中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は26日、中国のブログの現状について紹介した「2007年中国博客(ブログ)市場調査報告」を発表した。
調査は11月20日から30日まで、インターネット利用者1,862人と、よくブログを閲覧する486人を対象に実施。その結果から判明した割合および11月末時点でのインターネット利用者数1億8,000万人から、実際の利用者数を推定している。
● インターネット利用者の1割弱のヘビーユーザーが主なブロガー
中国のブロガー総数は、1億8,000万人のインターネット利用者全体の26.1%にあたる4,698万2,000人。このうち更新頻度の高いアクティブなブロガーは、ブロガー全体の36%、インターネット利用者全体の9.4%にあたる1,691万3,000人で、残りの64%は登録こそしたが長い間更新していないという。2006年のアクティブブロガーの数は924万人だったことから、2007年は2倍近くに増加したことになる。
男女比は43対57で女性のほうが多い。職業別では学生(38%)が最も多く、以下、技術職(17%)、一般職(7%)、営業職(5%)、サポート(5%)、人事(5%)、研究職(2%)が続いた。学生が多いゆえに、ブロガーの月収も500元(約7,500円)以下が23%で最も多く、全体を見てもブロガーのほとんどが3,000元(約4万5,000円)以下という結果となった。
アクティブでないブロガーを含むブロガーが所有するブログは、1個が65%で最も多かったものの、2個も22%、3個以上も13%と、複数所有すると回答する人も少なからずおり、ブロガーの所有するブログ数の平均は1.55個だった。これにブロガー総数の4,698万2,000人をかけたブログ総数は7,282万2,000個となった。一方、アクティブなブロガーに限定したブログの数は、1個が55%、2個が27%、3個以上が18%となり、平均は1.7個となった。この数にアクティブブロガー数の1,691万3,000人をかけたアクティブブログの総数は2,875万3,000個となった。つまり、7,282万ものブログのうち4割弱にあたる2,875万しか頻繁に利用されておらず、6割はあまり利用されていないという実態が明らかになった。
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アクティブブロガーの人口推移(CNNICの報告書より)
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中国のブロガーのインターネット利用歴は、1年未満が2.9%、1~5年が50.0%、6~9年が40.5%、10年以上が6.6%。9年以内が全体の約9割を占め、その中でも2000年にインターネットの利用を開始した人が16.0%と最も多かった。中国においてブログがインターネットの利用を始めるきっかけとなる人は少数派であることが伺える。
ブロガーのインターネット利用時間は、毎日4時間以上が34%、毎日2~4時間が20%、毎日2時間程度が9%、毎日1~2時間が11%、毎日1時間程度が10%、1日1時間未満が7%、毎週1時間未満が9%と、やはりインターネットのヘビーユーザーが多い傾向となった。
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ブロガーのインターネット開始時期(CNNICの報告書より)
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● 中国のブロガーの更新頻度は少なめ
ブログを登録した理由としては、「心情を記録するため」(33%)や「ほかの人が利用しているからとりあえず」(28%)が多かった。以下、「自身の写真や、文字ベースの資料」(16%)、「友人・知人に作れといわれて」(12%)、「自身の観点をアピールするため」(12%)、「友達作りのため」(10%)、「自身のソースを共有するため」(6%)、「仕事や勉強の補助ツールとして利用したいため」(5%)、「有名になるため」(2%)、「仕事を探すため」(1%)と続いた。また、上記の質問で22%がその他の理由と回答し、その内訳としては「面白いから」(36%)、「好奇心から」(13%)などが主な理由だった。自身の写真や文字ベースの資料を不特定多数が見るブログに公開するというのは、個人情報の扱いにナーバスな日本とは異なる、中国らしい動機といえる。
ブログの内容は「自身の心情」(47%)、「生活」(41%)、「趣味」(31%)が特に多く、以下「自身の情緒」(20%)、「笑い話」(16%)、「本や映画などの評論」(12%)、「自身のオリジナル小説の公開」(11%)、「社会の評論」(10%)、「旅行記」(8%)、「学術的問題の考察」(5%)、「知識の紹介」(5%)、「地域情報」(4%)、「技術などの情報のヘルプ」(2%)、「経済分析」(2%)と続いた。
ブログの更新頻度は、毎日1回以上が4%、毎日1回が5%、週2~3回が15%、週1回が20%、月2~3回が12%、月1回が18%、半年に1回が10%、年に1回が5%、年1回以下が10%。週2~3回から月1回程度の更新が多く、1日1回以上更新するブロガーはブロガー全体の1割に満たなかった。
一方、ブログの更新をやめたブロガーに対し、その理由を聞くと「更新する時間がない」(50.0%)という回答が半数を占め、以下「書くネタがない」(15%)、「(登録当初の)新鮮感がない」(11%)などの理由が続いた。
ブログのリンクを6割が利用し、そのリンクはほとんどが「友人・知人のブログ」であり、「知り合いではなく、興味のある内容のブログ」「アルファブロガーのブログ」「有名人のブログ」へのリンクは少数派であった。
中国のブログサービスでは、「博客圏(ブロググループ)」と呼ばれる同じ趣味・趣向を持つ人々をグループ化し、ブロガー同士を繋げるサービス(個人がそのグループを作ることから、メールマガジンやmixiのコミュニティに近い)があるが、これにを利用しているブロガーはブロガー全体の2割だった。その2割を対象に、どのようなブロググループに参加しているかについて聞いた結果は、「知人・友人のいるブロググループ」(63%)が最も多く、「興味のあるブロググループ」(26%)は前者に比べれば少数派だった。ほかには「アルファブロガーが集うブログ」(7%)、「知識人が集うブログ」(4%)という回答があった。
ブログサービスプロバイダーを「変更したことがある」のは20%だった。また、独自ドメイン名を利用したブログ運用については、「運用したい」(66%)という意見が多数派で、「興味がない」(19%)を上回ったが、「既に運用している」(2%)としているのはごくわずかだった。
● ブログ記事よりもニュース記事が信用性で上回る傾向
最後に、ブログの読者についての傾向を紹介する。
ニュースを閲覧する時間とブログを閲覧する時間を比較すると、「ニュースを見る時間のほうが長い」(50%)という回答が、「ブログを見る時間のほうが長い」(33%)や「同じ」(17%)を上回った。また、ニュースを閲覧する頻度と、ブログを閲覧する頻度を比較しても、やはり「ニュースを見る頻度のほうが高い」(53%)が、「ブログを見る頻度のほうが高い」(34%)や「同じ」(13%)を上回った。情報源としてニュースとブログのどちらが信用できるかについても、「新聞のほうが信用できる」(63%)が、「同様に信用できる」(17%)や「ブログのほうが信用できる」(20%)を上回った。
ブログを閲覧する理由は、「娯楽目的」(43%)が最も多く、以下「学び、己を高めることができるから」(24%)、「心の共鳴を求めて」(21%)、「問題をさまざまな角度で見たいから」(14%)、「特定のブロガーの動向を見たい」(13%)、「ニュースの背景など裏事情を知りたい」(11%)、「社会のホットな問題について探したい」(10%)、「自らの仕事の参考になる」(9%)が続いた。
普段どのようなブログを閲覧するかについては、「心情を綴った記録」(43%)、と「個人の生活を綴ったもの」(42%)が飛びぬけて多く、以下「ブロガーの書いたオリジナル小説」(20%)、「情緒についてまとめた考察」(20%)、「笑い話」(19%)、「本や映画や音楽などの評論」(16%)、「社会のホットな話題や社会現象」(16%)、「旅行記」(9%)、「学術問題の考察」(8%)、「経済分析」(7%)、「地域情報」(5%)と続いた。
普段どのようなブロガーのブログを閲覧するかについては「知人・友人」(68.0%)が突出して多く、以下「好きなタレントやスポーツ選手」(19%)、「専門家」(10%)、「ビジネスで成功した人」(9%)、「インターネット上の著名人」(8%)、「社会で注目を浴びる人」(6%)という回答が続いた。
ブロガーの中で、他人のブログを閲覧したことがあるのは全体の93%で、7%は他人のブログを閲覧したことがないと回答。他人のブログの閲覧経験があるブロガーのブログ閲覧頻度については、「普段見ない」が52%、「ときどき見る」が42%、「毎日見る」が6%という結果となった。
ブロガーに対する特定のお気に入りのブログを閲覧しているかという質問には、59%が「閲覧している」と回答している。お気に入りの特定のブログへのアクセス方法については「自身のブログ上のリンク」(24%)と「ブラウザのお気に入り」(23%)が最も多く、以下「直接URLを入力」(12%)、「検索サイト経由」(8%)、「ブログ特集サイト経由」(7%)、「別のブログのお勧めリンク経由」(4%)、「別のブログのブログランキング経由」(3%)、「RSSリーダー」(3%)と続いた。
新しいブログを知る手段については「友人の勧め」(18%)が最も多く、以下「検索サイト」(8%)、「既知のブログのリンク」(7%)、「QQなどのインスタントメッセンジャーのメッセージ」(6%)、「ブログサービスプロバイダーのお勧め」(6%)が続いた。ブロガーにはヘビーユーザーが多い一方、RSSリーダーの普及はいまひとつのようだ。
関連情報
■URL
ニュースリリース(中文)
http://www.cnnic.com.cn/html/Dir/2007/12/26/4948.htm
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( 山谷剛史 )
2007/12/27 13:08
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