ヤフーは28日、Yahoo! JAPANのサービス開始10周年を記念して、米Yahoo!の創業者で取締役のJerry Yang氏を招き、説明会を開催した。Yang氏はYahoo!のこれまでの10年と今後の10年について語った。
● 成功に必要なのはコンピュータの技術ではなくソーシャルテクノロジー
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米Yahoo!の創業者兼取締役のJerry Yang氏
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Yang氏は、「Yahoo!にとって一番重要なミッションは、消費者と企業の両方に必要不可欠なインターネットサービスになること」だとして、この点は創業当時から変わっていないと強調。一方で、インターネットサービスの分野では「Web 2.0」と呼ばれる変化がここ数年の間に大きな流れとなってきており、Yahoo!もWeb 2.0の時代に対応できるように生まれ変わろうと努力を続けているとした。
Yang氏はWeb 2.0を「オープンであり、コミュニティが駆動力となるもの、人々の発見・利用・共有・拡大を助け、サービスを通じて人々をつないでいくもの」と定義。オープンなサービスを通じて、コンテンツの作成者や広告主、顧客、消費者がすべて繋がれるようなオープンなメディアを生み出していきたいとした。
これまでの10年間については「Webはまるで『The Web』という1つの大きな塊であるかのように捉えられてきた」と振り返り、これが現在ではWebのパーソナル化により「My Web」に変化してきたと指摘。さらにソーシャル化が進むことで、「Our Web」と呼べる存在になっていくと予測した。
Yang氏は、「10年前に我々がYahoo!を立ち上げた時には、どのハードウェアのコア技術がYahoo!にとって重要なのかとよく聞かれた。この問いに対する答は今でも変わらない。インターネットサービスを成功させるために重要なのは、コンピュータの技術ではなくソーシャルテクノロジーだ。これはWeb 2.0でも重要な点で、つまり人が中心だということ」とコメント。こうした前提に立ってYahoo!が進めているサービスとして、Yahoo!の各種サービスを統合した「Yahoo! 360°」や、買収した「del.icio.us」や「Flickr」などを紹介した。
また、Webブラウザ以外のサービスにも注目しているとして、デスクトップアプリケーションを提供する「Yahoo! Widgets」を紹介。携帯電話などのモバイル端末向けサービスや、テレビの画面を対象としたサービスの開発にも取り組み、PC、モバイル端末、テレビの3つの画面に対してサービスを提供する「three-screen strategy」を将来的な戦略として考えていると説明した。
● これからの10年は量より質を高めていきたい
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ヤフーの井上雅博代表取締役社長
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続いて登壇したヤフーの井上雅博代表取締役社長は、Yahoo! JAPANの今後の方向性について説明。3月17日に発表したヤフーの組織再編で新設した「ソーシャルネット事業部」「モバイル事業部」「地域サービス事業部」がこれからヤフーとして注力していく分野になると述べた。
ソーシャルネット事業部では、インターネットの利用者が今後は積極的に情報の発信者になるという変化を捉え、米国のdel.icio.usやFlickr、Yahoo! 360°のようなサービスを展開していくと説明。同様に、地域サービス事業部ではいわゆるローカルサーチの分野を展開していくとした。
モバイル事業部については、「ソフトバンクがボーダフォンを買収したから事業部を作ったわけではない」としながら、携帯電話のパケット定額サービスによりYahoo!モバイルへのアクセス数は劇的に増えていることから、この分野にもフォーカスしていきたいと語った。
井上氏は、「これまでの10年は利用者の拡大、量の拡大という10年だった。しかし、既に日本の人口の半分ぐらいまでにインターネットの利用者は増えており、そういう意味では日本ではあと2倍までしか量は増えない。これからの10年は、量ではなく質を高めていきたい」とコメントした。
質疑応答では、ソフトバンクのボーダフォン買収にヤフーも加わっていることについてどう思うかという質問に対して、Yang氏は「Yahoo!の戦略として、PC・携帯電話・テレビから各種サービスをシームレスに利用できる『Yahoo! Go』を発表しており、携帯電話のキャリアや端末機器メーカーとも協力している。モバイルの技術は革新を続けており、日本での今回の買収も非常に大きな機会と考えている」と説明した。
Yahoo! JAPANが大きな会社となった理由については「強力なパートナー、経営陣、従業員に恵まれたこと。早い段階で日本市場にコミットしたこと」が大きいのではないかと感想を述べた。
● 10周年記念事業として「Yahoo!基金」の創設などを発表
また、Yahoo! JAPANの10周年記念事業として、シニア層向けサービス「Yahoo!セカンドライフ」の提供、インターネットの健全な発展と災害時の緊急支援を目的とした「Yahoo!基金」の創設、研究機関「Yahoo!ラボ(仮称)」の設立を発表。それぞれを2006年度中に開始するとした。
Yahoo!セカンドライフは、いわゆる団塊の世代が定年退職を迎えることから、シニア層に向けてどのようなサービスが展開できるかを検討し、ライフスタイルをテーマにしたサービスの充実を目指すという。
Yahoo!基金については、ヤフーではこれまでも災害速報の提供など災害発生時に協力を行なってきたが、より具体的な支援の形として基金を創設し、災害発生時に緊急資金援助を行なえるようにするとしている。基金は一般からの募金とヤフーが同額を拠出し、災害時の資金支援のほか、インターネット社会の健全で安全な発展に寄与するNPOへの資金助成を行なうとしている。研究機関については、インターネットの技術研究開発を行なう機関と、生活者の視点からインターネット環境への発展への寄与を目的とした研究を行なう機関の2つを設立する。
また、10周年記念特設サイトを開設し、各種イベントや特別企画を紹介するほか、「Yahoo!ショッピング」「Yahoo!オークション」での謝恩セールの開催など、4月1日から各種の10周年記念企画を展開していくとしている。
関連情報
■URL
Yahoo! JAPAN 10周年記念特設サイト
http://10thann.yahoo.co.jp/
ニュースリリース
http://pr.yahoo.co.jp/release/2006/0328a.html
■関連記事
・ ヤフー、ソーシャルネット事業部やモバイル事業部など新設の組織再編(2006/03/17)
( 三柳英樹 )
2006/03/28 20:57
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