7月3日に新会社としてスタートしたNECビッグローブ株式会社は、7月24日、新会社設立とBIGLOBEのサービス開始10周年を記念した「BIGLOBE 10周年&会社設立記念パーティ」を、東京・恵比寿のウェスティンホテル東京で開催した。
新会社設立からは3週間が経過していたが、10年前の今日となる1996年7月24日が、ちょうどBIGLOBEのサービス開始日ということもあって、新会社のお披露目を、あえてこの日に設定。会場には、BIGLOBEサービスの開始当初からのパートナー企業や、業界関係者が集い、10周年とともに、新会社の設立を盛大に祝った。
● 信頼性と柔軟性を表現した新ロゴマーク「強く、ユニークな会社にしたい」
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NECビッグローブ代表取締役社長 鈴木俊一氏
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第1部は、講演会として、NECビッグローブの代表取締役社長に就任した鈴木俊一氏が、新会社の設立意図などについて、改めて説明した。
鈴木社長は、「NECは、NGN(Next Generation Network=次世代ネットワーク)という今後の新市場に向けた事業を推進しているが、BIGLOBEにとっても、この市場は大きなものだといえる。NECとの事業シナジーを生かしながら、NECビッグローブという会社を伸ばし、将来は、強く、そしてユニークな会社にしていきたい」と抱負を述べた。
また、「7月3日に分社化したことは大変タイミングが良かった」と前置きし、「BIGLOBE事業が10周年の節目を迎え、次なる飛躍が求められていたこと。NGNやWeb 2.0といった新たな動きが出始め、それに向けた成長路線を企画する時期にきていること、技術、マーケットが変化の時期であり、ビジネスを発展させることができるチャンスを迎えていることが挙げられる。NGNやWeb 2.0は、まだ中身がはっきりしないが、明確に言えるのは、これによって、すべての価値観が変わっていくことだ。個人と個人との関係、企業と企業の関係が変わり、企業と企業と個人の関わりや、社会そのもののあり方も変化する。BIGLOBEが持つ強固な基盤を一層磨き上げて、次代のユーザーメリットを提供していきたい。それに対して積極的に挑戦していきたい」とした。
さらに、現在のNECビッグローブにおける3つの重要な取り組みとして、1)技術に立脚したNGN時代のプラットフォームを提供する企業であり、そこにNECらしさ、BIGLOBEらしさを発揮すること、2)独立会社としてのスピード感と、柔軟性を担保できる会社であること、3)パートナーとのコラボレーションを広げていき、二人三脚での市場創造に挑むこと――を挙げた。
また、BIGLOBEの新たなロゴについても説明し、「たこ焼きの出来損ない、というご指摘もいただきますが」と会場の笑いを取った後、「高い信頼性を意味して、確固としたコアを持つ地球をイメージするとともに、新時代のニーズにも柔軟に対応し、革新的な変化を意味するために、自由に変化する水をイメージ。さらに、親しみやすさを出すために、目をつけて顔にした」と語った。
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BIGLOBEは10周年
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リニューアルされたロゴに込められた意味
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● ブロードバンド&モバイル強化「次世代のユビキタスサービスを創出」
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NECビッグローブ代表取締役専務 佐久間 洋氏
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代表取締役専務の佐久間洋氏は、NECビッグローブの事業方針の説明を行ない、「ISP事業、ブロードバンドメディア事業の2つの事業を成長させるとともに、これらのノウハウを生かして、企業向けのブラットフォームサービス事業という、ASP方式による新たな事業モデルに挑戦していく」とした。
ISP事業においては、従来からのブロードバンド接続サービスの強化とともに、ブロードバンド&モバイルサービスの強化に取り組んでいく姿勢を示し、「通信事業者およびパートナー企業との連携によって事業拡大し、次世代に向けたユビキタスサービスの創出に取り組みたい」とした。
ブロードバンドメディア事業では、新たなパートナー連携が必要だとして、コンテンツ、広告、EC/ネット金融関連サービスの3つの観点から取り組んでいくことを示した。
また、プラットフォームサービス事業では、BtoC事業プラットフォームの構築、運用ノウハウをもとに、「これらを、『磨き上げたコンポーネント』として企業に提供していく。SOAによるサービス手法でも多くの実績があり、高い信頼性、柔軟性、そして構築スピードの速さを活かしていきたい」とした。
加えて、NECが中核事業に掲げるNGNとの連携についても言及。「通信事業者が持つNGNの上で、これを活用したBIGLOBEプラットフォームを構築。その上で、自主サービスの展開、パートナーとの連携による多様な次世代サービスの提供、そして、次世代プラットフォームによる企業ソリューションの提供を行なっていく。ここに、NGN時代のBIGLOBEの役割がある」と位置づけた。
NECインターネットシステムが開発したデータマイニング技術を活用し、トレンド分析を行なう「旬感ランキング」をWeb 2.0関連の新サービスとしたほか、NEC R&Dグループとの連携によってレコメンド技術を活用した有料動画配信サービスのViDEO STOREをNGN関連サービスとして紹介。これらをNGNやWeb 2.0時代におけるNECとの新たな連携ソリューションとした。
さらに、NEC製PCとの機器連携ソリューションとして、BIGLOBEストリームやぱそ楽ネットを取り上げ、「今後は、シームレス、セキュア、パーソナライズという3つの観点から、マルチアプライアンス型の新たなユビキタスソリューションの実現を図りたい」と抱負を述べた。
佐久間専務は、最後に、「今後も各社との連携を通じて次の時代のインターネットサービスを創り出していく」と宣言し、出席しているパートナー各社に連携強化を求めた。
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次世代に向けたBIGLOBEの戦略イメージ
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ISP事業においては、従来からのブロードバンド接続サービスの強化とともに、ブロードバンド&モバイルサービスの強化をめざす
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その後、博報堂生活総合研究所主席研究員・林 光氏から、「21世紀の社会トレンドとこれからの生活」と題した講演が行なわれたあと、第2部として、懇親パーティーが行なわれた。
パートナーや業界関係者を対象にしたパーティーということもあり、数値目標や、具体的な施策にはまったく触れられなかったのは仕方がない。だが、次世代型のサービスを創出するという大きな方針に向かって、短期間にどれだけの具体的なサービスが提供できるかがこれからの鍵だと言えよう。
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( 大河原克行 )
2006/07/25 11:18
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