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私的録音録画小委員会、「私的複製」の範囲見直しを議論


 私的録音録画補償金制度の抜本的な見直しを図るために、文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の2007年第2回会合が、16日に行なわれた。今回の会合では、著作権法第30条で認められている私的複製の範囲の見直しについて議論が交わされた。

 著作権法第30条では、自分が購入したCDや友人から借りたCD、レンタルCDなどを私的使用のために複製することを認めている。また、ファイル交換ソフトを含む違法サイトや違法複製物からの私的複製についても30条の範囲内とされているが、同小委員会ではこれらを30条の範囲から除外する方向で議論を進めていた。

 しかし今回の会合では、IT・音楽ジャーナリストの津田大介委員が、「仕事で昔のコンテンツを資料として必要な時、こうしたコンテンツがネット上にカタログ化されていればいいが、入手困難なことが多い。海賊版を放置していいということではないが、違法複製物や違法サイトからの複製が制限されると、例外措置がなければ困るケースも出てくる」と指摘。違法配信行為については、「著作権法の送信可能化権でアップロードした人を罰せば十分」と述べたのをきっかけに、違法サイトからの私的複製について再び議論が交わされた。

 これに対して日本レコード協会専務理事の生野秀年委員は、「海賊版行為はすべて押さえなければ、(海賊版対策の)実効性が担保できない」と反論。さらに、違法サイトからの私的複製が30条の範囲外となった場合については、現在の違法サイトの利用状況が変わらなければ違法複製が蔓延する恐れがあるとした上で、日本レコード協会では、著作者の許諾を得た合法の音楽配信サービスを識別できるマークを表示することで、ユーザーに認識してもらう仕組みを検討中とした。この取り組みは5月末までに検討して、同小委員会で発表するという。

 このほか、他の委員からは「私的録音補償金制度のあり方を議論することが本来のテーマ」「違法サイトからのダウンロード行為を30条の範囲から除外するかどうかによって、補償金制度の存在意義は変わらない」などの意見が寄せられ、次回の小委員会では、同制度の必要性が主に議論される予定だ。


関連情報

URL
  私的録音録画小委員会(第2回)の開催について
  http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2007/chosaku_rokuon_070403.html

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( 増田 覚 )
2007/04/17 11:01

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