NCジャパンは7日付で、MMORPG「リネージュII」の不正行為に対する取り組み内容を公表した。不正ツールやRMT(Real Money Trade)、クレジットカード不正利用などへの対策や被害件数などをまとめている。
● 不正アクセスは2005年11月の10分の1に減少
不正ツールは正常なプレイの妨げとなるだけでなく、アカウントやパスワードなどPC内の個人情報を盗用する機能が組み込まれているものが多く、アカウント盗用による不正アクセスに発展するケースもあるという。
アカウント盗用による不正アクセスへの対策は、キーロガーによるアカウント/パスワードの盗用を防止する「キーセーフ機能」を導入しているほか、2006年1月には、アカウント/パスワードが盗用された場合にも不正アクセスを防止できる「セキュリティカード」を導入。セキュリティカードにはセキュリティパスワードが記載されており、アカウントとパスワードを入力後に、セキュリティパスワードを入力させることでアカウントの不正使用を防ぐというものだ。このセキュリティパスワードは、4桁のパスワード32セットからなる乱数表で構成されている。
こうした取り組みの結果、2005年11月の被害報告件数は201件だったが、2005年12月には121件、2006年1月には82件、2006年2月には19件と減少傾向にある。このほか、海外からの不正接続はIPアドレスベースで制限。さらに、不正アクセスを防ぐセキュリティソフト「nProtect Gameguard」を導入し、監視を強めているという。
RMTについては「(RMTは)ゲームのバランスを崩す」と指摘。しかも、RMTのアイテムがアカウント盗用によるものであるケースが少なくないこと、金銭を振り込んでもアイテムや貨幣を得ることができない恐れもあることから、「現実世界の犯罪行為へと発展することもある」と懸念を示した。こうした懸念からNCジャパンでは、RMT業者へ抗議文を送り、取引中止を要請。各サイトへもRMT業者のバナー広告の掲載を控えるよう要請している。
● アカウント凍結処分数を初めて公表
なお、不正アクセスやRMT利用者に対しては、独自調査によるアカウント凍結処分を随時行なっている。3月30日の「開発/運営レポート」によると、2005年10月~2006年2月にかけて合計54,217アカウントを凍結したという。
アカウント凍結数を月別に見ると、2005年10月が19,370アカウント、2005年11月が17,826アカウントに上ったが、2005年12月は5,917アカウントと大幅に減少。2006年1月は4,144アカウント、2006年2月は6,960アカウントと、2005年10月・11月に比較すると3分の1以下になった。なお、この凍結されたアカウント数には、不正アクセスやRMT以外による処分も含まれている。
NCジャパンではこれまで、凍結したアカウント数の公表は控えていたが、公表によって同社の取り組みやユーザーにおける意識向上に繋がると判断。今後は定期的に凍結アカウント数を発表するという。
● “なりすまし”などクレジットカードの不正利用は「ほぼなくなった」
NCジャパンでは2005年11月1日付で、料金の支払にクレジットカードを利用しているユーザーを対象に本人確認サービス「3Dセキュア」(11月18日に名称を「本人認証サービス」に変更)を導入したが、この本人認証サービスを導入したことが、不正ユーザーの排除に効果があったという。
本人認証サービス導入前は“なりすまし”などによって、2005年には毎月約9,000件のクレジットカード不正利用が発生していた。本人認証サービス導入後の2006年現在、「クレジットカードの不正利用はほぼなくなった」としている。
関連情報
■URL
不正行為に対する取り組み
http://www.lineage2.jp/support/caution_dishonest.aspx
開発/運営レポート
http://www.lineage2.jp/community/report.aspx
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( 鷹木 創 )
2006/04/13 18:18
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