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ネット上のプライバシー侵害や名誉毀損、発信者情報開示へガイドライン


 テレコムサービス協会、電気通信事業者協会、日本インターネットプロバイダー協会の3団体で構成する「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」は10日、インターネット上のプライバシー侵害や名誉毀損、著作権侵害などについて、ISPや掲示板運営者などが発信者の身元情報を開示する基準や手順を示した「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」をとりまとめた。ガイドライン案は、テレコムサービス協会のWebサイトで公開しており、2月9日正午まで広く意見を求める。

 同協議会ではすでに、権利侵害情報の「削除依頼」に対応する際の指針を示したガイドラインは策定していた。これに対して今回のガイドライン案は、発信者情報の開示請求に対応するためのものとなる。インターネットにおける権利侵害に対して、ISPなどが発信者の同意を得なくても被害者に発信者の氏名や住所、メールアドレスなどを開示するための手続きや判断基準を明確化する。発信者情報の開示請求を受け付ける際の手順や書式なども示している。

 現在でも法律上では、権利侵害が明らかであれば、被害者がISPなどに対して、発信者の身元情報の開示を請求できる。しかし、「権利侵害」の基準が明確ではないほか、ISPが判断を誤って開示した場合には刑事上の責任を問われることもあることから、裁判所に情報開示が認められるまでISPなどが独自に判断を下すことは難しかった。今回のガイドライン案では、これまでに発信者情報の開示が認められた裁判例が参考にされ、基準を示している。

 具体的には、プライバシー侵害については、住所や電話番号などの連絡先、病歴、前科前歴など、一般的に本人がみだりに開示されたくないと考える情報を公表された場合には、通常はプライバシーの侵害になると指摘。WinMXを使用して、流出したエステサロンの顧客情報を公開した事例などを挙げている。

 名誉毀損では、侵害情報により被害者の社会的評価が低下したなどの客観的事実のほか、当該行為が公共の利害に関する事実に係わり、目的がもっぱら公益を図るなどと証明されない場合は、名誉毀損が成立するとしている。ただし、これらの事情はISPなどで判断することが難しいとして、その場合には裁判所の判断に基づき開示することが原則としている。なお、具体的な事例としては、ある眼科について「あのヤロー他院の批判ばかりだよ。……、お前のところは、去年三人失明させているだろうが」などと書き込んだ事例が、裁判所によって発信者情報の開示が認められたとしている。


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URL
  ニュースリリース
  http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070110.htm

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( 増田 覚 )
2007/01/10 19:47

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