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Six Apart創業者のトロット夫妻が来日、トラックバックの標準化目指す


 シックス・アパートは1日、米Six Apartの創業者であるベン・トロットとミナ・トロットを迎えたラウンドテーブルを開催した。ラウンドテーブルではSix Apartが現在取り組んでいる「Project Comet(プロジェクト・コメット)」の概要や、スパムトラックバックに対する取り組みなどが語られた。


コードネーム「Project Comet」でライフレコードを実現

共同創業者兼社長のミナ・トロット

共同創業者兼CTOのベン・トロット
 Six Apart共同創業者兼社長のミナ・トロットは、米国におけるブログのトレンドについて説明。「ブログと言うと何千人、何万人にリーチできるという印象があるが、多くのブログはジャーナリストでもなければ大衆に何かを発信したいわけではない。友達や家族、同じ興味を持った人たちという、自分の周りの小さなグループに発信したいだけ」と語ったミナは、Six Apartが今後目指す方向性を表現する“Blogging for Small Group”とのコンセプトを示した。

 ミナ・トロットによれば、日本と米国ではブログの広がり方に違いがあるという。「米国では大衆に向けて発信していったブログが小さなグループへ変化しつつあるが、日本では逆に小さなグループが大きくなっているようだ」との感想を述べたミナは、その一因が「日本の日記文化にあるのではないか」との考えを示した。

 9.11事件をきっかけに普及したという背景を持つ米国のブログはジャーナリズム的な印象が持たれがちだが、ミナ・トロットによれば「実際にはそれほどジャーナリスティックな使われ方が多いわけではない」という。1,000万近いユーザーを抱えるLivejournalでは、70%近くが20代以下であり、ユーザーのほとんどが女性であるというデータを踏まえ、ミナ・トロットは「ブログの数としては個人的なものがほとんど」との考えを示しつつ、「メディアがブログをジャーナリズム的に捉えがちであることや、そうしたジャーナリズム的なブログは読者が多いことからそう見えるのではないか」とした。

 “Blogging for Small Group”を実現するためにSix Apartが現在取り組んでいるのが、コードネーム「Project Comet」と呼ばれるプロジェクト。Six Apart共同創業者兼CTOのベン・トロットによれば、Project CommetはLiveJournalとTypePadを組み合わせたものになるという。音楽などさまざまなマルチメディアファイルをアップロードできるリッチメディアとしてのTypePadと、LiveJournalの持つプライバシーコントロール機能を組み合わせることで、少人数でのブログによるコミュニケーションの活性化を図るとした。

 Project Cometの具体的なリリース日程などは現在のところ決まっていないものの、近々外部団体とのテストを実施する予定だという。「日本版のProject Cometも追って導入されるだろう」(ベン・トロット)。ミナ・トロットはProject Cometの目指すべき道として「人生を記録するライフレコード」との考えを示し、「オーディオや写真を記録しておくことは今は重要ではないかもしれないが、5年後、10年後先には重要な記録になるだろう」とした。


スパム対策を踏まえたトラックバックの標準化を図る

前日には企業向けの「Movable Type Enterprise」を日本で先行リリース。「日本での企業ユース拡大には非常に感動している」という
 ベン・トロットは、Six Apartの技術的な取り組みを中心に説明。1つがATOMプロトコルへの対応で、「RSSの後継として生まれたATOMが非常に発展している」としたベン・トロットは、「パブリッシングプロトコルとしてブログや写真の更新などさまざまなところで採用されており、大企業もATOMのスペック作成に関わっている」との状況を語った。

 Six ApartがMovable Typeに実装し、今では多くのブログで採用されているトラックバックに関しても、IETFと連携し、トラックバックを標準化することを考えているという。ブログの普及によって問題化しはじめたスパムトラックバックへの対策を中心に、さまざまな企業の技術者と連携をとりながら標準化を進めていく方針だ。

 具体的にはスパムトラックバックの送信サイト特定やブラックリスト、ホワイトリストというような機能をトラックバックに実装する予定。ベン・トロットは「スパムトラックバックの防止は非常にバランスが難しく、以前のトラックバックとも互換性を保持しなければいけない」との課題を示した上で、「ワーキンググループを始めて1週間程度だが、非常に多くの意見をいただいている。多くの人や企業が標準化に参加することで解決できるのではないか」との考えを示した。

 一方「技術だけでスパムトラックバックに対策できるとは考えてない」と述べたベンは、トラックバックスパムに関する啓蒙活動も必要だとの考えを披露。企業だけではなく、日本と海外など国を超えた連携も含めてそうした活動が重要になるとした。

 スパム対策以外にトラックバックの機能拡充も行なっていく方針。ミナ・トロットは「トラックバックはどちらかというと一般大衆向けの情報配信が適切であり、小さなグループのコミュニケーションでは必ずしも必要ない。Livejournalのようにトラックバックのないコミュニケーションも生まれている」とした上で、「トラックバックは必ずしも必要ではないが、例えば自分の個人的なネットワークにだけ送れるトラックバックなどがあればいいのではないか」との考えを示した。


関連情報

URL
  シックス・アパート
  http://www.sixapart.jp/
  Project Comet(英文)
  http://www.sixapart.com/comet/

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Six Apart創業者らが来日「トラックバックの機能拡張に積極的に取り組む」(2005/02/03)


( 甲斐祐樹 )
2006/03/01 21:13

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