政府の知的財産戦略本部は27日、コンテンツ専門調査会企画ワーキンググループの第3回会合を開催した。
ワーキンググループでは日本のコンテンツをめぐる現状の基本認識として、GoogleやYouTubeの普及などビジネスや流通システムの世界的変化に対して日本は後手に回っており、スピードある世界の変化と乖離していると指摘。優れたコンテンツを送出・供給する能力があるが、それが十分に活用されていないという課題があるとして、技術革新や新しいビジネスモデルによるコンテンツ市場の拡大を目指すべきだとしている。
また、こうしたコンテンツ大国へのシナリオを実現するには、民間企業のビジネス戦略を基本とし、官の役割は環境整備や側面支援とするべきであるとしている。
具体策としては、ビジネススキームの転換を支える著作権制度を作ることが必要だとして、地上デジタル放送の再送信に関する放送法の整備など、IPマルチキャスト放送へのコンテンツ流通の促進を提言。また、違法コンテンツのダウンロードなど、違法複製されたコンテンツのネット等を介した個人による複製についても著作権侵害とすべきではないかといった議論が必要であるとしている。
このほか、コンテンツの2次利用などで、権利者が不明であるなどの理由で再利用が進まないといった問題もあることから、一定の条件の下で権利者の差止請求権を制限するなど、利用者の責任を軽減する制度の導入についても検討を求めている。
コンテンツの流通促進に際しては、クリエーターに適正な報酬がもたらされる仕組みの下で、円滑な利用を進めるとして、マルチユースを前提とした契約ルールの策定、放送局の窓口管理業務の適切な在り方などを検討することによる放送番組のマルチユースの促進、権利の集中管理の促進、著作権契約に関する法的な規定の整備などを施策として挙げている。
また、一般ユーザーが著作物を楽しむ機会を充実するために、デジタル化・ネットワーク化に伴う法制度の構築、放送番組アーカイブの活用、コンテンツの保存・収集・利用の促進、コンテンツ関連の技術開発、人材育成などを提言している。
ワーキンググループでは次回の会合でとりまとめを行ない、2月にコンテンツ専門調査会の全体会合を開催。コンテンツ振興の今後の課題と具体策について提言を行なう。
関連情報
■URL
知的財産戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/
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( 三柳英樹 )
2006/11/28 15:36
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