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子供のネット利用で日米に差、「日本の親はもっと関与すべき」


BBAセキュリティ専門部会の野々下幸治会長
 ブロードバンド推進協議会(BBA)は2日、「日米こどものインターネット利用調査」の結果を発表した。

 今回は、米Webroot Softwareが2007年5月に発表した調査結果を基に、日本において米国と同一内容の調査を実施し、日米の比較を行なった。山形大学学術情報基盤センターの加納寛子教授が監修を務めている。

 米国の親調査では、5歳から17歳までの子供を持つ親を対象にオンラインアンケートを実施。期間は5月1日から2日で、有効回答数は609人。子供調査では、11歳から17歳までの子供に対し、親の承諾・付き添いの上、オンラインアンケートを実施。期間は5月2日から3日で、有効回答数は603件。

 日本の親調査では、Yahoo!リサーチモニターを対象に、インターネットを利用している5歳から17歳までの子供を持つ親を抽出し、オンラインアンケートを実施。期間は10月10日から15日で、有効回答数は671件。子供調査では、同モニターでインターネットを利用している11歳から17歳までの子供を持つ親を抽出し、親の承諾・付き添いの上、子供にオンラインアンケートを実施。期間は10月12日から15日で、有効回答数は695件。


PCスキルやネット利用度は米国親子が高い

 調査結果によると、子供のPCのスキルについては、日米とも「中級ユーザー(やりたいことはソフトを使ってできる)」が、日49.9%、米43.5%で最も多かったが、日本では次に「初心者(ブラウザなど基本的な機能だけ使う)」38.9%が多く、米国では次に「上級ユーザー(いろいろなソフトを簡単に学び使える)」40.6%が多かった。日米の子供でPCスキルに差があることがわかる。これは、親調査に関しても同様だった。

 子供の1日のネット利用時間については、最も多い回答として、日「1時間未満」55.4%、米「1時間以上3時間未満」41.2%となった。米国の子供はネット利用時間が長い傾向があり、これはPCスキルも影響しているものと思われる。ネットで利用するサービスを見ると、ほぼ毎日使うという回答では、日「メール」35.5%、米「インスタントメッセンジャー」39.7%、「SNS」39.7%となった。このほか、「オンラインゲーム」に関しては日米ともに利用率が高かった。

 また、危険なサイトは見ないと親から「信用されている」と思う子供は、日30.9%、米54.1%となり、一方、子供のネット利用について「心配ない」とする親は、日9.4%、米18.6%だった。子供がネットを利用する際に監視しているかを尋ねたところ、「見ている」は、日48.7%、米68.1%。「使用理由を聞く」は、日31.4%、米45%だった。逆に「監視していない」は、日27.0%、米3.8%となった。ネットを利用する際の親子のコミュニケーションは米国が高く、それが信頼関係にも影響していると思われる。


日米のPCスキルの差 子供が利用するサービス 親の関与・監視

有害サイトの閲覧経験で親子に認識のずれ

 有害サイトなどの経験については、性的な内容を含むメールや広告を見たことがある子供は、日33.8%、米37.4%。知らない人から誘いのメールを受けたことがある子供は、日22.3%、米18.2%。ネット上でのいじめを受けたことがある子供は、日3.3%、米17.4%だった。一方、親に対し、自分の子供が上記のような経験をしているのかを尋ねたところ、日米とも「いいえ」とする回答が多く、特に知らない人からの誘いは、親子の認識に大きなずれがあった。

 日本のみ、有害サイトのフィルタリングサービス認知度について調べている。サービスについては「聞いたことがある」が41.1%で最も多く、次いで「知らない」36.5%、「内容まで知っている」22.4%となった。また、日米でフィルタリングサービスの導入について尋ねたところ、導入している家庭は、日15.5%、米49.3%だった。導入率は日本の方が圧倒的に低く、導入しない理由として「効果がわからないから」29.8%、「セキュリティ対策ソフトで十分だから」26.1%という意見が多かった。

 今回の調査について、BBAセキュリティ専門部会の野々下幸治会長は、「近年、子供がインターネットを利用してオンライン詐欺やいじめ、出会い系サイトの事件に遭遇することが多いこと、また、フィルタリングサービスの導入実態も調べたいことから調査を実施した」と説明。「親の認識以上に子供はネット上で知らない人からの誘いを受けていることに驚いた」とコメントした。

 また、「米国の方がフィルタリングサービスの利用、および子供のネット利用への関与で積極的」とのことで、「日本の親も子供のネット利用にもっと関与すべき」とした。「昨年、ワンクリック詐欺の調査をしたときに、金を払ってしまった人から“相談する人がいない”“恥ずかしい”という声が挙がった。特に子供の場合は、普段から親が関与していないと相談しづらい」と話す。最後に野々下氏は、「子供が有害なサイトにアクセスする可能性があることを親はもっと認識するべきだ」と述べた。


親の心配要素 有害サイトの経験 フィルタリングサービスの利用

関連情報

URL
  有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会
  http://www.bba.or.jp/bba/

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( 野津 誠 )
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