欧州宇宙機関(ESA)と英Wired Oceanは19日、船上インターネットを格安で提供するサービスを開始すると発表した。ダウンリンクが512kbps、アップリンクが9.6kbpsまたは64kbpsのサービスを、従来の船上インターネットに比べて70%以上安く提供することに成功したという。
ESAによると、これまでの船上インターネットの通信速度は通常、600bpsから64kbps程度で、平均ダウンロード速度は10kbps程度だったという。コストも1MBのダウンロードあたり20ユーロと高く、船主が普通にインターネットを使用することはできなかったとしている。
Wired Oceanのサービスは、ほとんどの船にすでに取り付けてあるテレビ受信用のTVROアンテナを使用する。このアンテナにWired Oceanのブロードバンドサーバーを接続し、そこから船内に無線LANや有線LANで接続することによりインターネットが使える。既存のアンテナを使用できるため、初期投資額も安く、設置も簡単に行なえるとしている。
使用する人工衛星は、ダウンリンク用にはEutelsatが運用するEurobirdとHotbird、アップリンク用にはGlobalstarまたはInmarsatを使用する。このためサービス提供エリアは英国を中心とする大西洋と北海、地中海エリアとなる。
2005年7月から12月まで地中海、英国海岸線、北海の油田プラントなどで実験が行なわれたが、アベイラビリティが99.954%と高く、合計15.2GBのデータのダウンロードに成功。漁船では各地の港での最新卸価格をインターネットで確認できること、ヨットのオーナーからは株式市場を確認できることが喜ばれているという。
このプロジェクトはESAの「スタートアッププロジェクトイニシアティブ」の一環として始まり、Wired Oceanの技術開発とパイロットサービスを支援したとしている。
関連情報
■URL
ESAによるニュースリリース(英文)
http://www.esa.int/esaTE/SEMMAWNFGLE_index_0.html
Wired Ocean(英文)
http://www.wiredocean.com/
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2006/04/20 12:50
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