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固定電話におけるNTTのシェアが他サービスに影響の懸念、2005年度競争評価


 総務省は26日、「2005年度(平成17年度)電気通信事業分野における競争状況の評価(案)」を公表した。電気通信事業について市場内での競争状況を評価・分析したもので、2005年度は主に固定電話市場についての評価を行なっている。

 固定電話(加入部分)については、2005年12月でNTT東西のシェアは94.1%と依然として圧倒的であり、市場支配力を行使しうる地位にあると評価しているが、第一種電気通信設備に係る規制や競争ルールの存在等が抑止力を持ち、支配力が実際に行使される可能性は高くないとしている。ただし、固定電話における市場支配力を背景にして、ブロードバンド市場や携帯電話市場などの隣接市場に影響を及ぼす懸念があると分析している。

 中継電話については、2006年3月でNTT東西のシェアは市内通話で75.0%、県内市外通話で70.1%を占め、県外通話ではNTTコミュニケーションズのシェアが75.9%に達することから、国際通話を除いてNTTグループが市場支配力を行使しうる地位にあると評価。ただし、マイラインによる事業者選択制度や、安価な050-IP電話などが競争圧力として存在することから、実際に支配力が行使される可能性は低いとしている。

 050-IP電話については、単独では市場支配力を有する事業者は存在しないが、2005年12月で上位3社(ソフトバンクBB、NTTコミュニケーションズ、KDDI)の合計シェアが84.2%に達することから、複数の事業者が協調して市場支配力を行使する可能性は残ると評価している。ただし、インターネット接続の付加サービスで割安な料金を実現し、加入者間で通話無料等の割引料金が定着しているため、実際に市場支配力が行使される可能性は低いとしている。

 固定電話市場と隣接市場の相関関係については、固定電話での事業者選択はインターネット接続・移動体通信の事業者選択に一定の相関関係があると指摘。これらは企業ブランド等を反映した結果であり、競争上直ちに問題となるわけではないが、固定電話市場をNTT東西が独占し、その他の市場でもNTTグループのシェアが圧倒的であることから、これらの市場の相互関係を注視していく必要があるとしている。

 また、ブロードバンド市場については、FTTHへの移行が本格化しつつあるが、NTT東西が4割のシェアを有するADSLから、同じく6割のシェアを有するFTTHへの移行が主流であると分析。また、FTTHへの移行者のうち、NTT東西以外のインターネット接続回線利用者の5割近くがNTT東西のFTTHに移行する傾向が伺え、これがNTT東西のシェアを押し上げる構造的な要因となっている可能性があり、FTTH普及のジレンマとなるとしている。

 このほか競争評価では、2003~2004年度に評価を行なった「ブロードバンド」「移動体通信」「法人向けネットワークサービス」の各領域についても、引き続き観測を実施。前回までの評価では、いずれの市場でもNTTグループによる市場支配力の存在については肯定したものの、行使の可能性は低いと分析しており、今回の評価でも評価に大きな変更点はない。

 総務省では、公開した競争評価案についてのパブリックコメントを、6月23日まで募集している。


関連情報

URL
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060526_6.pdf
  電気通信事業分野における競争状況の評価の実施(総務省)
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/kyousouhyouka.html

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総務省、固定電話の競争評価に関するカンファレスを開催(2005/11/02)


( 三柳英樹 )
2006/05/29 19:49

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