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Googleでホスティングしている記事では、ページ左下に「Hosted by Google」のロゴを掲示している
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米Googleは8月31日、「Google News」において大手4通信社と提携し、ニュースコンテンツを直接Googleにホスティングすることを明らかにした。これはGoogle News公式ブログで発表されたもので、既に米国版Google Newsで見ることができる。
Google Newsはこれまで新聞社や通信社のWebサイトにリンクを張ることに注力し、独自コンテンツは掲載しなかったため、今回の動きは方針転換を匂わせる。その一方、オリジナルコンテンツの重要性と、ジャーナリズムの質を維持するための収益体質にも一石を投じそうだ。
今回Googleが提携したのは、Associated Press(AP)、Agence France-Presse(AFP)、UK Press Association、Canadian Pressの4社。Google News上でこの4通信社のコンテンツは、Googleがホスティングするページに掲載されている。現在のところGoogleはこのページに広告を掲載していない。
また、もう1つ大きな変化として、Google Newsに「duplicate detection」(ダブリ探知)機能が導入された。これまでGoogle Newsでニュースを検索すると、大手通信社のコンテンツを掲載している複数の新聞社などのほぼ同じ内容の記事へのリンクが表示されてしまい、本質的に異なる内容の記事を探すのが難しい場合が多かった。この新機能により、内容が同一であるコンテンツをあらかじめ除去し、オリジナルコンテンツを掲載しているページをなるべく多く表示できるようになった。
この機能について、Google News公式ブログの発表では、「検索結果から重なり合う記事を除去することによって、世界中のジャーナリストと出版社からの、より多くの記事と視点を浮かび上がらせることができるようになった」と説明している。自社のデスティネーションサイトを保有する出版社や新聞社、通信社のオリジナルコンテンツを注目させることが目的のようだ。
今回、Googleが4通信社とコンテンツのホスティングで提携したことは、この新機能と無関係ではない。これら4通信社は自社サイトを保有しておらず、Google Newsからのトラフィックの恩恵を受けられない状態にあることが発表で指摘されている。
Googleは4通信社のコンテンツをホスティングするにあたり、Googleと通信社のどちらの側がライセンス報酬を支払っているのかなど、契約の詳細について明らかにしていない。こうしたことから、今回Google Newsに独自コンテンツが掲載されたことを受けて、直接的にGoogleが広告を掲載すると考えるのは早計に思われる。
これまで単なるリンク集と揶揄されることもあったGoogle Newsが、大手通信社による独自コンテンツを掲載するという大きな変化は、今後Googleがさまざまなコンテンツとどのように付き合っていくのかを考える上で注目される。また、大手通信社の記事を掲載し、かつGoogle Newsのトラフィックから恩恵を受けていた特に地方の新聞社などが、その恩恵にあずかれなくなることから高まる不満が、どのようにGoogle Newsの将来に影響を及ぼすのかについても注目されるところだ。
関連情報
■URL
Google News公式ブログの該当記事(英文)
http://googlenewsblog.blogspot.com/2007/08/original-stories-from-source.html
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2007/09/03 14:15
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