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JEITAの主張する「補償金は不要」に遺憾、権利者会議が緊急声明


記者会見の模様
 映像制作事業者など私的録画補償金関係権利者団体で組織される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」は13日、「コピーワンス問題と補償金制度に関する緊急声明」を発表した。

 今回の声明は、2007年6月の私的録音録画小委員会で、電子情報技術産業協会(JEITA)が「デジタル放送には私的録画補償金は不要」と主張したことを受けて発表されたもの。デジタル私的録画問題に関する権利者会議は、声明文で「デジタル放送のコピーワンスの制度緩和を支えているのは『私的録画補償金制度』」と主張。補償金制度の必要性をユーザーにも訴えていくとした。

 声明文では、まず、デジタル放送のコピーワンス改善について検討されてきた経緯に触れている。7月12日の第19回検討委員会において、コピー回数10回(COG:Copy once generation+9回のコピー)となったことに対し、権利者会議は「必ずしも納得のいく数字ではない」としながらも、「ユーザー、JEITA、放送事業者、権利者等が議論を重ねた結果到達した着地点」として一定の理解を示した。

 権利者会議が、制限緩和案に理解を示した理由として、「私的録画補償金制度」があるという。「クリエーターに対する適正な対価の還元は、私的録画補償金制度をおいて外にはない」とし、コピーワンスの規制緩和を支える極めて重要な礎であると主張した。これに対し、JEITAが「補償金は不要」としたことについて、「関係者間の譲歩の結果を否定するもの」と反論。「極めて遺憾である」とした。


検討委員会の流れ 検討経緯 検討経緯(後半)

補償金制度によって権利者を守りつつ、コピーが可能になる

 日本芸能実演家団体協議会実演家著作隣接権センター(CPRA)の椎名和夫委員は、コピーワンスの緩和に関する検討経緯を説明し、「こうした問題が関係者間の緻密な議論によって解決されようしていることは、非常に大きな成果。権利者は消費者に不便な状態を押し付けているものではありません。ある程度のコピーの自由をキープするためには、私的録画補償金制度は非常に重要な役割を持っている」と述べた。

 「今回は、そのことについてもう1度広く消費者の皆様に知っていただきたく、声明を発表した。我々はお金が欲しいから言っているのではなく、ある程度の自由を持ってコンテンツに親しむ機会をキープするという意味で、必要なインフラである」(椎名氏)。

 また、日本音楽作家団体協議会の服部克久会長は、「コンテンツがどうやってできているのかを広く認識していただきたい。1つの音楽を作るのにどれだけの人が関わっているのか、どれだけの人がこれによって生活しているのかを考えてほしい。作品ができるまでのことをもう少し考えていただいて、それがいかに貴重な存在であるかを知ってほしい。コンテンツに対する尊敬の念を持ってもらえたら嬉しい」と語った。

 このほか、日本映像ソフト協会の坂井信義氏は、「DRMにはいろいろな種類があるが、JEITAさんの主張する『EPN(Encryption Plus Non-assertion)』は暗号化する技術で、コピーコントロールとは考えられていない。したがって、EPNによって補償金が不要になることはない」と述べた。


CPRAの椎名和夫委員 FCAの服部克久会長

FCA私的録音録画補償金キャンペーンを展開 服部克久氏や、三枝成彰氏、すぎやまこういち氏らFCAメンバーが、キャンペーンのフライヤーを配布した

関連情報

URL
  デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会
  http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/digitalcontent.html

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私的録音録画小委員会、見直し議論は「補償の必要がある」ことが前提?(2007/06/18)


( 野津 誠 )
2007/07/17 22:14

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