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イー・アクセス、モバイル事業でエリクソンが主要サプライヤーに決定


 イー・アクセスは13日、子会社イー・モバイルが準備中のブロードバンドモバイル事業において、エリクソンを商用ネットワークの主要サプライヤーに決定したと発表した。


全国のコアネットワークと東名阪の無線ネットワークでエリクソンを採用

発表会の出席者。左からイー・アクセスの種野晴夫代表取締役社長兼COO、千本倖生代表取締役会長兼CEO、エリクソンのカール・ヘンリック・スヴァンベリ代表取締役社長兼CEO、日本エリクソンのローリー・バックレイ代表取締役社長
 エリクソンが担当するネットワークは、日本全国をカバーするコアネットワークと、イー・モバイルが2007年3月のサービス開始を予定する関東・中部・関西地域の無線ネットワーク。関東・中部・関西以外の無線ネットワークに関してはエリクソンも含めて現在検討中だという。

 イー・アクセスでは、エリクソンが世界各国で導入実績を持つ移動体通信網システムサプレイヤーであり、日本でも20年以上に渡って事業展開とサポート体制の経験を持っている点が主要サプライヤー決定の決め手と説明。また、HSDPA/USUPAの導入など高速データ通信技術の開発や標準化活動への取り組みも決め手になったとした。

 今回エリクソンが採用されたのはネットワークの主要サプライヤーとしてであり、サービス用の端末に関しては国内外のメーカーを対象に検討を進めている段階。メーカーの名前は明らかにされていないが、「ネットワークをエリクソンが手がける以上、端末としてもソニー・エリクソンの親和性が高いことは明らか」(千本倖生代表取締役会長兼CEO)であり、ソニー・エリクソンを端末メーカーの候補の1つとして検討を進めていることを明らかにした。

 モバイル事業のサービス展開予定は従来方針と変わらず、2007年3月に東名阪でデータ通信サービスを、約1年後の2008年2月に音声サービスを開始。その後2~3年かけてエリアを拡充、サービスを全国展開していく。そのための資金調達も現在は順調に進んでおり、「東京都心での基地局建設も先行して着手する予定」(種野晴夫代表取締役社長兼COO)という。


イー・モバイルのネットワーク構成 エリクソン選定の理由

モバイル事業の進捗状況 今後のスケジュール

「モバイル事業の健全な競争のためにはNTTドコモ分割も」と千本氏

イー・アクセスの千本倖生代表取締役会長兼CEO
 イー・アクセスの千本倖生代表取締役会長兼CEOは、「我々が事業を起こしたADSLで固定のブロードバンドが大きく進化したように、モバイルの世界でも世界で最も早くて安い、消費者の観点に立ったサービスを提供していきたい」とコメント。ネットワークのコア技術に加え、ソニー・エリクソンという端末メーカーも所有するエリクソンは、「イー・モバイルを設備面から支える主要なパートナーだ」と評した。

 東名阪以外の無線ネットワークも含めて、エリクソン以外をサプライヤーとして採用するかは現在のところ未定。千本氏は「(エリクソンを含めて)少なくとも1以上のベンダー」を採用するとの考えを示した上で、「あまりサプライヤーが多くても難しいだろう」と付け加えた。

 ソフトバンクがボーダフォン買収と報じられた件に関して千本氏は「新聞で知った程度だが」と前置いた上で、「何兆円ともいう日本最大規模のM&Aを、リスクを取った上でやれるのは孫さんだけだろう。そういう点では大変尊敬しているし、大きな意味では頑張って欲しい」とコメント。一方、イー・モバイルと同様に割り当てられた1.7GHz帯に関しては「ボーダフォンを仮に買収した場合、もはやソフトバンクは既存事業者であり、2GHz帯という膨大な周波数も手に入れることになる」と指摘。「最終的には総務省が決めることだが、新規参入を奨励するという1.7GHz帯開放の趣旨を踏まえて総務省に検討していただきたい」との考えを示した。

 また、「海外に比べて日本はNTTドコモが56%ものシェアを1社で持っている異常な事態」と指摘した千本氏は「海外では携帯電話事業者が20~30%のシェアで健全な競争を行なっている」とコメント。「日本ではNTTドコモだけが最初から全国展開しており、他のキャリアはエリアが分けられているなどハンデがあったため、NTTドコモの独走を許してしまった」という種野氏のコメントを受け、「1社で56%のシェアを持ち、年間1兆円もの利益を得ていることが独占禁止法上問題にならないことがおかしい。健全な競争のためにはNTTドコモを分割するというのも1つの考えではないか」と指摘した。


HSUPAも積極的に採用。WiMAXは「補完的な役割」との位置付け

エリクソンのカール・ヘンリック・スヴァンベリ代表取締役社長兼CEO
 エリクソンのカール・ヘンリック・スヴァンベリ代表取締役社長兼CEOは今回のパートナー関係について「ユニークかつ新しいネットワークを最初から構築するチャンスという点で魅力を感じている」とコメント。「エリクソンは日本の外資系3Gサプライヤーで最大手の存在であり、ソニー・エリクソンという端末も持っている。世界のどの国よりも勉強になる日本というマーケットで、世界的に評価の高いソニーの名を資することもできたこのソニー・エリクソンを誇りに思っている」とコメントした。

 WiMAXに関しては「WiMAXフォーラムにも参加しているし、特許や装置も持っている」と取り組みの姿勢を見せた上で、「毎年8億台の携帯電話端末が作られている中で、今からハンドセットをWiMAXで調達するのは難しいのではないか」とコメント。「ビルやオフィス内、固定ネットワークのオペレーターにとってはある程度のモビリティが実現できるだろう。携帯電話にとっては補完的な役割になるのでは」との考えを示した。

 イー・モバイルが採用を表明しているHSDPAは下り速度の高速化を中心とした技術だが、上り速度を高速化するHSUPAに関しても「上りも下りも高速でなければ真のブロードバンドではない。開発が進めば早期に導入したい(種野氏)」と積極的に採用する方針。スヴァンベリ氏も「1.5MbpsのHSUPAデモは実現済み。詳細は語れないが、そう遠くない将来には提供できるだろう」との考えを示した。


関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.eaccess.net/cgi-bin/press.cgi?id=397

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( 甲斐祐樹 )
2006/03/13 18:45

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