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競争ルールのあり方についてNTTと他事業者が意見対立、総務省の作業部会


 総務省は20日、指定電気通信設備制度の見直しなどについて議論する「競争ルールの在り方に関する作業部会」の第5回会合を開催した。通信事業者5社からのヒアリングでは、NTTが新たな規制は不要であると主張する一方、KDDIやソフトバンクテレコムなどはNTTは依然として支配的事業者であり規制は必要だと訴えた。

 現在の指定電気通信設備制度(ドミナント規制)では、一定以上のシェアを持つ通信事業者に対して、他事業者との接続ルールや接続料金などを定めた約款を策定し、総務大臣の認可を得ることを求めており、固定電話事業に関する第一種ではNTT東西がこの規制の対象となっている。作業部会では、電話網のIP化や家庭へのアクセスラインの光ファイバ化が進むという状況を踏まえて、今後の規制のあり方について検討を行なっている。

 第5回会合では、NTT、KDDI、ソフトバンクテレコム、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコムの5社がプレゼンテーションを行なった。NTTは、既に各事業者は自前のネットワークを構築してブロードバンドサービスを提供することが可能になっており、今後はこうした設備競争の促進に重点を置く必要があると主張。また、NTTの次世代ネットワーク(NGN)は他事業者との接続性を確保したオープンなネットワークとして構築していくとして、NGNへの事前規制が課されることに対して懸念を表明した。

 一方でKDDIは、NTT東西は加入者回線の約94%を保有するなど、独占時代に構築したボトルネック設備を市場支配力の源泉としており、現在でも事業戦略やサービス提供上の優位性を確保していると主張。NTT東西のアクセス部門の分離や持株会社体制の廃止など、NTTグループの完全資本分離が無ければ公正な競争環境とは言えないとして、現在の規制に加えて新たなサービスについても追加の規制が必要だと訴えた。

 ソフトバンクテレコムも、NTT東西がFTTHのシェアを大きく伸ばしているというデータを示し、FTTH市場においては不十分な設備開放、接続料の高止まり、接続料の不透明性といった点が問題となっていると主張。市場支配力の認定なども含めた、新たな競争ルールの枠組みを作る必要があると訴えた。

 ケイ・オプティコムも同様に、FTTHやNGNを利用した各種サービスがバンドル化して提供されることで、NTTの独占化が進むことに懸念を表明。ジュピターテレコム(J:COM)も、独占市場である通信業界から放送業界への進出により、公正競争が阻害される恐れがあると主張した。


 その後の議論では、規制の対象はNTT東西となっているため、子会社が規制の抜け道となっているのではないかといった点や、NTTのグループとしての市場支配力、ボトルネックとなる設備の開放状況などについて各社が意見を交換。他事業者への接続は提供しており開放は十分であると主張するNTTに対して、他の事業者がNTTはグループとしての市場支配力を持っており開放も十分ではないと主張し、意見が対立する構図となった。

 次回の第6回会合では、イー・アクセス、ウィルコム、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、モバイルコンテンツフォーラムの5者によるプレゼンテーションを予定。6月までに作業部会としての取りまとめを行ない、意見募集の後に9月には報告書を提出する予定となっている。


関連情報

URL
  ネットワークの中立性に関する懇談会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/network_churitsu/index.html

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( 三柳英樹 )
2007/04/23 13:08

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