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米Google、携帯電話の通信方式に関する特許を取得


 米Googleが携帯電話に関する技術開発を行なっている可能性が出てきた。米特許商標庁が1月3日付で、Googleに対して携帯電話の通信方式に関連する特許を授与したことが明らかになった。

 この特許は、米国特許第6,982,945号の「Baseband direct sequence spread spectrum transceiver」と題するもの。携帯電話の通信方式を扱っており、2001年1月26日に出願されている。

 携帯電話の世界ではGSM、TDMA、CDMAなど複数の通信方式が使用されてきたが、最近ではCDMAから派生した規格が多く使用されている。それはCDMAでは高音質の通話ができることや、同じ周波数を複数の携帯電話で同時利用できること、デジタルデータを扱う場合に高速通信ができることなどのメリットがあるからだ。

 CDMAでは複数の音声信号にそれぞれ符号を付け、すべての音声信号を混ぜ合わせた状態で1つの周波数で送信する。後で符号を手がかりに元の音声信号を復元することにより、目的の音声信号のみを取り出すことができる。

 一方、一般的にベースバンドと呼ばれる0MHzから始まる低い周波数帯の信号を使用した「ベースバンド伝送」では、音声などの信号を直接電圧の高低などに置き換えて元の周波数帯のまま伝送する。回路は簡単になるが、CDMAのように同じ周波数帯を共有できないなどのデメリットもある。

 その上、ベースバンドを送受信するための十分に長いアンテナを設計することは理論的に不可能だ。なぜなら、アンテナの長さは送信される波長に比例していなければならないという理論が存在するからだ。そのため通常の無線通信では信号を伝送波に乗せることが一般的であり、スペクトラム拡散CDMAシステムでも伝送波を使用している。しかし、この制約のために複数の変調を行なわなくてはならず、回路の複雑さとコストの上昇を招いている。

 Googleが取得した特許では、スペクトラム拡散CDMAトランシーバーにおいて伝送波を使わず、直接ベースバンド伝送する方式を採用している。回路を大幅に簡易化することができるだけでなく、同じアンテナをベースバンド信号の送受信双方に使用できるというメリットもある。このベースバンドダイレクトシークエンススペクトラム拡散CDMAトランシーバーは「商用携帯電話」や「P2P通信」に使用できるとGoogleは解説している。

 Googleは創立以来15件の特許を取得しているが、いずれもサーチエンジンに関連する検索技術か、サーバーの冷却技術など本業のサーチエンジンと密接に関連する特許ばかりだった。今回の特許は無線ブロードバンドと若干の関連性を認められるものの、現時点ではGoogleの本業とは程遠いと言わざるを得ない。

 この特許の真意について同社に問い合わせたが、5日時点でコメントは得られていない。同社が将来こうした技術を外部にライセンスして新たな収入源とする計画があるのか、または本格的に携帯電話事業に参入する計画があるのかなど、今後の同社の動向にますます注目が集まりそうだ。


関連情報

URL
  米国特許第6,982,945号(英文)
  http://patft.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=
HITOFF&p=1&u=/netahtml/search-bool.html&r=1&f=G&l=50&co1=
AND&d=ptxt&s1=Google.ASNM.&OS=AN/Google&RS=AN/Google

  関連記事:米Googleが初特許を取得、ランキング手法の一端が明らかに
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0303/pategoo.htm


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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/01/05 13:18

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