米Microsoftが1日、米Yahoo!に対する買収提案に関して約30分にわたる電話による記者会見を開催した。その中で、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOは、アナリストから挙がったYahoo! JAPANについての質問にもコメントした。
バルマー氏は、Yahoo!との間で18カ月間にわたり断続的に話し合いを続けてきたことを明らかにし、両社がインターネットサービスと広告分野で共通のビジョンを持っていることを指摘した。
プラットフォーム・サービス担当プレジデントのケビン・ジョンソン氏は、インターネット広告業界が持つ3つの特徴について説明。1つ目に、この業界は規模の大きさがメリットになること、特に検索と広告配信、それに必要な資金といった問題を挙げた。2つ目にソフトウェア技術の研究開発が大きく影響するビジネスであること、そして3つ目にサーバーやデータセンター、インフラなど大規模なサービスを運営するのに必要な大規模な投資が必要であることを指摘した。
こうしたことから、MicrosoftとYahoo!が合併することによって、これまで2つのサーチエンジンと2つの広告プラットフォームが存在したのに対し、膨大な広告配信スペースを持つ1つの広告プラットフォームを作ることができ、広告主にメリットをもたらすと説明している。
インターネット広告分野での買収のメリットは、MicrosoftがYahoo!に提案したことの大きな柱の1つだが、それ以外にも3つのメリットがあると説明する。1つは、研究開発の規模だ。両社は現在、サーチエンジンの技術開発や広告配信などに関して研究を行なっており、その多くの部分が重なりあっている。これを統合することによって、検索分野に革新を引き起こし、ユーザー体験を強化し、広告プラットフォームも改善できる。
さらに2つ目のメリットとして、この研究開発が統合されることによって余剰が生まれ、その結果として動画や携帯電話などのモバイル分野、eコマースの分野で革新を起こすことができるとする。そして3つ目に、2つの企業が1つになることによる費用の削減を挙げた。
また、Microsoft以外の企業、特にメディア企業がYahoo!に関心を示しているのではないかとの憶測があったが、それについてMicrosoftのゼネラルカウンセルであるブラッド・スミス氏も認めた。その上で、多くのメディア企業がMicrosoftの提案に対して好意的な見方を持っており、この種の買収を行なうことを奨励していたことを指摘。一方で、Googleのあまりにも大きな市場シェアのために、独占禁止法によってGoogleがYahoo!やそのビジネスを買収することはできないとも指摘した。
● 基本的なアプローチは、Yahoo!のすべてを買うこと
アナリストからは日本と中国におけるYahoo!の微妙な立場に関して質問が飛んだ。日本のYahoo! JAPANは、ソフトバンクが41.1%の株式を持つ筆頭株主で、次いで米Yahoo!が33.4%の株式を保有しているという特殊な状況にある。
バルマー氏は、「これに関する基本的なアプローチは、Yahoo!のすべてを買うことだろうと思う。ただし、これらの関係についてよく理解もしており、当面はこの関係性に変化をもたらすことはしないということだろうと思う。とはいえ、これに取り組むうちに多くを学べると確信している」とコメント。当面は現状を維持するものの、将来的にYahoo! JAPANを買い取ることに関して含みを持たせている。
関連情報
■URL
会見内容(英文)
http://www.microsoft.com/presspass/press/2008/feb08/02-01Transcript.mspx
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( 青木大我 taiga@scientist.com )
2008/02/04 12:24
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