グーグルは19日、YouTubeの多言語対応に関する説明会を開催した。同日にパリで開催した「Google Press Day」でこの発表が行なわれたため、パリと日本のグーグルのオフィスをビデオ会議で結び、YouTubeの共同創業者であるCEOのChad Hurley氏とCTOのSteve Chen氏らが説明と質疑応答を行なった。
● 各国に合わせたサービスを展開、コンテンツ自体はグローバル
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CEOのChad Hurley氏(右)とCTOのSteve Chen氏(左)
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YouTubeはこれまでも日本を含む世界各国から利用できたが、メニューなどは英語表記のみで、基本的に米国向けのサービス提供となっていた。今回、YouTubeでは米国に加え、ブラジル、フランス、アイルランド、イタリア、日本、オランダ、ポーランド、スペイン、英国の9カ国版を開設し、それぞれの国に向けたサービスを開始した。
今回の対応についてCTOのChen氏は、「国際的なトラフィックが非常に増えており、多くの人たちがすでに海外からアクセスしている。こうした中で、Googleが持つ国際化のための技術が利用できるようになったことから、国際化の第1弾として9カ国への対応を開始した」と説明。「YouTubeはこれまでの米国中心から、各国ごとに対応したローカル中心のコンテンツとしてサービスを展開していく」として、今後さらに多くの国への対応を進めていく予定だとした。
また、現在はメニューの各国語対応が中心となっているが、今後は各国の状況に合わせた形でのサービス展開を目指すと説明。Chen氏は「たとえば日本では高機能な携帯電話の普及が進んでおり、モバイル対応を積極的に展開していきたい」とした。
また、モバイル対応については「YouTubeのサービスは、リビングから小型の機器まで、あらゆるデバイスで展開していきたい。我々のコンテンツはショートコンテンツであり、モバイルにも適しており、次の重要なステップは携帯電話だと考えている」として、これまでPC向けに展開してきたYouTubeのサービスとの整合性を図りながら進めていきたいと語った。
その一方で、YouTubeはグローバルに展開するサービスであることが強みであり、各国で展開するサービスを積み上げていくことでサービス全体が向上していくことになると説明。日本でも既にYouTubeのようなサービスが開始されているが、これにどのように対抗していくのかという質問に対して、CEOのHurley氏は「我々は既にグローバルな視聴者を抱えており、この点が他のサービスとの大きな違い」と回答。コンテンツそのものはグローバルであり、検索結果などについては各国ごとにカスタマイズしていくが、他国のコンテンツを見られないようにするといった対応はしないと説明した。
● フィンガープリント技術などで著作権侵害に対応
YouTubeでは今回の各国への対応に合わせて、BBCやFrance24といった各国の放送局、チェルシーやACミランなどヨーロッパのサッカーチームといった大手コンテンツパートナーとの契約を結んだことを発表。日本でも、スカイパーフェクト・コミュニケーションズがYouTubeと契約を結び、「スカパー!」のプロモーション用のパートナーページを開設した。
コンテンツ企業との交渉状況について、Hurley氏は「日本でもいい反応をいただいている」と説明。著作権については、「YouTubeは当初から著作権者を尊重し、ルールを守ってきた企業だと自負している。コンテンツをアップロードするかどうかの決定権は、あくまでも権利を持っている人にあると考えている」と説明した。
また、日本のコンテンツ企業との関係については、「日本とYouTubeの間にも緊密な関係を構築していきたい。その間にもしギャップというものが存在するのであれば、それを埋めるための努力をしていく」とコメント。「日本のコンテンツプロバイダーの方々に、我々のメディアの価値を理解していただき、コンテンツを提供していただけるよう、今後数カ月かけてぜひその方向に持っていきたい」と意欲を示した。
アップロードされる動画の著作権侵害対策については、フィンガープリント技術を利用したデータベースの構築などの対応を行なっていくと説明。Chen氏は、「たとえばあるミュージッククリップについて、北米では誰が権利を保有しているのか、ヨーロッパやアジアでは誰が保有しているのかといった、簡単には整理できない課題もある。フィンガープリント技術は、このプロセスをかなり自動化できると考えており、コンテンツパートナーとの交渉にもこれを利用していきたい」と語った。
日本について独自の著作権保護対応などを行なうことはありうるかという質問について、Chen氏は「特定の国だけを選んで何かをするということではなく、グローバルレベルで尊重すべきものを尊重し、皆様との関係を築いていきたい」と説明。「フィンガープリント技術はそのための第一歩となる技術であると考えており、そのためにもコンテンツパートナーと協力していきたい」とコメントした。
関連情報
■URL
YouTube日本語版
http://jp.youtube.com/
YouTube公式ブログの該当記事(英文)
http://www.youtube.com/blog?entry=ktewBXNbyTw
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( 三柳英樹 )
2007/06/20 11:36
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