べた。

 同氏はまた、製品カテゴリの持論として「LPからCDへと移行したように、今までの商品をリプレイスするカテゴリ」と、「ウォークマンが新しいカテゴリを作ったように、既存のカテゴリと併存していくカテゴリの2種類がある」と考えているという。

 その上で同氏は、ロケーションフリーは後者のカテゴリであるとし、「ロケーションフリーワールドという新しいライフスタイルを持ったカテゴリを創造していきたい」とした。さらに今後の展開に関しては「2005年度内に2製品を追加投入し、その後も2製品を投入する考えである」と語った。なお、新製品の具体的な言及は避けたが、「技術的には携帯電話などの端末からも利用が可能なのではないか」と述べた。

 またロケーションフリーについて同氏は「地球上どこにいても、自宅のある環境にワープする形で映像を視聴することができる」とコメント。米 Boeingの航空機向けインターネット接続サービス「Connexion by Boeing」の利用に関しても、「飛行機と地上間の通信は150~200kbps程度と聞いているが、そうした環境でもニュースやドラマといったLF- PK1からの映像が視聴できる」と語り、「できなかったことをできるようにするのがロケーションフリーの価値である」とした。

 なお、他地域や海外などで特定地域のテレビ視聴が可能になる点に関しては、「テレビ放送を受信して区域外に配信していくのであれば区域外再送信にあたる」とした上で、「本製品はテレビを受信している人が機器認証や圧縮、暗号化を経て、自宅の環境を外出先で提供するものであり放送にはあたらない」とコメントした。


ソニー 西谷氏 前田氏

 コーポレート・エグゼクティブ SVPの西谷氏は、「ストリーミング技術の中でも映像の伝送は、映像や音声が途切れると見苦しいものがある」と指摘し、「今回の製品ではライブストリーミングという新しい技術を搭載した」と述べた。西谷氏は「同技術のコンセプト自体は、すでに死語になりつつあるがユビキタスと同じ“いつでもどこでも映像や音楽が楽しめる”ことであり、今後はライブストリーミング技術という名称を広めていきたい」と語った。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200509/05-0905/
  関連記事:外出先から自宅のテレビが見られる「ロケーションフリーテレビ」[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/8355.html
  関連記事:「TV以外の家電も視野に」So-netのテレビとインターネットの融合戦略[Broadband Watch]
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/special/9727.html

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( 村松健至 )
2005/09/05 18:42

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