政府の知的財産戦略本部は13日、情報通信など重点推進4分野の競争力強化に向けた報告書をまとめた。2008年3月からとりまとめを行なう「知的財産推進計画2008」に向けたもので、報告書では今後の知的財産戦略として、新たなビジネスモデルに対応する知的財産制度の整備や、基本特許の取得支援などを提言している。
報告書は、2007年の知的財産推進計画で重点分野とされた「ライフサイエンス」「情報通信」「環境」「ナノテクノロジー・材料」の4分野について、競争力強化の観点から分野別にプロジェクトチームを設置し、現状と課題、対応方策を整理してまとめたもの。
報告書では今後の対応方策として、1)基本特許(上流)を確保し、幅広く(下流まで)技術を押さえる、2)知的財産を活用して新たな市場・ビジネスモデルを切り開く、3)優れた技術を集約した共通基盤技術を円滑に利用する、4)ベンチャーを含む中小企業において知的財産を積極的に活用する、5)国際展開を促進する――の5点を基本戦略として挙げている。
知財を活用した新たな市場・ビジネスモデルの開発については、検索サービスにおいてWebページの収集が著作権侵害に該当しかねないという問題を解消するため、早急に著作権法改正等の措置を講じるとしている。また、この問題を契機として、新しいビジネスの展開に著作権法等の法制度が過度の制約とならないよう、米国著作権法におけるフェアユース規定等を参考としつつ、権利行使に関して調整する包括規定の導入の可否などについても検討することを提言している。
このほか、知財の活用による新市場・ビジネスモデルの開発に対する具体的な取り組みとしては、ASPやSaaS型のサービスについての知的財産権の取り扱いに関するガイドラインの策定や、バーチャル空間における商標等の無断使用に関する調査・分析、OSSへの円滑な取り組みの確保、スーパークリエーターの育成などが挙げられている。
関連情報
■URL
知的財産戦略本部
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html
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( 三柳英樹 )
2007/12/14 16:32
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