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セキュリティエコシステムでボットネット被害を防ぐ〜Microsoft副社長

スパイウェア対策ソフトの正式版はWindows Vistaと同時リリース

「Trustworthy Computing」の最高責任者であるスコット・チャーニー氏
 27日、Microsoftが進める「Trustworthy Computing」の最高責任者であるスコット・チャーニー氏(米Microsoftのコーポレートバイスプレジデント)が来日し、次期OS「Windows Vista」のセキュリティ機能や、Microsoftが取り組んでいるセキュリティ事業について語った。

 Windows Vistaでは、セキュリティチップ「TPM(Trusted Platform Module)」に対応した。「例えば、社員の誰かがノートPCを紛失した場合、他社の誰かがそのノートPCを使用することはできない」(チャーニー氏)。また、「Windows Vista Enterprise Edition」のみではあるが、HDD全体を暗号化する「Full Volume Encryption」機能を実装。これらの機能で情報漏洩などを防ぐことができる。さらに、ソフトウェアによって提供される各種サービスの特権をなくし、特定のサービスと機能をペアリングして、機能とサービスを1対1で結び付けたという。

 また、Windows Vistaにウイルス駆除機能はデフォルトでは実装しないという。これは「欧州連合によって禁じられていることが主な理由」で、現在と同様にMicrosoft Updateなどにアクセスして「悪意のあるソフトウェアの削除ツール」(以下、ウイルス駆除ツール)を利用する形態になる予定だ。


ユーザーIDやパスワードの悪用は簡単になる一方、犯人逮捕は困難に

 チャーニー氏は「セキュリティを自社製品だけのセキュリティということではなく“セキュリティエコシステム”として取り組んでいきたい」という。Microsoftでは、比較的早期にボットネットを発見しており、政府機関などに情報提供している。特に各国の警察組織では、ボットネットの指揮系統がわからなかったという。その時にボットネットに関するカンファレンスを開催し、情報提供の機会を設けたのがMicrosoftだった。

 「ボットネットの問題は2つの側面がある。実際の物理的なマシン上のボットネットがどこにあるのかということが1つ。次に、そのボットネットを指揮するコマンドチャネルがどこにあるのかということだ。マシン上のボットネットの大きさはブロードバンドの普及率に比例する。韓国などで目立つが、各国とも被害低減のための施策を考えている。」

 ただし、「犯罪行為は減らすことはできるが、根絶させることは不可能。世界的に見て日本は犯罪が少ないが、犯罪は存在し続ける。インターネットの世界は犯罪が起こりやすい場所になってしまった」と指摘する。「全世界的なコネクティビティ」「匿名性」「トレーサビリティの欠落」など、インターネットの“弱点”を列挙し、「ユーザーIDやパスワードの悪用はどんどん簡単になっているが、犯人を捕まえるのは難しくなっている」という。


セキュリティ市場に参入したMicrosoftとセキュリティベンダーの関係は!?

 10月の月例パッチ提供にあわせてMicrosoftの「ウイルス駆除ツール」がAntinnyに対応した。Antinnyは日本特有のウイルスで、Microsoft製品以外のユーザーをターゲットにするウイルスに対応するのは異例だったが、「どこの国や地域であってもユーザーを守るのがMicrosoftの責務だ」。特定の国や地域にしか存在しない悪意のあるソフトウェアであっても、ウイルス削除ツールに追加していくとの立場を表明した。

 Microsoftでは、このほかベータ版ながらスパイウェア対策ソフト「Windows AntiSpyware」も提供しており、セキュリティ市場に参入を果たしている。こうした動きに対して、これまで同社と協調関係を続けてきたセキュリティベンダーから反発もあるのではないか。

 この状況にチャーニー氏は「コアペティション」と一言。チャーニー氏によれば、コアペティションとは「Cooperation(コーポレーション、協力)」と「Competition(コンペティション、競争)」を合体させた造語だ。

 つまり、Microsoftが情報を提供して、セキュリティベンダーがウイルス定義ファイルを更新していることを指して「協力」という一方、Microsoftもウイルス対策ソフト事業に進出したことについては「競争」だというのだ。微妙な表現ではあるが「それでもベンダーとは今後も協調関係を続ける」とし、「両者が協業することによって両者とも勝者になる。ウイルス対策ソフトは多くのユーザーがまだ利用していない実態があり、まだまだ受け入れられるはずだ」と述べた。

 なお、現在ベータ提供しているスパイウェア対策ソフト「Windows AntiSpyware」については、2006年に発売されるWindows Vistaと同時に日本国内向けを含めて正式提供する予定。このほか、PC状態管理サービスの家庭向け「Windows OneCare」と法人向け「Windows Client Protection」の正式版についても開発を進めているが、「必ずしもWindows Vistaの開発と同じタイムラインではない」とコメントした。


関連情報

URL
  マイクロソフト
  http://www.microsoft.com/japan/
  マイクロソフト役員略歴
  http://www.microsoft.com/japan/mscorp/innovation/twc/issues/scott_charney_bio.asp
  信頼できるコンピューティング
  http://www.microsoft.com/japan/mscorp/innovation/twc/

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( 鷹木 創 )
2005/10/27 20:13

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