日本音楽著作権協会(JASRAC)は1日、ネットワーク上の音楽配信形態である「有期限ダウンロード」「音声番組」に対応する新料率を設定、6月1日から利用許諾を開始すると発表した。DRMで期限が設定されたダウンロード型のコンテンツや、Podcastingでのコンテンツ配信が対象になる。
有期限ダウンロードとは、DRMによりデータを受信した端末でのみ再生が可能であり、ダウンロード後の再生期間に制限がある配信を指す。また、音声番組とは1曲または複数の楽曲とコメントなどの音声のみで構成され、分割してダウンロードできないものを指し、音楽のみの場合は対象外。JASRACでは音声番組の例としてPodcastingを挙げている。
これまでダウンロード型コンテンツにおけるJASRACの規定は、再生期限のないもの、再生期限が10日もしくは10回までのもの、45秒以内で端末から書き出しできない着信音専用データの3区分に分けられており、期限設定型のコンテンツやPodcastingコンテンツも従来の規定で料率を支払っていた。今回の新料率はコンテンツ配信ビジネスの実態を鑑み、従来の料率よりも減額が図られている。
有期限ダウンロードの場合、音楽とそれ以外との区分に加えて再生可能な日数を2段階に分けて月額の音声番組料率を設定。音声番組の場合は楽曲単位ではなく番組単位で料率を設定した。なお、ダウンロードしたコンテンツをポータブルプレーヤーへ転送する場合は、期限が設定されていても有期限ダウンロード扱いとはならず、従来の料率が適用されるという。
新料率はネットワーク音楽著作権連絡協議会(NMRC)と合意の上、現行の使用料規定第11節「インタラクティブ配信」の範囲内で暫定運用する。JASRACではネットワーク上の新たなビジネスモデルにおける音楽利用の促進を規定しており、今後も規定などの運用は柔軟に対応していく方針。2006年秋のサービス開始を予定する「Napster」のような月額定額制のサービスに関しても、現在新料率を検討しているという。
ダウンロード型コンテンツの使用料率(消費税相当額は別途加算)
ダウンロード型の従来規定 |
再生期限 |
情報料あり |
情報料なし
広告料等収入あり |
広告料等収入なし |
最低使用料(月額) |
ダウンロード |
通常 |
1曲1回 |
情報料の7.7%又は7.7円 |
6.6円 |
5.5円 |
5,000円
(5日までの場合
1日1,000円) |
10日or10回まで |
情報料の7.7%又は3.85円 |
3.85円 |
3.85円 |
着信音専用データ
(45秒内、端末から
書出し不可) |
情報料の7.2%又は5円 |
5円 |
5円 |
有期限ダウンロード |
音楽が主目的 |
30日以内 |
情報料の5.6%または
5.6円のいずれか多い額 |
5円 |
4.5円 |
5,000円 |
7日以内 |
情報料の4.5%または
4.5円のいずれか多い額 |
3.85円 |
3.5円 |
音楽以外が主目的 |
30日以内 |
情報料の4.5%または
4.5円のいずれか多い額 |
3.85円 |
3.5円 |
7日以内 |
情報料の3.6%または
3.6円のいずれか多い額 |
3.2円 |
2.8円 |
音声番組※1 |
なし |
7.7%または7.7円または
3.8円×曲数のいずれか多い額 |
6.6円または3.3円×曲数の
いずれか多い額 |
5.5円または2.7円×曲数の
いずれか多い額 |
30日以内 |
5.6%または5.6円または
1.4円×曲数のいずれか多い額 |
5円または1.2円×曲数の
いずれか多い額 |
4.5円または1.1円×曲数の
いずれか多い額 |
7日以内 |
4.5%または4.5円または
1.1円×曲数のいずれか多い額 |
3.85円または0.96円×曲数の
いずれか多い額 |
3.5円または0.8円×曲数の
いずれか多い額 |
※1:メドレー曲は構成曲ごとそれぞれ1曲。1つの楽曲を複数回利用する場合はそれぞれ1曲。
7日内のうち3日または3回までの再生制限がありかつ再生時間が10以内の場合、楽曲数にかかわらず、広告料等収入のみありの区分は3.85円を2.5円に、収入無し区分は3.5円を2.25円にそれぞれ月間総リクエスト数を乗じて得た額 |
関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.jasrac.or.jp/release/06/05_6.html
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( 甲斐祐樹 )
2006/06/01 19:28
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