矢野経済研究所は26日、国内ブロードバンド回線市場に関する普及予測を発表した。ブロードバンド契約数は、2006年度末には2,730万、2011年度末には4,127万に達すると予想している。
調査は、2006年3月から6月にかけて、主要通信キャリア・ISP事業者など合計20社を対象に実施。同社専門研究員による直接面接取材を基本とし、電話・ファックス・メールによるヒアリング調査も併用した。
● DSLは2006年度に約6万純減、2007年以降は純減ペースが上がる
それによれば、2006年度の回線種別ごとの契約数は、FTTHが約928万(前年度比170%)、DSLが約1,446万(同100%)、CATVが約355万(同107%)、FWA(固定無線アクセス)が約8,000(同50%)と予測。これらを合計したブロードバンド契約数は、約2,730万(同117%)に達する。DSLについては、既存加入者のFTTHへの移行が進むという。
DSLは、FTTH未整備エリアやナローバンド利用層などの需要も根強いが、2006年度上期中に加入者数のピークを迎え、2006年度では前年度から約6万純減すると予測。2007年以降は純減のペースが上がり、2008年度は約96万、2009年度以降は年間約120~130万のペースで純減するという。総数では2010年度から2011年度にかけて、1,000万に満たなくなるとしている。
● FTTHは2011年度まで300~400万ペースで純増、普及に地域格差も懸念
FTTHは、光IP電話(0AB~J番号対応)が利用できる大中規模都市を中心に契約数が伸び、2006年度の純増数は約382万と推計。2007年度には総契約数が約1,365万に達し、DSLの総契約数とほぼ並ぶ見込みだ。年間純増数のピークは2007年度から2008年度で、年間約400万超の規模で普及。2011年度までは、毎年約300~400万のペースで増加するという。
その一方で、電力系事業者をはじめとするNCCは、採算性を重視して現在の提供エリアにおける営業に注力し、新たなエリア拡大には慎重だという。そのため、大中規模都市と小規市町村との地域格差が広がると見ている。
また、FTTHは需要が急増する反面、申込みの増加に伴う開通工事のリソース不足が慢性化しつつあると指摘。申込みから開通まで3カ月以上かかるケースも発生していることから、開通工事の迅速な対応が大きな課題としている。
CATVは、2006年度の純増数を約24万5,000と推計。前年度の純増数35万は下回るものの、DSLの速度が出ない地域やFTTHが未整備の地域からの需要が当面堅調に見込まれるとしている。2007年度の総契約数は約355万で、以降も徐々に増加し2011年度には455万人に上る。
2011年度の回線種別ごとの契約数は、FTTHが約2,776万、DSLが約895万、CATVが約456万で、これらを合計したブロードバンド契約数は約4,127万人に上る。FWAについては、純減傾向にあることから2010年にはその他のブロードバンド回線に代替されると予測する。
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インターネット接続 回線種別普及予測
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インターネット接続 回線種別 加入者年純増数の推移
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.yano.co.jp/press/2006/060726_1.html
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( 増田 覚 )
2006/07/26 18:35
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